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The E.J. Strickland Quintet / Warriors For Peace

EJ-Strickland

E.J. Strickland (ds)
Godwin Louis (as)
Jure Pukl (ts, ss)
Taber Gable (P)
Josh Ginsburg (b)
Ulrich Edorh (Vo-M11)

Recorded & Mixed at Da Town Studios, Marseille, FR
Recorded & Mixed by Ulrich Edorh (Jammin'colors Records JC18-006-2)

都会的で洗練された現代ジャズ

 E.J.ストリックランドのリーダー作としては、前作の『The Undying Spirit』(2015年、レビュー記事はこちら)と変わらず都会的で洗練されたスタイリッシュなコンテンポラリージャズを演っている。

 だが前作とくらべ、メンバーの熱量と勢いが明らかに増した感じだ。

 前作はストリックランド以外のメンバー全員が意識して抑えた演奏をしていたが、本作はそんな遠慮などなく全員がグイグイ熱く弾ける勢いを感じさせる。まちがいなくE.J.ストリックランドの最高傑作といっていいだろう。

 のっけから2管がくんずほぐれつの熱演を聴かせるM-1で早くも「おっ」と思わせる。前作とくらべかなりアレンジに凝っており、インプロを交えながらも相当に緻密な演奏を聴かせている。

 2曲目は一転してゆったりしたノリからサックスが渋いソロを聴かせる。M-3は逆に急き立てるような不安を煽るアレンジの導入部から、テクニカルなサックスとピアノのソロが続く。

 どの曲も深謀遠慮な深い仕掛けが施されており、アルバム全体を通して聴いてもまったく飽きない。E.J.ストリックランドは3作目にして、どうやら大魚を仕留めたようだ。おすすめです。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Seamus Blake / Guardians of The Heart Machine

Seamus_Blake

Seamus Blake (ts, ss, vo)
Tony Tixier (p)
Florent Nisse (b)
Gautier Garrigue (ds)

Recorded: November 11-12, 2017, at Studio de Meudon, Paris
Engineer: Erwan Boulay (Whirlwind Recordings WR4735)

S.ブレイクがパリから発信する最新作

 シェイマス・ブレイクといえば、ビル・スチュワート(ds)がリズミックに大暴れするノリノリの超名盤『Bellwether』(2009年)を思い出すが、なんとどうやら彼はフランスに活動の拠点を移したらしい。そしてリリースされた最新作が本盤だ。

 哀愁漂うメロディアスな佳曲をずらりと揃え、アルバムとしての完成度でいえば名盤『Bellwether』といい勝負といっていいデキである。

 本ブログでも初リーダー作『Aux Mages』(2014年、レビュー記事はこちら)を紹介している若手フランス人ベーシスト、フローレント・ニッセが参加しているのを見てなるほど納得した。

 というのもニッセのアルバムでも聴かれた、まるで湖面に落ちた水滴が描く波紋を音にしたような端正な楽曲が目を引くのだ。おそらく彼の音楽性がシェイマスに影響を与えているのだろう。

 かと思えば5曲目「Lanota」のように、ノリのいい派手でかっこいい楽曲も散らばっており、熱くエネルギッシュなジャズが好きな人にもおすすめだ。

 ちなみにニッセとリズムセクションを組むドラマーは、イタリアの若手ギタリスト、フェデリコ・カサグランデの傑作盤『The Ancient Battle of The Invisible』(2012年、レビュー記事はこちら)にも参加していたゴ-ティエ・ガリーグである。

 録音エンジニア、Erwan Boulayの手による音質も最高で、特に解像度の高いウッド・ベースの音が実によく録れており、オーディオマニアも納得の1枚だろう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Joshua Redman Quartet / Come What May

Joshua Redman Quartet_Come What May

Joshua Redman(ts)
Aaron Goldberg(p)
Reuben Rogers(b)
Gregory Hutchinson(ds)

Recorded: May 8-9 and Mixed September 23-24, 2018, at Sear Sound, NY
Engineer: James Farber (Nonesuch 585291-2)

乾坤一擲のストライクゾーンど真ん中

 ジョシュア・レッドマンといえば「もう終わった人」だと思っていた。だが本盤を聴き、どっこいまだ生きてるんだなと驚いた。これぞコンテンポラリー・ジャズ全開な演奏で聴かせる。全盛期を彷彿とさせる20年ぶり「黄金のカルテット」の復活だ。

 私のなかでのレッドマンは、アーロン・ゴールドバーグ(p)、リューベン・ロジャース(b)、グレッグ・ハッチンソン(ds)という本作とまったく同じ4人のメンバーで吹き込んだアルバム『Beyond』(1999年録音、以下全て録音年)、『Passage Of Time』(2000年)がキャリアの頂点である。

 その後2000年代に入るとElastic Bandで「何か今までと違うことをやらなきゃ」と目先を変えることに囚われ始め、ついに『Compass』(2008年)でダブルドラムス、ダブルベースという奇をてらった曲芸を演じて自爆して果てた、てな印象がある。

 アーロン・パークスやエリック・ハーランドら豪華メンバーを集めたその後のJames Farmも「メンバーの名前で売る」のが見え見えで、試聴だけして「ああ、この人、完全に終わったな」と追いかけるのをやめた。

 それが全盛期のメンバーを再招集し、乾坤一擲で放った本アルバムである。いやはや、参った。おそらく彼の中でこれまでの紆余曲折した経験が糧となり、「本道」に戻ることで昇華できたのだろう。そう思わせるストライクゾーンど真ん中の音作りだ。

 アレンジに凝り、実にスタイリッシュ。変拍子あり、浮遊感ありで、決してインプロに頼らず楽曲としてのよさを追求した全7曲が珠玉のように光り輝く。名エンジニア、ジェームス・ファーバーによる録音もすばらしい。おすすめです。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Johnathan Blake / Trion

Johnathan Blake_Trion

Johnathan Blake (ds)
Chris Potter (ts)
Linda May Han Oh (b)

Recorded: Live on January 21 and 22, 2018, at the Gallery, NYC
Engineer: Jimmy Katz (Giant Step Arts GSA002)

サックストリオの大インプロ大会にゲンナリ

 先日買ったMatt Brewer盤のサックストリオ(レヴュー記事はこちら)が大当たりだったので、思わず本盤にも飛びついたのだが……。

 Matt Brewer盤と違い、ただ3人がだらだらと大インプロ大会を繰り広げるあまりに普通な展開にもうゲンナリ。まるで1960年代の「クリーム」(ロックバンドのね)を聴いているかのような気分にさせられた。

 冒頭の1曲目を聴いただけで、この盤で「いったい何が起こるか?」が丸わかりなのだ。

 いや、そりゃクリス・ポッターはエネルギッシュだし、ジョナサン・ブレイクリンダ・オーも元気に躍動しておりますよ。ただね、私はひと捻りある屈折系のジャズが好きなもんで、こういう音を聴くともう「わかった、わかった」ってな感じになってしまうのだ。だって、普通なんだもん。

 だらだらだらーっと、長大なドラムソロが始まった時点でもう、ドッチラケで。

 や、本盤の名誉のために言っておくと、この作品は明るく元気でエネルギッシュに躍動する普通のジャズが好きな人にはおすすめです。

 単に私がマイノリティだから「いい」と感じないだけで。はい、もう私が悪うございました。スミマセン。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Joe Martin / Étoilée

Joe Martin_Etoilee

Joe Martin (b)
Mark Turner (ts, ss)
Kevin Hays (p, fender rhodes)
Nasheet Waits (ds)

Recorded: February 22 & May 30, 2018 at Sear Sound, NY
Engineer: James Farber (Sunnyside SSC 1540)

知的で玄妙なジョーの世界

 アルバム全編をマーク・ターナー特有の「ヒョロヒョロヒョロ~」という弱々しくか細いブローが覆っている。それが本盤の知的な雰囲気を決定づけている。このターナー独特の「例のアレ」が大好きな私にはたまらない。だが逆に嫌いな人には受け入れ難い盤かもしれない。

 全体に暗いダークなムードで、ちょっと哲学的なところも感じさせる(だが決して難解ではない)。明るく元気でエネルギッシュなジャズが好みの人には敬遠されるかもしれないが、私のようにひと捻りある屈折したジャズが好きな人間にはバッチリだ。

 ひさしぶりに聴くケヴィン・ヘイズが、非常に深いピアノソロを披露していておいしい。ターナーとヘイズのこのプレイを聴けるだけでも買う価値がある。

 主役のジョー・マーチンは例によってやや細めのタイトな音で、全体をしっかり引き締めている。意欲的にソロも取っておりいいプレイを聴かせている。

 崩れたようなラフなドラミングが特徴のナシート・ウェイツも、うまくアルバム全体のカラーに合わせている。本盤購入前には彼がマッチするかどうかがいちばん危惧されたが、杞憂に終わった。なかなかいい。

 てなわけで人によっては好き嫌いが分かれる盤だが、私にはドンピシャだった。本盤と同時に5~6枚のアルバムを買ったが、こやつの稼働率がいちばん高い。マーク・ターナーのダークな世界が好みの人には絶対ハマれます。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Matt Brewer / Ganymede

Matt Brewer_Ganymede

Matt Brewer (b)
Mark Shim (ts)
Damion Reid (ds)

Recorded: September 11, 2018 at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1403)

ヒリヒリするような緊張感、サックストリオの傑作だ

 個人的に「サックストリオはつまらない」という固定観念があった.。だが本作はそんな私の妄執を見事に吹っ飛ばしてくれた傑作だ。こいつはすごい。

 単にサックスがだらだらアドリブを繰り広げるのでなく、要所で3人によるキメがバシッと入る。ただの感性まかせのインプロ大会に終わらず、1曲1曲がしっかり楽曲として成立している。そこがいい。

 アルバム全編を貫くヒリヒリするような緊張感も尋常じゃない。この異常なテンションは、あのトランぺッター、アヴィシャイ・コーエンの名作「Trumpet Player」を思い起こさせる。聴き手をぐいぐい引き込む吸引力がハンパない。

 また私は音数の多いうるさいドラムが大嫌いなのだが、トリオ編成により生まれる空間を生かしたDamion Reidの非常に手数の多いドラミングはむしろ爽快ですらあった。なによりドラムの音がすばらしい音質で録れている。ゆえに本盤は、可能な限り爆音で聴くと脳に効く。

 むろん主役であるMatt Brewerのベースもツボを心得ている。ソロを取れば弾けるような躍動感で空間を引き裂き、ときにはアンサンブルを重視して脇役に回る。その押し引きが絶妙であり、「この人は本当に音楽をわかってるなぁ」と感心させられる。

 もちろん彼らの上に乗っかるMark Shimのテナーもいいのだが、本盤は「リズム隊フェチ」の人にこそぜひ聴いてほしい逸品だ。おすすめです。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

最近買ってよかった新譜はコレだ

 例によってずいぶん更新が滞ってしまった(汗 なわけで本日は簡単に「最近買ってよかったCD」をばひとつ。

 まずアーロン・パークスとベン・ストリート、ビリー・ハートの3人名義の『Find The Way』だ。これ、私とまるで肌が合わないECM謹製なのだが、この盤はアーロン・パークスのピアノがどえらくすばらしいデキでECM嫌いの人も気に入ること受けあい。静的な音世界はやはりECMならではだが、パークスがなんともいえないメロディの美しさを添えて別格の盤に仕上がっている。

 お次はチャーリー・ヘイデンとブラッド・メルドー共同名義の『Long Ago and Far Away』。つまりピアノとベースのデュオだ。こちらも静的なところは同じだが、決定的にちがうのは音色やフレーズに暖かみがあること。ECMの冷たい音と対照的だ。まったり、ゆったりくつろげる演奏が心地いい。

 最後はShamie Roystonの『Beautiful Liar』。女性ピアニストなのだがまったく知らないアーチストで、試聴してみたらすごくよかったので買ってみた。2管のアレンジがばっちりで、ジャリール・ショウ(sax)やルディ・ロイストン(ds)、中村恭士(b)ら豪華メンバーが暴れていてかっこいい。

 名前がRoystonなので、ひょっとしたらこの盤で共演しているルディ・ロイストンの奥さんか? などとゲスの勘ぐりをしてみたが真相は不明。ま、そんなこた、どうでもよろし。以上、3枚とも、絶対買ってソンはない良盤です。はい。

Rick Germanson Quartet / Live at Smalls

RICK_GERMANSON_QUARTET_LIVE_AT_SMALLS.jpeg

Rick Germanson (p)
Dr. Eddie Henderson (tp)
Paul Gill (b)
Lewis Nash (ds)

Recorded: July 15-16, 2011 at Smalls Jazz Club, NY
Engineer: Tyler McDiarmid & Geoff Countryman (smallsLIVE SL0024)

エディ・ヘンダーソン(tp)が炸裂する強力ライヴ盤

 中堅ピアニスト、リック・・ジャーマンソンが2012年にリリースしたスモールズ・ライヴだ。FSNTからリリースしたデビュー盤『Heights』(2001年録音)、セカンド盤『You Tell Me』(2004年録音)、『Off The Cuff』(2009年録音)に続く4作目である。

 自身のオリジナル3曲にデューク・エリントン「The Single Petal of a Rose」のほか、「So Tired」(timmons)、「Say it Cover & Over Again」の合計7曲。のっけから「So Tired」が流れ、ノリノリの雰囲気のなかライヴ演奏が繰り広げられる。ストレート・アヘッドな王道路線だ。

 冒頭の味なメロディが印象的な4ビートのM-2、マイルスっぽいtpが独特の雰囲気のバラードM-3でホッとひといき。打って変わって緊迫感のある4ビートのM-4で仕切り直し、最後は元気のいい4ビートが大爆発するM-7で締める。特にオリジナルのM-3、M-4、M-7のデキがいい。

 エディ・ヘンダーソンのトランペットは強烈なインパクトがあり、ミュートプレイもかっこいい。彼の演奏を聴いているだけでも幸せになれる。加えてルイス・ナッシュ(ds)が華々しいドラムソロで炸裂しているのだからたまらない。主役のリックは速いフレーズをノリノリで弾くというよりも、コードワークを交えながらおおらかにプレイしている。

 ジャーマンソンは中堅トランペッター、ブライアン・リンチ(1956年生まれ)のピアニストとして頭角を現した逸材だ。1972年ミルウォーキー生まれ。1998年にニューヨークへ進出し、1996年にはアメリカン・ピアニスト協会のジャズピアノコンクールで大賞受賞。2004年には米NYCのジャズ・ニュースサイト『All About Jazz』 から「Best of New Talent」を贈られている。



テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

【’90~2000年代・名盤100選】Chris Potter Quartet / Sundiata

​Chris_Potter_Quartet_Sundiata

Chris Potter (ts, as, ss)
Kevin Hays (p)
Doug Weiss (b)
Al Foster (ds)

Recorded: December 13, 1993 at RPM Studio, NY
Engineer: Max Bolleman (Criss Cross 1107)

コンテンポラリー・ジャズはここから始まった

 いまをときめくコンテンポラリー・ジャズの雄、サックス奏者クリス・ポッターが1995年にリリースしたCriss Crossレーベル第2弾。92年に同レーベルで録音した『Presenting Chris Potter』でアルバム・デビューした彼が、まだ初々しかった初期の名盤だ。

 当時スティーリー・ダンのバック・バンドにも参加していた新鋭ポッターが「まだこれから」の時期である。本盤ではケヴィン・ヘイズ・トリオをバックに、ワンホーン・カルテットの編成で聴かせる。ドラマーはマイルス・デイヴィスとの共演で知られるアル・フォスターだ。

 この2nd盤は、エネルギッシュなプレイで知られる猛獣ポッターの「静の顔」が見られる、という意味で非常に貴重だ。

 といっても別につまらないバラードばかりで構成されているわけじゃない。ここでのポッターは決していまのように激しくブロウしないが、それはあくまで現在の彼とくらべてであり、またプレイスタイル上だけでの話だ。収録されている楽曲自体はどれもコクのある佳曲ばかりが揃っている。

 自身のオリジナル6曲に「Body and Soul」、ソニー・ロリンズ「Airegin」を加えた合計8曲。リリースから20年以上経たいま聴き直しても、色褪せるどころか作品としての完成度が傑出していることに驚かされる。まさにコンテンポラリー・ジャズはここから始まったのだ。

 個人的には、2000年代に彼が結成する奇をてらった「クリス・ポッター・アンダーグラウンド」などより本盤のほうがはるかに好みだ。本作が録音された93年といえば、まだあのブラッド・メルドーでさえ初期のころ。コンテンポラリー・ジャズを探求するなら、まずはこの作品からという感じである。

 クリス・ポッターは1971年イリノイ州シカゴ生まれ。11才でアルト・サックスを始め、高校卒業と同時にニューヨークへ移住した。ニュースクールに入学後、マンハッタン音楽院に編入。22歳の時に加入したミンガス・ビッグバンドでの演奏をたまたま観たウォルター・ベッカーがひと目惚れし、1993〜94年のスティーリー・ダンのツアーに参加した逸話は有名である。

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【’90〜2000年代・名盤100選】Chris Cheek / Vine

​Chris_Cheek_Vine

Chris Cheek (ts, ss)
Brad Mehldau (p, fender rhodes)
Kurt Rosenwinkel (g)
Matt Penman (b)
Jorge Rossy (ds)

Recorded: December 20-21, 1999 at Avatar Studios, NY
Engineer: James Farber (FSNT 086)

2000年代の新感覚クール・ビューティー誕生

 それまでの「ジャズ」の概念を打ち砕き、まったく新しいジャズを生み出した記念碑的な傑作だ。この音を好むか好まざるかにかかわらず、聴く者をたちどころに瞬殺するインパクトがある。サックス奏者、クリス・チークが2000年にリリースした3枚目の金字塔である。

 4ビートなどカケラもない。バップフレーズよ、さようなら。まったく聴いたことのない斬新なアレンジが空間を切り裂く。プレイヤーは絶対に熱くなることなどなく、あくまでクールに淡々と音を紡ぐ。

 ベースとドラムがのたうつようなリズムを打ち出し、サックスとギターがユニゾンで奇妙なテーマ風フレーズをリピートする。バッキング時のギターは遠慮なくアルペジオを繰り出し、それらの上に乗るサックスは、その後2000年代を席巻することになる浮遊感のあるウネウネした不思議なノリでソロを取るーー。

 '90〜2000年代に大手を振ってジャズ界を闊歩したパット・メセニーとジョン・スコフィールドが旧世代の巨頭だとすれば、ブラッド・メルドーとカート・ローゼンウインケル、ジョシュア・レッドマンはそれに続く新御三家だった。だが彼らとはまったく異なる奇抜なアプローチで新大陸を発見したのが本アルバムである。

 メンバーはごらんの通り。ブラッド・メルドー(p)とカート・ローゼンウインケル(g)、マット・ペンマン(b)、ジョージ・ロッシ(ds)という、2度と実現不可能な当代きっての大物たちが勢揃いしている。なかでも特にローゼンウインケルの時代を切り裂くような革新的なギタープレイが印象に残る。

 当たり前のように計8曲すべてチーク自身のオリジナル。現代ジャズの特徴であるコンポーザー志向の走りだ。うち半分の4曲でメルドーがフェンダー・ローズのエレキ・ピアノを弾いているのも新しい。

 まちがいなく2000年代の新感覚ジャズはここから始まった。本盤を聴かずしてコンテンポラリー・ジャズは語れない。

 クリス・チークは1968年セントルイス生まれ。1988年にバークリー音大に入学し、1992年にニューヨークへ移住した。1997年にFSNTから『I Wish I Knew』でアルバム・デビュー。FSNTから本作も含め『A Girl Named Joe』(1997)、『Blues Cruise』(2005) の4枚のリーダー作を発表している。





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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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