Marc Copland / Some More Love Songs

Marc Copland (p)
Drew Gress (b)
Jochen Rueckert (ds)
Rec. October 12-13, 2010, at Pirouet Studio, Munich
Engineer: Jason Seizer (Pirouet PIT3062)
カヴァーを自分色に読み替える魔術師ぶりは健在だ
コープランドは独自の体内時計を持ち、そのフィルターを通して他人の曲を一瞬にして自らの間合いに読み替えてしまう。そんな独特の文法を持っている。
本作でもその魔術師ぶりは相変わらずだ。発売されたばかりの最新作だか、全7曲中、オリジナルは1曲のみ。ジョニ・ミッチェル曲、ロン・カーター曲、スタンダード等がずらり並ぶが、どれもオリジナルであるかのように妖しく光る自分色に塗り替えている。
タイトルを見ればわかる通り、本作は2005年にリリースされた彼のヒット作「Some Love Songs」の続編的な位置づけだ。前回同様、愛をテーマに構成されている。なるほど確かに優しくリラックスできる音である。参加メンバーも前回と同じく、ベースがドリュー・グレス、ドラムスがヨッケン・リュッカートの必勝体制だ。
前作の「Some Love Songs」は、適度にコマーシャルで適度に妖しかった。名作のNew York Trio Recordingsシリーズとくらべポップだし、傑作「Haunted Heart」ほどの底知れなさはなかったが、あの「ほどほど感」がヒットの理由なのだろう。そのパート2を出してきたのだから、今度も「売ろう」ということだ。
そんな視点から見れば、本作はいかにも穴がない。そつなくプロ的に仕上げている。3人のインタープレイもマニアックにならない程度に収め、明らかに最大公約数を狙う音作りをしている。個人的にはもう少しコープランド的な異界を垣間見せられるような刺激がほしい気もするが、セールスを考えればまあこういうセンなのだろう。
プロはたとえインスピレーションが湧かない時でも、蓄積したノウハウと技術を駆使して常に80点以上の作品を作れる。それが90点のときもあれば120点の回もあるが、常に80点以上であることに変わりない。コープランドがそんなアルバム制作の経験を生かし、うまくまとめた。変哲もないが、でも水準以上。そんな印象の好アルバムだ。











