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ブラッド・メルドーのソロライヴ盤「Your Mother Should Know」が凄い

Your_Mother_Should_Know
ブラッド・メルドーのソロピアノ・ライヴ盤「Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles」(2023年)

彼は「この地点」にたどり着いたのか……

 鳥肌モンの音源だ。

 もう興奮のあまり、涙がじんわり湧いてくる。素晴らしい出来です。もうこれを聴いたら、ほかのピアニストなんて聴けません。

 ひさびさのブラッド・メルドー節が炸裂してる。

 今度はソロ・ピアノで聴かせるライヴ・アルバム「Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays The Beatles」(2023年)である。なんとビートルズの楽曲を、彼がアレンジして弾いている。あれらの珠玉の名曲が、いま蘇るーー。

 それにしても、なんて超絶的な演奏なんだ?

 これを聴くともう、バッター・花形満に満塁ホームランを食らってマウンドに膝からガックリ崩れ落ちる「星飛雄馬」状態になってしまう。(この例え、わかります?)

 メルドーは自分のピアノ・トリオの崩壊から、めっきりソロ活動に力を入れるようになった。その彼が放つ、決定的な演奏がこれだ。ついに彼はこの地点までたどり着いたのだ。

 データ的にいえば、本盤は2020年9月にフィルハーモニー・ド・パリで行われたソロ・ライヴの様子を収録したもの。

 文句なく「買い」でしょう。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

後期ブラッド・メルドー・トリオって結局は……

Day is done
後期ブラッド・メルドー・トリオの『Day is done』 (2005年)

ジェフ・バラード(ds)自体、トリオ加入前のほうがよかった

 ドラマーがジェフ・バラードに替わってからの後期ブラッド・メルドー・トリオって、結局、大した仕事をしてないよねぇ。そもそもジェフ・バラード自体、同トリオに入る前のほうが却ってインパクトの強い仕事を数多く残していたし。

 だが後期ブラッド・メルドー・トリオ結成以後は、まあ『Day is done』(2005年)だけは飛び抜けてよかったが、ほかはあんまりいいのがない。

 そう考えると結局、ブラッド・メルドー・トリオってジョルジ・ロッシでもってた……というより、ロッシ含みのトリオ隊でバランスが取れてたんだろうなぁ、と感じる。

 果たしてメルドーは盟友であるロッシを切るとき、何を考えたのだろうか?

 そんな野次馬的な興味も湧く。

 結局、ドラマーを替えても大したことにはならなかったのだから、何をかいわんやだ。ずっとロッシのままでやっていれば、いまごろ名作を何本も作っていたかもしれないのに……。

 まあ「なかったはずの成果」を想像しても、いまは空しいだけだが。

 以後、メルドーはソロワークへ意欲的に進出して行く。いまにして思えば、あの「ロッシ外し」は結局、グループ自体の終焉を意味するものだったのだろう。

 その後のメルドー個人の諸作には、残念ながらついて行けてない。

 リタイアだ。、

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Dayna Stephens / Right Now! 〜Live at the Village Vanguard

Dayna_Stephens_Live

Dayna Stephens (sax)
Aaron Parks (p)
Ben Street (b)
Gregory Hutchinson (ds)

Recorded: February 23-24th 2019, at The Village Vanguard, NY

漂うように浮遊するデイナらしさ

 数々のレコーディングにゲスト参加し、また自身のリーダーアルバムも2007年から2020年の間に11枚リリースしているサックス奏者のデイナ・スティーブンスーー。

 いったいこのエネルギーはどこから出てくるのか? と思わされるが、実は彼は難病のFSCGと呼ばれる腎臓の病気を患っているというのだから驚かされる。

 さて、本作はそんなデイナが2020年にリリースしたNYのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤である。

 収録曲は全9曲、彼らしく全てオリジナルだ。基本的にはデイナ特有の漂うような独特の浮遊感のある音が楽しめる。もしあなたが彼の過去盤を持っていて、それを気に入っているなら即、買って正解だ。

 本作はそんな「デイナらしさ」がプンプンする内容である。

 いかにも「ニューヨーク・コンテンポラリー」な作風であり、2000年代以降の新しいジャズを聴いている人なら誰もがうっとりするような音作りをしている。

 メンバーもアーロン・パークス(p)、ベン・ストリート(b)、グレゴリー・ハッチンソン(ds)と現代ニューヨークが誇るトンガったメンバーで死角はない。

 ただ個人的には、5曲目と9曲目に人工的で無機質な音を出すEWI(ウインドシンセサイザー。息を吹き込み演奏する)が「ピーヒャララ」と入っているのには閉口する。

 いや、あくまで個人的な好みなのだが、私はこういう作ったような不自然な音が鳴ってる盤には手を出さないようにしている。嫌いだからだ。

 その私が絶賛しているのだから、本盤のデキは言わずもがな。想像してほしい。買いである。

テーマ : JAZZ
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Danny Grissett / Remembrance

DANNY_GRISSETT_REMEMBRANCE

Danny Grissett (p, fender rhodes/M5)
Dayna Stephens (sax)
Vicente Archer (b)
Bill Stewart (ds)

Recorded: April 19, 2017, at The Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michel Marciano (Savant SCD2165)

最新作にして最高傑作の至高盤

 2005年からクリスクロス・レーベルで5枚の作品をリリースしてきたダニー・グリセットだが、今回は心機一転、Savantレーベルから発売した最新作になる。

 メンバーは、リズム隊に長年の僚友ヴィセンテ・アーチャー(b)、売れっ子のビル・スチュアートを配し、サックスにはデイナ・スティーブンスという鉄壁の布陣を敷いている。

 グリセットといえば、個人的には初期の「Promise」(2005)、「Encounters」(2007)の2枚がベストだと思っていたが、本作はこれらを軽く超えてきた。

 それら初期の2枚がもっぱら元気に弾けるストレートな音作りだったのに対し、本作はノリのよさに加えてアレンジや構成にも凝り、一種の大人びた陰影感を漂わせることに成功しているところがすばらしい。

 聴けば聴くほど味が出る。

 まぎれもなく彼の最高傑作だろう。

トリスターノ風あり、マーク・ターナー風あり

 本作の収録曲は全9曲。グリセットのオリジナル4曲に加え、モンクの「Gallop's Gallop」、ハンコックの「Just Enough」などが聴ける。

 5曲目のようにローズピアノの謎めいたテイストをフィーチャーした楽曲あり、トリスターノ風の雰囲気漂うブルックリンっぽい楽曲あり。

 またデイナ・スティーブンスがマーク・ターナー的なアプローチで挑む8曲目のような先鋭的な曲もある。

 全体に非常にバラエティに富んでいるのだが、アルバムの頭から通しで聴くと「なるほどグリセットだな」という統一性と納得感がある。

 まったく何も考えず、即買いしてOKな傑作盤といえるだろう。

 名録音エンジニア、マイケル・マルシアーノが手がける音質も極上で、透き通るような解像感が楽しめる。

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Brad Mehldau / Places

Brad_Mehldau_Places

Brad mehldau (p)
Larry Grenadier (b)
Jorge Rossy (ds)

Recorded: January 24 & 25, March 24 & 25, 2000, at Mad Hatter Studios, LA
Engineer: Bernie Kirsch

ジャズ史に燦然と輝く歴史的名盤

 ブラッド・メルドー・トリオが、1年間の演奏旅行で訪れた様々な土地をイメージしたアルバムだ。非常に緊張感の高い1曲目からもうテンションはバリバリ。ジャズ史に燦然と輝く歴史的名盤に仕上がっている。

 ソロピアノとトリオ演奏、またクラシックの影響を受けたオリジナル楽曲が並ぶが、まったく違和感はない。全13曲が巧妙に補完し合い、融合し、ひとつのストーリーを奏でている。特に演奏の最後に盛り上がるM1の迫力には圧倒される。

 ジャズ、クラシック、ソロピアノ、トリオ演奏と様々な音楽の形態がまとめてワンパッケージになっているが、それらがたがいに影響し合い、「ブラッド・メルドー」というひとつの音楽になっている。

 左右の手がバラバラに動き、アルペジオやメロディを両手で弾く曲芸ワザは特に圧巻。この人は神の領域にまで達するのではないか? と思ってしまう。

 ソロピアノとトリオ演奏の曲が半々で、ソロピアノは限りなく叙情的で美しい。かと思えばトリオ演奏はトリオ演奏なりに、集合美やアドリブの仕掛け合いが演じられる。

 このアルバムと同時代に生きられて本当に幸せだーー。

 そんな気分にさせられる傑作である。

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The John ScoField Quartet / Meant to be

John_ScoField_Meant_to_be

John Scofield (g)
Joe Lovano (ts, acl)
Marc Johnson (b)
Bill Stewart (ds)

Recorded: December 1990,at Power Station
Engineer: James Farber (Blue Note TOCJ-5290)

ジョンスコの全盛期がよみがえる

 アウトする禿、ジョン・スコフィールドの最高傑作である。

 彼の秀作といえば「Time on my Hands」(1990)や「Grace under Pressure」(1992)、「What We Do」(1993)、「Hand Jive」(1994)など、ブルーノートに吹き込んでいた90年代前半の盤に多い。

 そのなかでもこの本作「Meant to be」(1991)は、ノリよし、曲よし、演奏よし、の3拍子そろった名盤といえる。

 いえね、このブログは「2000年代以降のNYコンテンポラリーなジャズ」ということでやってきた。

 ゆえに最近紹介しているロイ・ハーグローヴや、90年代のジョンスコ、ブラッド・メルドー、カート・ローゼンウィンケルあたりは意識して取り上げないできた。

 だが考えてみればジャズって先達の流れを基本継承するものであるし、単純に年代で区切るのも意味がないか? と思えてきた。なので今後は多少年代が古いものでも取り上げて行くことにした。

 で、ジョン・スコフィールドである。

 本作のメンバーはジョンスコのギターに、ジョー・ロバーノ(ts, acl)、マーク・ジョンソン(b)、ビル・スチュワート(ds)という顔ぶれだ。

 楽曲は全11曲。全編にわたり肩の力が抜けている感じで、楽しくジャズしています、という感じだ。

 曲調はハードでもないがソフトでもなく、という中間系の楽曲が多いのだけれど、ギターとサックスが自由に泳ぎ回り、リズム隊が下からそれをがっしり支える、という構図は一貫している。

「What We Do」(1993)や「Hand Jive」(1994)あたりも本盤とかなり近い音作りなので、本作を聴いて気に入ったらぜひ聴いてみてほしい。

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Roy Hargrove / Approaching Standards

Roy_Hargrove_approaching

【収録曲】

1. Easy to Remember
1. Ruby My Dear
3. Whisper Not
4. What's New
5. September in the Rain
6. You dont't Know What Love is
7. End of a Love Affair
8. Things We did Last Summer
9. Everything I have is Yours/Dedicated to You
10. My Shining Hour

■The album 「Diamond in the Rough」(1990) 所収 (M-1,2,3)

Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
John Hichs (p)
Scott Colley (b)
Al Foster (ds)

■The album 「Public Eye」(1991) 所収 (M-4,5,6,7)

Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
Stephen Scott (p)
Cristian McBride (b)

■The album 「The Vibe」(1992) 所収 (M-8)

Roy Hargrove (tp)
Antonio Hart (as)
Ku-Umba Frank Lacy (tb)
Marc Cary (p)
Rodney Whitaker (b)
Gregory Hutchinson (ds)

■The album 「Of Kindred Souls」(1993) 所収 (M-9,10)

Roy Hargrove (tp & flu)
Ron Blake (ts, ss)
Marc Cary (p)
Rodney Whitaker (b)
Gregory Hutchinson (ds)

Released:1994

今宵、味わい深いスタンダードをあなたに

 ベーシックなスタンダード好きにはこたえられないだろう。

 ロイ・ハーグローヴが1990年前後にNovusレーベルに録音したアルバム「Diamond in the Rough」(1989)、「Public Eye」(1990)、「The Vibe」(1992)、「Of Kindred Souls」(1993)という4枚のアルバムから、バラードをメインにスタンダード・ナンバーばかりを選んで収録した盤だ。

 ここでのロイのプレイは感情を抑えたクールなもので、全身全霊を込めて楽曲の良さを引き出そうとするかのような演奏をしている。

 バラードが多いだけに、必然的に聴き手を放心させて何かを考えさせるような演奏ばかりだ。

 ちょうど徹夜明けの夜明け時あたりに聴くといい。やさしく波間を漂うようなバラード群が疲れたカラダを包み込み、じっくり脳をいたわってくれる。

 当然、後年にロイが結成したR&B/Hip Hopプロジェクト「RHファクター」あたりの音とはまるで対極にある演奏だ。

 ひたすら美しく、やわらかく、穏やかに淡々とプレイするロイの様子が目に浮かぶようである。

名曲がずらりと並ぶプレイリストだ

 主な収録曲をひと通り見て行こう。

 M-1の「Easy to Remember」はリチャード・ロジャースが作曲した美しいナンバー。M-2の「Ruby My Dear」はご存知、セロニアス・モンクの滑らかで優しい超メジャー曲だ。訴えかけるようなサックスが印象的である。

 続くM-3「Whisper Not」はハード・バップ系テナー・サックス奏者であるベニー・ゴルソンが、1956年に書いたスタイリッシュな名曲だ。

 この曲の由来はゴルソン自身、「ディジー・ガレスピー・オーケストラのメンバーとしてボストンのジャズ・クラブ、ストーリーヴィルに滞在中に20分で書き上げたんだ」と誕生秘話を明かしている。

 一方、M-4の「What's New」はベース奏者で作曲もしたボブ・ハガート(1914年-1993年)の手によるものだ。

 書かれた当時は「I'm Free」というタイトルだったが、この曲に目をつけた出版社が生涯400曲余りを手がけた名作詞家のジョニー・バークに依頼して歌詞をつけさせ、タイトルも「What's New」に改められた。

 M-5の「September in the Rain」は作曲家のハリー・ウォーレンとアル・ダビンによって書かれ、1937年に発表された名スタンダードである。冒頭のなごやかなメロディを聴けば、おそらく誰でも聴き覚えがあるだろう。

 そしてM-7「End of a Love Affair」は、1950年にエドワード・C・レディングが作詞作曲し、女性歌手ダイナ・ショアが初めて録音した佳曲。スタンダードにしては複雑なコ-ド進行で知られ、ひんぱんに転調を繰り返す。

 長くなるのであとは割愛するが、どの曲もたいてい聴き覚えのある名曲揃いだ。ロイの決して熱くならない淡々とした演奏が逆に楽曲のよさを際立たせ、リスナーは思わず物思いに耽ってしまう。

 たまには味わい深いスタンダードの世界に浸ってみるのもいい。

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The Roy Hargrove Quintet / Earfood

Roy_Hargrove_Earfood

Roy Hargrove (tp, flh)
Justin Robinson (as, fl)
Gerald Clayton (p)
Danton Boller (b)
Montez Coleman (ds)

Recorded: September 19-21, 2007, at Capitol Studios, LA
Engineer: Al Schmitt (Emarcy 0602517641815)

複数のプロジェクトを手がけた才人

 2018年に49歳の若さで亡くなったトランペット奏者のロイ・ハーグローヴは、テレンス・ブランチャードやニコラス・ペイトンらと並び1980年代後半〜1990年代にかけて台頭してきた「ヤング・ライオンズ」の1人として知られる。

 ゆえに当ブログでいつも紹介しているミュージシャンたちより、ひと世代かふた世代、古い世代だ。

 彼の音楽性は幅広く、「ロイ・ハーグローヴ・クインテット(略称RHQまたはRH5)」、「ロイ・ハーグローヴ・ビッグバンド(略称RHB)」、「RHファクター(略称RHF)」の3つのバンドのリーダーを務めた。特にRHファクターは、R&BやHip Hopを手がけるプロジェクトだった。

 と、こう書くと「うわっ!」と顔をしかめる人もいるかもしれない。

 いえいえ、ご安心を。当ブログでは、上記のうちストレート・アヘッドで本格派のジャズ盤しか取り上げません。

 いや個人的には私はロックもR&Bも聴くが、このブログではターゲットを絞ってジャズのみを紹介するという意味だ。なので当ブログを読み、「ジャズのCDだと思って買ったら中身がHip Hopだった」なんてことには絶対なりません。ご安心あれ。

本格派ジャズに回帰したアルバムだ

 と前置きが長くなったがこのアルバムは、ロイが2000年代初頭にR&B/Hip Hopプロジェクトである「RHファクター」名義のアルバムを立て続けに3枚リリースしたあと出した盤だ。

 つまりロイとしては、ストレート・アヘッドなジャズに回帰したアルバムだということになる。

 ファンキーなリフがフィーチャーされた、シダー・ウォルトン作「I'm Not So Sure」で幕が開く本盤は全13曲。ロイのオリジナルほか、最終曲はサム・クックの名曲「Bring It On Home To Me」で幕を閉じる。

 特に4曲目「Starmaker」のメロディの美しさには心を奪われる。本盤随一のキラーチューンだ。続く5曲目の「Joy is Sorrow Unmasked」も、けだるく漂うような夢見心地の曲である。

 ついさっき、「ロイはこのアルバムでジャズに回帰した」と書いたばかりだが、しかしよく聴き込むと随所にファンキーなリフがあしらわれるなど多彩な音楽の要素が入り混じる。

 それらのエッセンスが巧妙にブレンドされ、だがしかしあくまでも「ストレート・アヘッドな本格派のジャズだ」と言い切ってしまえる本盤はゆえに傑作である。

 そして若き日のジェラルド・クレイトン(p)のプレイが聴けるアルバムでもある。特に10曲目のさりげないバラード・プレイにご注目。やっぱり彼は天才だ。 

 おすすめです。

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Roy Hargrove / Family

Roy_Hargrove_Family

Roy Hargrove (tp, flh)
Ron Blake (ts, ss)
Stephen Scott (p)
Rodney Whitaker (b)
Gregory Hutchinson (ds)

※special guests

Wynton Marsalis (tp)
David Newman (ts, flu)
John Hicks (p)
Walter Booker (b)
Christian McBride (b)
Jimmy cobb (ds)
Lewis Nash (ds) ……etc

Recorded: January 26-29, 1995, at Clinton Recording Studios, NY
Engineer: Ed Rak & Troy Halderson (Verve 314 527 630-2)

ハーグローヴの漂うようなバラードは一級品だ

 家族をテーマにした三部作が冒頭を飾る本盤は、ストレートアヘッドな本格派ジャズだ。ロイ・ハーグローヴのトランペットと、フリューゲルホルンによる漂うようなバラードが極上である。

 セッションでは42曲もを録音したといわれ、楽曲だけでなく参加ミュージシャンも実に大所帯だ。

 中心になるクインテットはロイ・ハーグローヴ(tp, flh)のほか、ロン・ブレイク(ts, ss)、スティーヴン・スコット(p)、ロドニー・ウィテカー(b)、グレゴリー・ハッチンソン(ds)からなる編成である。

 このほかゲストとしてウィントン・マルサリス(tp)やデヴィッド・ニューマン(ts, flu)、ジョン・ヒックス(p)、クリスチャン・マクブライド(b)、ジミー・コブ(ds)、ルイス・ナッシュ(ds)など多数のミュージシャンを招いている。

収録曲はオリジナルやスタンダードなど全15曲

 収録曲はロイ・ハーグローヴ自身のオリジナルやスタンダードのほか、参加ミュージシャンが曲を持ち寄った。全15曲だ。まず冒頭のM-1~3は、アルバム・タイトルにもなっているハーグローヴ作の組曲だ。なかでも特にM-3は明るくゴキゲンなアップテンポの軽快な4ビートになっている。

 続くM-4は名曲「The Nearness of You」。しっとり歌い上げるハーグローヴのフリューゲルホルンがすばらしい。2番手テナーのデヴィッド・ニューマンもしっとりすばらしい。一級品の演奏だ。M-5ではトランペットのあとピアノのロニー・マシューズが力強く盛り上げる。

 一方、M-6はキメを繰り返したあとソロになる。1番手ハーグローブは躍動感があり、アグレッシブだ。ピアノをはさみテナーのロン・ブレイクが、ピアノの打ち出すラテンのリズムに乗ってひた走る。中間部~エンディングにかけてのアレンジも巧妙だ。

コロコロとよく転がるピアノにうっとり

 M-7はクリスチャン・マクブライド作のミディアムテンポのバラード「A Dream of You」。落ち着いた雰囲気で気分もなごむ。ピアノがコロコロとよく転がるM-8は楽しいナンバー。テーマが物悲しく心を打つ。

 M-9は名曲「Polka Dots and Moonbeams」である。原曲を忠実に再現する演奏だ。かたやM-11はハーグローヴのフリューゲルホルンとウォルター・ブッカーのベースだけの哀感あるデュオ作になる。

 一転してM-12はウォーキング・ベースが特徴的な大らかな4ビート。明るくゴキゲンな楽曲だ。M-13はリピートされるフレーズが印象的なデヴィッド・ニューマン作の「Thirteenth Floor」。M-14はシダー・ウォルトン作の「Firm Roots」。中間部を飾るアップテンポのピアノソロがすばらしい出来だ。

 以上、全15曲。まったく捨て曲なしの構成だ。ジャズの王道を突っ走るストレートアヘッドな味わいをどうぞ。

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Jeremy Udden / Three In Paris

Jeremy_Udden_Three

Jeremy Udden (as, ss)
Nicolas Moreaux (b)
John Betsch (ds)

Recorded: August 8th and 9th, 2018, at Studio Libretto, Paris, France
Engineer: Paul Boulier (Sunnyside SSC 1545)

スティーヴ・レイシーへのトリビュート盤

 1978年生まれで40代になったサックス奏者ジェレミー・ウデンが、ニュー・イングランド音楽院時代の指導者であり、大きな影響を受けた音楽家、スティーヴ・レイシーの楽曲とスピリッツをトリビュートした作品だ。

 2004年6月に69歳で亡くなったスティーヴ・レイシーは、1960年には16週間だけセロニアス・モンク・カルテットに加わり活動しており、1972年にフランス・パリに移住した。2002年に帰米し、ボストンにあるニュー・イングランド音楽院で教え始めた。

 本アルバムのメンバーは、ウデンの2015年の作品『Belleville Project』の録音メンバーであるフランス人ベーシスト、ニコラ・モレノー。そしてスティーヴ・レイシーの数々のユニットで活躍したジョン・ベッチがドラマーを務めている。

 ウデンは本作の制作にあたり、綿密なコンセプト・メイキングのようなものよりも、自然発生的で自由な演奏を望んだ。彼は「自分がいかにスティーヴ・レイシーの影響を受け、インスパイアされていたかがわかった。あの録音は遠い夢のようだった」とライナーで語っている。

新しいもの好きには中毒性の高い1枚

 ウデンは、スティーヴ・レイシーの楽曲や縁のある楽曲、そしてオリジナルなど30曲を携えて渡仏。たった一度のリハーサルでベストな楽曲や音の方向性を決め、10曲を収録して制作した。

 本作でウデンら3人は音数を抑えて思い切りスペースを作り、音のない空間を生かすルバート的な演奏をしたり、ウデンが速いパッセージを詰め込んだ楽曲などバラエティを持たせた。

 ウデンの音色はかすかにかすれたようなテイストで、間合いの取り方などが先進的で尖った味わいを醸し出している。

 演奏は非常に緊張感が高く、メンバーはたった3人ながらあっという間に聴き手をハマらせる。2000年代以降の先進的なジャズが好きな人には、非常に中毒性の高い1枚だろう。

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Author:Grass hopper
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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