|Posted:2021/12/01 05:55|Category :
ロイ・ハーグローヴ|

【収録曲】
1. Easy to Remember
1. Ruby My Dear
3. Whisper Not
4. What's New
5. September in the Rain
6. You dont't Know What Love is
7. End of a Love Affair
8. Things We did Last Summer
9. Everything I have is Yours/Dedicated to You
10. My Shining Hour
■The album 「Diamond in the Rough」(1990) 所収 (M-1,2,3)
Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
John Hichs (p)
Scott Colley (b)
Al Foster (ds)
■The album 「Public Eye」(1991) 所収 (M-4,5,6,7)
Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
Stephen Scott (p)
Cristian McBride (b)
■The album 「The Vibe」(1992) 所収 (M-8)
Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
Ku-Umba Frank Lacy (tb)
Marc Cary (p)
Rodney Whitaker (b)
Gregory Hutchinson (ds)
■The album 「Of Kindred Souls」(1993) 所収 (M-9,10)
Roy Hargrove (tp & flu)
Ron Blake (ts, ss)
Marc Cary (p)
Rodney Whitaker (b)
Gregory Hutchinson (ds)
Released:1994
今宵、味わい深いスタンダードをあなたに ベーシックなスタンダード好きにはこたえられないだろう。
ロイ・ハーグローヴが1990年前後にNovusレーベルに録音したアルバム「Diamond in the Rough」(1989)、「Public Eye」(1990)、「The Vibe」(1992)、「Of Kindred Souls」(1993)という4枚のアルバムから、バラードをメインにスタンダード・ナンバーばかりを選んで収録した盤だ。
ここでのロイのプレイは感情を抑えたクールなもので、全身全霊を込めて楽曲の良さを引き出そうとするかのような演奏をしている。
バラードが多いだけに、必然的に聴き手を放心させて何かを考えさせるような演奏ばかりだ。
ちょうど徹夜明けの夜明け時あたりに聴くといい。やさしく波間を漂うようなバラード群が疲れたカラダを包み込み、じっくり脳をいたわってくれる。
当然、後年にロイが結成したR&B/Hip Hopプロジェクト「RHファクター」あたりの音とはまるで対極にある演奏だ。
ひたすら美しく、やわらかく、穏やかに淡々とプレイするロイの様子が目に浮かぶようである。
名曲がずらりと並ぶプレイリストだ 主な収録曲をひと通り見て行こう。
M-1の「Easy to Remember」はリチャード・ロジャースが作曲した美しいナンバー。M-2の「Ruby My Dear」はご存知、セロニアス・モンクの滑らかで優しい超メジャー曲だ。訴えかけるようなサックスが印象的である。
続くM-3「Whisper Not」はハード・バップ系テナー・サックス奏者であるベニー・ゴルソンが、1956年に書いたスタイリッシュな名曲だ。
この曲の由来はゴルソン自身、「ディジー・ガレスピー・オーケストラのメンバーとしてボストンのジャズ・クラブ、ストーリーヴィルに滞在中に20分で書き上げたんだ」と誕生秘話を明かしている。
一方、M-4の「What's New」はベース奏者で作曲もしたボブ・ハガート(1914年-1993年)の手によるものだ。
書かれた当時は「I'm Free」というタイトルだったが、この曲に目をつけた出版社が生涯400曲余りを手がけた名作詞家のジョニー・バークに依頼して歌詞をつけさせ、タイトルも「What's New」に改められた。
M-5の「September in the Rain」は作曲家のハリー・ウォーレンとアル・ダビンによって書かれ、1937年に発表された名スタンダードである。冒頭のなごやかなメロディを聴けば、おそらく誰でも聴き覚えがあるだろう。
そしてM-7「End of a Love Affair」は、1950年にエドワード・C・レディングが作詞作曲し、女性歌手ダイナ・ショアが初めて録音した佳曲。スタンダードにしては複雑なコ-ド進行で知られ、ひんぱんに転調を繰り返す。
長くなるのであとは割愛するが、どの曲もたいてい聴き覚えのある名曲揃いだ。ロイの決して熱くならない淡々とした演奏が逆に楽曲のよさを際立たせ、リスナーは思わず物思いに耽ってしまう。
たまには味わい深いスタンダードの世界に浸ってみるのもいい。
テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽