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Roy Haynes / SUMMER NIGHT



ストリックランドがかっこいいです。

Roy Haynes (ds)
Marcus Strickland (ts)
Martin Bejerano (p)
John Sullivan (b)

Modern Drummer Festival 2005
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Joonas Haavisto / Blue Waters

1

Joonas Haavisto (p)
Antti Lotjonen (b)
Joonas Riippa (ds)

Recorded: February 27-28, and April 20-22, 2009, Finland
(Rockadillo Records ZENCD2130)

フィンランド産ピアノトリオが紡ぐ氷の夢

 いま圧倒されて口もきけない状態になっている。途方もない埋蔵量の金脈を掘り当てたような気分である。1982年フィンランド生まれのピアニスト、ヨーナス・ハーヴィストが2009年にリリースしたデビュー作。どこまでも透明でモノクロームのめくるめく永遠が続く。

 いままで過去に聴いたピアノトリオでベスト3をあげるとしたら、ブラッド・メルドー、マーク・コープランド、そしてこのヨーナスだろう。それほど独自の個性と鮮烈なインパクトがある。一撃でリスナーを捕らえる武器をもっている。

 彼はこれまでに2nd盤の「Micro to Macro」(2012年、レビュー記事はこちら)、3rd盤「oku」(2016年、レヴュー記事はこちら)を発表しているが、このデビュー作がいちばん耳に残るメロディーが多くてわかりやすい(ポップという意味ではない)。初めて聴く人にはやや重苦しい最新作の3rd盤より、完成度が高い2nd盤か本作をおすすめしたい。

 1曲を除きすべてオリジナルの全8曲。ぎらぎらとエネルギッシュで熱い音か? サラサラと静かに流れ出す清水のような音か? といえば明らかに後者だ。いや案外ノリのいい曲もやっているのだが、決してわかりやすくホットに熱くならない。しんしんと底冷えのする氷室から密やかに漏れ出す音、という感じ。極寒で自然が厳しい故国フィンランドの空気感に満ちている。極めて現代的なジャズである。

 3rd盤の日本語版解説にはキース・ジャレットの影響を受けていると書いてあったが、ぶちゃけ、この人は誰にも似ていない。彼にしか放てないとっておきの音の言霊をもっている。ヘルゲ・リエン・トリオみたいに絶対ポップにならないでほしい。どうかこのままそっと、たおやかに。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Joonas Haavisto Trio / Micro to Macro

1

Joonas Haavisto (p)
Antti Lotjonen (b)
Joonas Riippa (ds)

Recorded: December 19-21, 2011, at Kallio-Kuninkala Studios, Finland
Engineer: Kimmo Antikainen (Blue Gleam BG005)

北欧ピアノトリオの枯淡な舞い

 ひさしぶりにピアノトリオにやられた。こいつはすごい。2012年にリリースされたフィンランド出身のヨーナス・ハーヴィスト・トリオ2nd盤。涼しげな清流のひとしずくが大地に染み渡るような悠久の時の流れを感じさせる。

 ピアニストのヨーナスは2009年に初リーダー作「Blue Waters」をリリースして以降、端正な曲作りが支持され日本でもブレイクした。4月にはジャパン・ツアーを終えたばかりだ。メンバーはヨーナスのほか、デビューからずっと活動を共にしているアンティ・ロジョネン(b)、ヨーナス・リーバ(ds)が参加している。

 全8曲すべてヨーナスのオリジナル。先日リリースされたばかりの3rd盤「oku」(2016年、レヴュー記事はこちら)の評でも書いたが、故国フィンランドの冷たい雪景色が見えてくるような音でアルバムは満たされている。音を色で表現すれば、彼らのジャズは雪のように真っ白だ。

 明らかにクラシックの影響があり、ブルージーな要素を感じさせない。あくまで淡々と、ひんやりした寒色系の音使いで北欧の曇り空のようなメランコリックな世界を紡いで行く。空間を感じさせる音の広がりと、その枯淡な味わいにじんわり心が癒される。

 けっこうリズミックな曲もあるが、ホットなアメリカの黒人系ジャズとは明らかにちがう。エネルギッシュに粘らず、さらさらと流れて行く。そこがいい。リズムにいい意味で重さがなく、ひらひらと軽やかに宙を舞うピアニズムに幸せな気分になれる。4枚目のアルバムが待ち遠しい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Donald Edwards / Prelude To Real Life

1

Donald Edwards (ds)
Walter Smith III (ts)
David Gilmore (g)
Orrin Evans (p)
Luques Curtis (b)

Nicholas Payton (key on M-1, 3, 6)
Vivian Sessoms (vo on M-3, 5, 10)
Antoine Drye (tp on M-12)

Recorded: September 14, 2015, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1386)

ベーシックなのにエッジの利いた現代ジャズ

 ストレート・アヘッドなんだけど、エッジの利いた新しい要素も入れてくる。聴きやすいけどベタじゃない。4ビート曲もあるが、手垢のついた既製品とはひと味ちがうーー。そんな不思議な湯加減の新作が登場した。ドラマーのドナルド・エドワーズが放つ、Criss Crossレーベル第2弾になる最新リーダー作だ。

 メンバーにはウォルター・スミス3世(ts)やデヴィッド・ギルモア(g)、オリン・エヴァンス(p)と、おいしいところがズラリ。このところの彼の売れっ子ぶりを反映したラインナップである。

 それにしてもエドワーズはそう若くないのに、Criss Crossから前作「Evolution Of An Influenced Mind」(2014年、レヴュー記事はこちら)を出してからというもの、あれよというまの売れっぷり。苦労人に陽が当たるのを見るのはいいものだ。

 さて本作には、3曲を除き全てオリジナルの計12曲が収録されている。例によってエドワーズの作曲の才が冴えており、何度聴いても聴き飽きない。本ブログの「2014年・イチ押し新譜ベストテン」(こちら)にもチャートインした彼の前作は、凝ったアレンジで非常によくできた作品だったが、今回はまったくちがう切り口なので驚いた。エドワーズの引き出しは広そうだ。

 実はリリースされてすぐ試聴した際にはもっとキワモノに感じ、スルーしようかと思ったのだが……買って聴いてみると思いのほかベーシックな音でいい意味、裏切られた。非常に楽しめる作品だ。3曲にあしらわれた女性ヴォイスの使い方も嫌味がなく、サラリとうまく処理されている。スタンダードなスタイルの中にも、随所にキラリと光る現代的な要素が散りばめられており退屈させない。

 ただM-1のような効果音をバックにドラムソロをやってるだけ、みたいなのはどうなんだろう? どうもアメリカ人って楽曲として成立してないこの種のギミック(こけおどし)が好きなようだが、退屈でしかない。前作でもM-1にお祈りヴォイスとドラムソロだけの不気味なギミック曲が入っていたが、しんどいので必ず飛ばして聴いていた。今回も同様そうなっているが、いちいち曲を飛ばすのが面倒だ。エドワーズさん、お願いしますよ。

 なお録音エンジニアは名匠マイケル・マルシアーノだ。相変わらず彼の手がけた作品は音質がすばらしい。音圧が高めで力感があり、ホログラフのように浮き立つ音像の立体感が芸術的。さすがはマルシアーノである。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Patrick Cornelius / While We're Still Young

1

Patrick Cornelius (as, ss, fl)
Jason Palmer (tp)
John Ellis (ts, b-cl)
Nick Vayenas (tb)
Miles Okazaki (g)
Gerald Clayton (p)
Peter Slavov (b)
Kendrick Scott (ds)

Recorded: December 14, 2014, at Avatar Studios, NY
Engineer: Tyler McDiarmid (Whirlwind Recordings WR4682)

しゃれたテイストと壮麗なアレンジがまぶしい

 豪華な衣装を身にまとった貴婦人のようなアルバムだ。総勢4管でホーンアレンジをばっちり決め、ツワ者たちが次々にソロを取る。洒脱なテイストと壮麗な音の厚みで圧倒する。NYの若手サックス奏者、パトリック・コーネリアスがリリースしたばかりの5枚目になるリーダー作だ。

 NY人脈を散りばめたメンバーも豪華である。鬼才ジョン・エリス(ts)が目についたかと思えば、真正天才ジェラルド・クレイトン(p)、元M-BASE派のマイルス・オカザキ(g)までいる。これでボトムを支えるのがケンドリック・スコット(ds)なんだから言うことはない。

 アルバムは全6曲すべてコーネリアスによるオリジナルだ。長い曲が多く、10分近いものが半分の3曲も収録されている。この楽曲の長さは裏を返せば、作品を追うごとにコンポーザー志向を強めて行った彼が、いかにアレンジ面を練り上げて作ったかを表している。

 だがその意図はわかるが、いかんせんちょっとアレンジ過多だ。重厚といえば重厚だが、各楽曲が本来もって生まれたダイヤモンドの原石のような素の魅力が薄れてしまっている気がする。編曲という厚化粧で塗り固めたため地肌の美しさが伝わってこない、みたいな感じ。装飾が多すぎるのだ。

 もちろんある種交響曲のような本作の厚みある音が好きだ、という人はいるだろう。だが個人的には、残念ながら気持ちよく聴けない。例えばしだいに演奏が熱を帯び盛り上がってきたというのに、突然キメが入ってめまぐるしくリズムパターンが変わり、という調子が続く。しゃべりすぎるアレンジのせいでせっかくのノリが寸断されてしまう。「演奏者が乗ってるんだから、もっとストレートにビシッと最後まで通してほしい」的な不完全燃焼が残る。コーネリアスは、ちょっと頭でっかちになっているんじゃないか?

 振り返ればコーネリアスの2nd盤「Fierce」(2010年、レヴュー記事はこちら)は、ワイルドな魅力にあふれたアルバムだった。その奔放な作風は次作の「Maybe Steps」(2011年)にも受け継がれ、前作とくらべ装飾的な要素も加味したバランスのとれた良盤になっていた。

 その後、彼のアレンジ重視の傾向は4作めの傑作「Infinite Blue」(2013年、レヴュー記事はこちら)で結実し、ひとつの頂点を極めたといえる。で、その次に出たのが本作である。印象としてはアレンジに凝りまくる路線がさらに高じ、もはや作品として許容できる限界点を越えてしまった感じがする。いや、もちろんこの華美な音作りが「いい」と感じる人はいると思うが、個人的にはあまり乗れない。

 てなわけで次回作は原点に帰り、ひねりすぎずにもっとストレートな音が聴きたいなぁ、とそっと呟いておくとしよう。

ここに音源あり

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Florian Hoefner Group / Luminosity

1

Seamus Blake (ts, ss)
Florian Hoefner (p)
Sam Anning (b)
Peter Kronreif (ds)

Recorded: June 8-9, 2015, at Acoustic Recording, NY
Engineer: Michael Brorby (Origin Records ORIGIN82706)

S.ブレイク参加、渋さを極めたコンポラの秀作

 ドイツ出身のピアニスト、フローリアン・ホフナーがリリースしたばかりの最新作だ。彼にとってはOrigin Recordsから3枚目の作品になる。派手さとは対極で、さりげない渋さの中にコンテンポラリーな独特のセンスがきらりと光る秀作である。

 主役のフローリアンは、あのカート・ローゼンウィンケルが客演した「Roman Ott Inner Shape」名義の隠れ名盤「Seeing People」(2009)にも参加している知る人ぞ知るピアニストだ。ベルリン芸術大学でジャズピアノの学位を取り、その後、NYCのマンハッタン音楽院でジェイソン・モラン、デイヴ・リーブマンらに師事している。

 全8曲すべてフローリアンのオリジナル。どちらかといえばベン・ヴァン・ゲルダー的な、あえてヤマ場を作らないようなウネウネしたクールなジャズだ。とはいえゲルダーほど無味乾燥さは極端でなく、適度に見せ場を作りながら随所で盛り上がるうまいアレンジがなされている。

 アルバム全編、シェイマス・ブレイクが前面に出て現代的なプレイをかます。それもおいしいのだが、なにより主役フローリアンのピアノがまた素晴らしい。特にM-2、M-3、M-4、M-5のピアノソロは飛び切りスリリングでかっこいい。ピアノ好きなら彼のピアノを聴くためだけに買っても損はない。リズム隊もしっかりしたサポートで全体の土台を支えている。

 とにかく渋い作りなので、一度聴いただけではピンとこないかも? 2度3度と聴いてるうちにジワジワと滋味が滲み出す。そのぶん飽きずに長く楽しめる盤である。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Romain Pilon / The Magic Eye

1

Romain Pilon (g)
Yoni Zelnik (b)
Fred Pasqua (ds)

Ben Wendel (ts on M-1, 3, 4, 7)
Walter Smith III (ts on M-1, 3, 4, 7)

Recorded: December 18, 2014, and February 14, 2015
Engineer: Andre Charlier & Nicolas Charlier (Jazz & People JPCD-815004)

スタイリッシュで華のあるギタリズム

 フランス人若手ギタリストのロメイン・ピロンが、2015年11月にリリースしたばかりの3枚目のリーダー作だ。芸風はちょっとフュージョンがかった都会的なコンテンポラリー・ジャズ。2管に豪華ゲストを配し、きらびやかな音の世界を演出している。

 ピロンは10才でギターを始め、1997年にシャンベリ・ジャズ音楽院に入学。その後、バークリー音大でピーター・バーンスタインやミック・グッドリックに師事した。卒業後、ニューヨークへ進出したが、現在はパリを拠点に活動している。2012年春に初リーダー作「NY3」をリリース。翌年には2nd作「Colorfield」を発表している。

 メンバーは、長年活動を共にしてきたフランス在住のイスラエル人ベーシスト、ヨニ・ツェルニックと、フレッド・パスクアがリズム隊を組む。加えてベン・ウェンデル、ウォルター・スミス3世の豪華2大テナーが4曲でフィーチャーされている。

 1曲を除きオリジナル7曲の合計8曲。M-1のイントロを爪弾くギターを聴いただけで、「ああ、この人は独特の雰囲気をもってるな」とすぐわかる。ギターによるM-5の導入部もゾクっとさせられるし、スタイリッシュでかっこいい華のあるギターを弾く。

 カッチリしたピッキングはジェシ・ヴァン・ルーラーを連想するし、全体的な雰囲気はラーゲ・ルンドにもちょい近い。要はギタープレイのみ、取り出してみれば文句なしだ。ただ一点、アルバム・コンセプトとコンポジションにはやや疑問が残る。

 まず第一に、全8曲中4曲を、2管にまでする必要があったのかどうか?

 曲によっては2管が激しく絡まりながら盛り上がっているのだが、主役のギターはひたすらバッキングしてるだけ。ギターソロがまったく出てこない。しかもサックスがソロを取ってるときには、なんだか安物フュージョンのチープな匂いがしてしまう。ホーンアレンジもポップすぎるし、要は大々的にフィーチャーした管が生きるどころか、足を引っ張っている感じがするのだ。

 ちなみにピロンのデビュー盤「NY3」はギタートリオで、緊張感のあるちょっと屈折したトンがった味がよかった。この人はああいう切り口で、あくまでギタートリオでぐいぐい押してほしい気がする。

 うがった見方をすればデビュー盤がコアすぎる内容だったため、今回はセールスを考えてビッグネームを2人も呼び、売りやすいポップなテイストにしたのでは? などと余計な想像をしてしまう。まあそれはともかく、この人のギターが他人にないものをもってることは明らかだし、だったらそれを最大限に生かす売り出し方を考えるべきだろう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jae Sinnett / Zero to 60

1

Jae Sinnett (ds)
Ralph Bowen (ts)
Allen Farnham (p)
Hans Glawischnig (b)

Recorded: September 2015, at Bias Studio, VA
Engineer: Bob Dawson (J-Nett Music 8120)

肉汁したたるレアステーキのようなこってり盤

 ラルフ・ボウエン(ts)が火の玉みたいに吹きまくる。力強くホットな4ビートの饗宴が繰り広げられる。渋さ満開のベテラン・ドラマー、Jae Sinnettが発表したばかりの好盤だ。

 Jaeは1986年にデビュー盤をリリースして以来、本作も含め14枚のリーダー作を発表している。いままで作曲した楽曲は150曲以上。本作は2年ぶりの作品になる。

 メンバーはボウエンに加えアラン・ファーナム(p)、ハンス・グラヴィシュニク(b)と、主役に劣らず渋いところが揃った。その肝心の主役はツボを心得た音数の少ないドラミングで、リーダー作だというのに出しゃばらずチームの骨格になっている。

 1曲を除きすべてJaeオリジナルの計10曲。肉汁がしたたり落ちるレアステーキのような盤である。とにかくこってりドラマチックで熱い、熱い。わかりやすく、だれもが楽しめるこの爽快感と豪快さはすばらしい。

 おまけに楽曲がどいつもこいつもカッコいい。キメのひとつひとつが効いており、テーマもバッチリ決まってる。別段「新しさ」なんてどこにもないが、ふと気がつくと我を忘れてカラダがリズムを取っている。ジャズの、というより音楽の醍醐味ってこれだよなぁ、と忘れていたものを思い出す。

 エネルギッシュでノリノリのジャズが好みの人には絶対おすすめ。汗が飛び散るジャズでなければジャズじゃない、というあなたにはピッタリの1枚だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

David Gilmore / Energies of Change

1

David Gilmore (g)
Marcus Strickland (ss, as, ts, bcl)
Luis Perdomo (p)
Ben Williams (b)
Antonio Sanchez (ds)
Kofo Wanda (talking ds on 3)

Recorded: December 19-20, 2010, and November 19, 2012
(Evolutionary Music EVMU002)

炎のM-BASE系ギタリスト、自身最高傑作が登場

「俺はM-BASEを通り抜けてきたぜ」ってな作風でひた走る炎の男、デヴィッド・ギルモアが、4枚目のリーダー作を発表した。これはまちがいなくギルモアの最高傑作といっていいだろう。断崖絶壁の上を丸裸で綱渡りするようなスリリングでアグレッシヴな音の奔流に飲み込まれてしまいそう。ああ、快感である。

 メンバーも超豪華だ。主役のギルモアとマーカス・ストリックランド(ts)、ルイス・ペルドモ(p)が、ベン・ウィリアムス(b)、アントニオ・サンチェス(ds)という重量級リズム隊の上に乗っかっている。贅沢な布陣である。

 出番満点の主役を除けば、アルトにテナーにバスクラにと獅子奮迅の活躍を見せるストリックランドがいい。スッと肩の力を抜き、決して力むことなくクールに決めるところがかっこいい。またリーダー作となると構えすぎて崩壊してしまうペルドモも、サイド参加作では相変わらずサラリとプレイしておりまったく素晴らしい。

 ギルモアのオリジナル7曲にウェイン・ショーター曲、ケニー・カークランド曲を合わせた計9曲。要所でM-BASEっぽい変拍子を散りばめ、難度の高いキメの連続でドキドキはらはら聴かせる。

 複雑なキメが乱れ打ちのM-2では、ギルモアがワイルドで奔放なギタープレイをこれでもかと見せつける。M-3でも超難度Aクラスのキメが機関銃のように放たれ、M-4ではリズム隊が生み出すズッシリしたうねりに乗せギルモアがまたも破壊的に暴れ回る。

 このほか浮遊感のあるノリでギルモアがトボけたソロをかますM-5、中盤でブレイクっぽい感じになって以降の緊張感がすごいM-6も耳に残った。いずれ劣らぬ綱渡りぶりで、1枚通して聴き終わるとぐったり心地よい疲労感に包まれる。

 本盤がリリースされたのは正式には2015年11月のようだが、日本語解説つきの国内盤リリースは2016年2月25日の予定。なので強引に「今年の年間ベスト10アルバム」に入れようか? などと早くも年末の心配をさせてくれる傑作である。

ここに音源アリ


*ドラマーのみスタジオ盤と異なり、ルディ・ロイストンがプレイしている。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Klemens Marktl Sextet / December

1

Klemens Marktl (ds)
Seamus Blake (ts, ss)
John Ellis (ts, ss, bcl)
Aaron Goldberg (p)
Joe Locke (vib)
Harish Raghavan (b)

Recorded: April 8, 2015, at the Samurai Hotel Recording Studio, NY
Engineer: David Stoller (FSNT 489)

NYの顔役がズラリ、スッキリ辛口の大吟醸をどうぞ

 シェイマス・ブレイク(ts)ら現代ジャズ界のおいしいところがズラリ揃った。役者を得て、幾重にも塗り重ねられた豪華なアレンジに圧倒される。NYジャズ・シーンで敏腕サイドメンとして知られるドラマーのクレメンス・マートルがリリースした最新作だ。コンテンポラリー・ジャズの快作である。

 マートルは1976年オーストリア生まれ。オランダのアムステルダムでジャズ・ドラムを学び、2003年にニューヨークへ移住した。デビュー作は「The Challenge」(2003年)。以後、本作も含め6枚のリーダー作を出している。

 メンバーはシェイマス・ブレイク(ts)にジョン・エリス(ts)、アーロン・ゴールドバーグ(p)、ハリシュ・ラジャン(b)ら、NYの顔役たちが結集した。順番に何枚でもリーダー作が作れそうな面々である。

 全10曲すべてマートルのオリジナル。NYの若手によくあるような屈折したところがまるでなく、作風は堂々の内角高め。スッキリ辛口の大吟醸を思わせる。まるで楽想が耳の穴から湧き上がってくるかのようなアイデアの豊富さだ。

 例えばM-1とM-6では当代きっての豪華2管のスリリングな掛け合いが聴ける。M-6のテーマ部はホーンアレンジもバッチリ決まってかっこいい。「コンテンポラリー・ジャズってどんなふう?」と聞かれたら、黙って本作を差し出せばいい。

 ブレイクやエリスがいいのは当然として、今回はベーシストのハリシュ・ラジャンに改めて驚かされた。デイナ・スティーブンスの「Reminiscent」(2015年、レヴュー記事はこちら)やウォルター・スミス3世の「Still Casual」(2014年、レヴュー記事はこちら)などでも彼のプレイは聴いていたが、リズム感あふれる俊敏なノリと楽曲構成を生かすコレクティヴなプレイぶりがすばらしい。彼ははっきりベン・ストリートの後釜を狙えるだろう。

 マートルといえば、クリス・チークやマット・ペンマンらを従えた2ndリーダー作「Ocean Avenue」(2005年)もよくできていた。本作も重厚な音の厚みがあり、楽器の重ね方や聴き手の求心力を持続させるメロディ作りなど、いかにもコンポジションの才能があるなぁ、という感じがする。人によってはややアレンジ過多と解釈するかもしれないが、そこを「暑苦しい」と感じるかどうかでこの作品に対する評価が決まりそうだ。

ここに音源アリ



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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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