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Glenn Zaleski / The Question

Glenn Zaleski Quintet_The Question

Glenn Zaleski (p)
Adam O'farrill (tp)
Lucas Pino (ts)
Yotam Silberstein (g) M-6
Desmond White (b)
Allan Mednard (ds)

Alex LoRe (as) M-5
Andrew Gutauskas (bs) M-5
Nick Finzer (tb) M-5
Andrew Renfroe (g) M-5

Recorded: February 16, 2020, at Samurai Hotel Recording Studio, NY
Engineer: David Stoller (Sunnyside SSC1591)

クールで勇壮なコンテンポラリー・ジャズ

 個人的に注目しているピアニスト、グレン・ザレスキの3作目だ。2020年録音の最新作である。

 穏やかな大海原を漂うようなクールなコンテンポラリー・ジャズを聴かせている。スケールの大きな音だ。

 今回は前作、前々作とくらべ大幅にコンセプトを変えてきた。じっくり何度も聴いていると良さが滲みだしてくるような渋い盤だ。

 もともとこのグレン・ザレスキについては、アメリカ版のiTunes Storeで新譜を物色していてたまたまメジャー・デビュー盤を買ったのが最初だった。

 デビュー盤の『My Ideal』(2014)はオーソドックスなピアノトリオで、手堅くスタンダードやジャズメン・オリジナルをやっていた。

 ただし選曲は王道だったが、ピアノの音色や雰囲気にただならぬものを感じた。

 で、2ndアルバム『Fellowship』(2015)が出たら即買いした。すると今度は同じメンツのピアノトリオで、個性やテクニックを聴かせるコンテンポラリーな音作りをしていた。

計算されたコンポジション

 そして3作目に当たる本盤『The Question』だ。今度はトランペットとサックスを入れたクインテットである。

 フタを開けてみると……2管を入れてハデにやるのかなと思ったら、なんと逆に時には音数を抑えたクールで勇壮なコンテンポラリー・ジャズをやっている。

 メンバー個々がテクニカルで派手なソロを聴かせる楽曲もなかにはあるが、どちらかといえばコンポジションで勝負する音が支配的だ。

 楽曲の造りが非常に計算されており、「アドリブよりアレンジや楽曲構成」を優先する人にはおいしいかもしれない。

 いやはや、持ちネタの豊富なミュージシャンである。

抑制的な演奏の味わいがいい

 収録曲は全8曲。デイヴ・ブルーベックの「Strange Meadow Lark」、新主流派ジェームス・ウイリアムズの「Road Life」以外の6曲はすべてオリジナルによる構成だ。

 ドカンと派手に熱く盛り上がる楽曲もあるが、逆に淡々とした最先端のトンガリ感を漂わせたナンバーもいい。そんな曲ではソリストはどこか抑制されており、アレンジの妙で聴かせる音に仕上げている。

 その意味ではわずかに聴き手を選ぶかもしれないが、ハマる人にはこたえられない。そんな個性的な音が出来上がった。

 なお個人的には前作、前々作のリズム隊が非常に気に入っていたので、その点ではちょっと残念な感じはある。

 とはいえハッキリ水準をクリアした「新世代ジャズ」であることはまちがいない。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Peter Bernstein / Earth Tones

Peter Bernstein_Earth Tones

Peter Bernstein (g)
Larry Goldings (organ)
Bill Stewart (ds)

Recorded: December 14, 1997 at RPM Studios, NY
Engineer: Max Bolleman (Criss Cross 1151)

オルガン・ジャズの決定版!

 ご存知、現代ギタリストのピーター・バーンスタインのオルガン・ジャズといえば、決定版なのがこの盤だ。

 ラリー・ゴールディングス(organ)とビル・スチュワート(ds)という気の合う仲間が集まって録りました、みたいな感じの盤である。

 ただしアルバム全体の曲調はバーンスタイン盤によくあるリラックスしたブルース調ではなく、けっこう緊張感のある音になっている。

 そこがいい。

 もちろんリラックスできる曲調の楽曲もいい配分で収録されていて、いい湯加減だ。

 収録曲は全9曲。バーンスタインのオリジナルが5曲、ゴールディングスの曲が1曲、あとはスタンダードとジャズメン・オリジナルだ。

 実は私はバーンスタインの大ファンなのだが、「あ、バーンスタインを聴こう」と思うとかなりの確率で本盤を取り出す。

 内容が非常にデキがよく、バーンスタインのオリジナルもすべて水準が高い。

 現代ジャズを聴く人なら、この盤を聴いて「つまらない」という人はいないんじゃないかな。

 てなわけで超・おすすめです、ハイ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Walter Smith III / III

Walter Smith III / III

Walter Smith (ts)
Ambrose Akinmusire (tp)
Jason Moran (p)
Joe Sanders (b)
Eric Harland (ds)
Logan Richardson (as on 4)

Recorded: June 7,2010 at Systems Two Recording Studios,NY
Engineer: Michael Marciano  (Criss Cross 1328)

まちがいなくスミスの最高傑作だ

 ジョー・サンダース(b)がベースでぐりぐり盛り上げてくる。それに呼応してエリック・ハーランド(ds)が音数多くぶっちゃけて行くーー。

 もうこのリズム隊を聴いた時点で昇天する。

 4作目にして、まちがいなくウォルター・スミス3世の最高傑作である。2010年の作品だ。

 アルバム構成はスミスのオリジナル7曲のほか、メンバーが2曲持ち寄り全9曲。このうちなんといってもベストなのはオリジナルの1曲目だ。

 イントロはスミスの独奏。そこにバンド全員が「せーの」で入ってくる瞬間がなんともスリリングだ。

 1番手はアンブローズ・アキンムシーレ(tp)。そこからテーマに戻るがこの時点でリズム隊の音数が増してくる。聴き手の気持ちが持ち上げられる。そしてお次はスミスのソロだ。

 このときバックで叩いてるハーランドのドラムが、もうはじけちゃっててとんでもない。

 そして3番手のジェイソン・モラン(p)が素っ頓狂でアバンギャルドなソロをぶちかますーー。

 もうたまりまへん。

「Casually Introducing」(2006)でFSNTからデビューしたスミスだが、このデビュー作でもうかなりやりたいことをやっちゃっていて、そのデビュー盤と双璧を成すのが本盤だと思っていい。

 買いですな。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Ulysses Owens Jr Big Band / Soul Conversations

Soul_Conversations

Walter Cano, Benny Benack III, Summer Camargo ,Giveton Gelin (tp)
Michael Dease, Eric Miller, Gina Benalcazar, Wyatt Forhan (tb)
Alexa Tarantino, Erena Terakubo (as)
Diego Rivera , Daniel Dickinson (ts)
Andrew Gutauskas (bs)
Takeshi Ohbayashi (p)
Yasushi Nakamura (b)
Ulysses Owens Jr. (ds)
Charles Turner III (vo)
special guest: Stefon Harris (vib)

Recorded: December 7-8, 2019, at Dizzy’s Club Coca-Cola, NY
Engineer: Rob Macomber (Outside in Music OiM2117)

ユリシス・オーエンス・ジュニアのBig Bandだ

 楽しく賑やかなビッグバンドである。

 リーダーの若手ドラマー、ユリシス・オーエンス・ジュニアは、ニコラス・ペイトンやクリスチャン・マクブライド、渡辺貞夫などとの共演歴もある業師だ。

 メンバーを見ると寺久保エレナ大林武司中村泰士らの名前もある。

 いかにも賑々しい大所帯だ。

 収録曲は「Giant Steps」や「Human Nature」、「Girl Talk」などを含む全10曲。

 明るく華やかな現場の雰囲気が伝わってくる演奏だ。

 たまにはダークなNYコンテンポラリーを離れて、こういう理屈抜きに楽しめる盤もいい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Alex Sipiagin / Upstream

Alex Sipiagin_ Upstream

Alex Sipiagin (tp,flh)
Art Hirahara (p)
Boris Kozlov (b)
Rudy Royston (ds)

Recorded: October 24-25, 2020 at Acoustic Recording, NY
Engineer: Michael Brorby (Posi Tone Record PR8219)

アート・ヒラハラのピアノトリオをバックにした意欲作

 明らかに今までのアレックス・シピアギン作品とはひと味ちがう。

 彼の過去作はNYによくあるダークな色味を帯びているものが多かったが、今回の新譜はスコンと抜けたカラッとしたテイストだ。

 あえて挙げればトム・ハレルの「抜け感」に近い感じである。

 メンバーはNYを拠点に活動するピアニスト、アート・ヒラハラと彼のピアノトリオ、すなわちボリス・コズロフ(b)、ルディ・ロイストン(ds)である。

 コズロフのベースの音色がややダークな色味を持ち込んではいるが、明らかにシピアギンの過去作のトーンとはちがう。

 アート・ヒラハラのピアノが全編にフィーチャーされているせいか、ややきらびやかな感じがある。

 アルバムは全9曲。メンバーが曲を持ち寄った。シピアギン曲5曲、ヒラハラ曲1曲、コズロフ曲2曲のほか、M9にはウェイン・ショーターの「Miyako」を持ってきた。

 掛け値なしの傑作である。

 重いリズム隊のノリを基調に、高音部にはヒラハラのピアノとシピアギンが舞う。

 エンジニアのマイケル・ブロービーが手掛けた音質も最高だ。

ここで試聴できます。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Tobias Meinhart / The Painter

Tobias Meinhart

Tobias Meinhart (sax, flute, voice)
Ingrid Jensen (tp) ※2,6
Charles Altura (g) ※1,10
Eden Ladin (p)
Matt Penman (b)
Obed Calvaire (d)

Recorded: 2020 at SearSound,NY
Engineer: Johannes Felscher (Sunnyside SSC1613)

ドイツ生まれの才人サックス奏者

 ドイツ生まれのテナーサックス奏者、トビアス・マイナートの9枚目のリーダーアルバムである。

 収録曲は全10曲。7曲目の「Estate」以外はすべてトビアスのオリジナルだ。内容は非常にバラエティに富んでいる。

 基本的な方向性は2000年以降のNYコンテンポラリーなジャズだが、彼個人、作曲にこだわりがあるせいか、どの曲もひとクセある持ち味だ。

 ただ個人的には、楽曲ごとのひとクセ、ひとクセがややもするとケンカし合い、アルバムとしての統一感というか、どういう方向にもって行こうとしているのか? がやや曖昧になっている。

 いろんなものが豊富にあるが、この人はいちばんなにがやりたいんだろう? それがわからない、みたいな。

 いや、気持ちはよくわかるのだ。Sunnysideというメジャーレーベルで作品を出せることになり、意気込んで、それならあれも入れて、これも入れて……とやってるうちに結局どっちつかずになる、という。

 個人的にはもっと方向性を絞り、アルバム全体に統一感を持たせて指向性をハッキリさせた方がよかったと思う。

 とはいえ収録された楽曲群はどれも水準をクリアしており、上に書いたように余計なことを考えなければもちろん十分楽しめる内容だ。

 レコーディング・メンバーにはイングリッド・ジャンセン(tp)にチャールズ・アルトゥラ(g)、エデン・ラディン(p)。リズム隊はマット・ペンマン(b)、オベド・カルヴェール(ds)と旬で豪華なメンツを揃えている。

 ここは素直に音を楽しむのが正解だろう。

 なおトビアス・マインハートは、バイエルン州生まれ。13歳でサックスを始めた。スイスのバーゼル音楽院に留学し、その後アムステルダム音楽院とベルン芸術大学に進んだ。

 学生時代には2009年のStartbahnジャズコンペティションで最優秀賞を受賞。卒業後ニューヨークに移住し、2012年にはアーロンコープランド音楽学校で修士号を取得した。 「Natural Perception」(2015)、「Silent Dreamer」(2017)などの作品がある。

(追記)

 上では「散漫なアルバム」であるかのように書いてしまったが、じっくり聴き込むと「バラエティに富んだ好盤」であることが体感できた。作者にはお詫びして訂正させて頂く。スミマセン。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Gerald Clayton / Happening: Live at the Village Vanguard

happening_live_at_the_village_vanguard

Gerald Clayton (p)
Logan Richardson (as) ※1,2,4,5,7
Walter Smith III (ts) ※1,2,4,5,7
Joe Sanders (b)
Marcus Gilmore (ds)

Recorded: April, 2019 at The Village Vanguard, NY
Engineer: Tyler McDiarmid & Geoff Countryman (Blue Note UCCQ-1126)

セールス・プロモーションの裏側

 本盤は2020年夏にリリースされてすぐ買ったのだが、そのとき記事にしなかった。へそ曲がりなので、いまごろ記事化しているわけだ。

 なぜってこの盤、ジェラルド・クレイトンがBlue Noteと契約した第一弾だ、ってんで日本盤は出るわ、専用の宣伝サイトは立ち上がるわ、アマチュアのレビュアーはいっせいに記事化するわ、って感じでもう当時はホント狂騒的だった。

 もうね、Blue Noteの広報宣伝戦略にみーんなが乗せられて無邪気に宣伝の片棒かついでるわけ。

 で、そんなミエミエの宣伝戦略に乗せられてたまるか、ってんで、当時リリースと同時に買ったのだが記事にしてなかった。

 で、もう1年たったからいいだろう、と記事化しました(どないやねん)

 楽曲構成はクレイトンのオリジナル4曲にスタンダード、ジャズメン・オリジナルなど全8曲。

 メンバーは主役のジェラルド・クレイトン(p)にウォルター・スミス3世(ts)、ローガン・リチャードソン(as)、ジョー・サンダース(b)、マーカス・ギルモア(ds)と垂涎のメンツだ。

 個人的にもマイ・フェイバリットなミュージシャンばかりでそそられる。

 特にマーカス・ギルモアの細かく刻むドラミングは非常に個性的でいつも感心させられる。

 だがイマイチこのアルバムにのれない理由は、唯一、大嫌いなローガン・リチャードソンのあの耳障りなピーひょろろッ、てな音がアルバム全体に支配的な点だ。

 リチャードソンさえ参加してなければ、と思うと残念である。

 おまけに個人的にはこのアルバム、クレイトンの過去の革新的な盤とくらべれば、芸術作品としては明らかに劣っていると感じる。別に「ハプニング」は起こってない。

「ボディ・アンド・ソウル」とか、これまでのクレイトンのとんがったアルバム作りでは絶対に入れなかった曲が収録されてる点にも非常に違和感がある。

 ひょっとしてBlue Noteとの契約に「スタンダードを必ず入れること」なんていう条項があるんじゃないか? とか、勘ぐっちゃう。もちろん売るために。

「ああ、若い気鋭のミュージシャンはこうして大資本の『売りの構造』に絡め取られ、擦り切れてダメになって行くんだろうなぁ」とか思っちゃうわけだ。

 まあそんな余計なこと考えなきゃそこそこ楽しめるアルバムなんだが(ローガン・リチャードソの音以外w)

 そんなわけで私みたいに余計なことを考えないまっすぐなタイプの人は、ぜひ買って楽しんでくださいまし。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Joe Lovano & Dave Douglas Sound Prints / Other Worlds

Sound Prints

Joe Lovano (ts)
Dave Douglas (tp)
Lawrence Fields (p)
Linda May Han Oh (b)
Joey Baron (ds)

Recorded: January 31, 2020 at Bunker Studios, NY
Engineer: Tyler McDlarmid & Geoff Countryman (Greenleaf Music GRE-CD-1084)

賑々しく2管が跳ねる演劇の世界

 ジョー・ロヴァーノ(ts)とデイヴ・ダグラス(tp)という大御所による共同名義クインテットの新作が出た。

 メンバーにはローレンス・フィールズ(p)にリンダ・オー(b)、ジョーイ・バロン(ds)と旬なところをズラリと揃えている。

 ちなみに彼らは1作目「Live at Monterey Jazz Festival」(レビュー記事はこちら)から呼ばれているメンバーであり、このテの音楽集団でメンバーチェンジが一切ない、というのも珍しい。

 肝心の音は、1作目がそうだったように演劇か何かの背景に流れる音楽のようで、何がしかのストーリー性を感じさせる。

 イマジネーションを働かせて聴くと楽しめる。

 作曲はロヴァーノ5曲、ダグラス5曲の計10曲。すべてオリジナルだ。

 なにやら「ウルトラQ」(死語? 昔の怪獣ドラマね)みたいな、おどろおどろしい曲があったり。

 キメが至る所に登場する難度の高い展開があったり。

 まるでびっくり箱をひっくり返したようなアルバムだ。

 ただし得も言われぬダークな雰囲気が頭からお尻まで一貫していて、それがこのアルバムの顔になっている。

 賑々しく2管が跳ね、ピアノが素っ頓狂なメロディを奏で、とデイヴ・ダグラス名義のアルバムでよく聴ける楽曲傾向である。

 こういう音は日本人にはあんまり思いつかないだろうなぁ。独特です。

 しかしピアノのローレンス・フィールズは相変わらずひねくれていてかっこいい。それがじっくり再確認できた。特に6曲目の長大なピアノソロは聴き物だ。

 なお、このクインテットはウェイン・ショーターにインスパイアされてできたもので、クインテットの名称もショーターの名曲「Footprints」からきている。

 音質はライブだった1作目とくらべて格段によく、楽しめること請け合いだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Victor Gould / Earthlings

Victor Gould_Earthlings

Victor Gould (p)
Dezron Douglas (b)
Eric McPherson (ds)
Tim Warfield (ss) [1,3,7]
Godwin Louis (as) [5,7,9]
Kahlil Kwame Bell (perc)

Recorded: September 19,2017 in Brooklyn,NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1398)

メロディアスで洒脱なNYの音

 若手ピアニスト、ヴィクター・グールドの2枚目にしてCriss Crossデビュー作だ。

 いかにもニューヨークな洒脱でスタイリッシュな音が楽しめる。

 まさに2000年代以降のNYコンテンポラリーなジャズってこれだ、という感じ。

 全10曲でM4、M5、M7、M10がヴィクター・グールドのオリジナル。ほかはジャズメン・オリジナルやスタンダードである。
 
 びっくりするほどオリジナル曲とその他の楽曲との落差がなく、何の気なしに聴いていると区別がつかない。それほど自然な楽曲構成だ。

 彼のピアノはインテリジェンスとメロディアスさを感じさせるプレイぶりで、モーダルなところもある。いろんなおいしい要素がワンパックになっている。

 あんまりノリノリの曲はなく、しんしんと静的で知的な漂うような演奏が続く。「いいなぁ」とうっとり聴いていると、気がつけばもう1枚が終わってる、みたいな感じだ。

 管楽器とのバランスも良好で、サイドメンはあくまででしゃばらず、しかししっかり自分を主張し、てな演奏ぶりがいいあんばい。

 しかしニューヨークというのは、才能とセンスのある若手が次々に出てくるもんですな。

 アーロン・パークスやダニー・グリセット、サリヴァン・フォートナーあたりと並べて聴いても、まったく見劣りしないどころか彼独特の個性が感じられる。

 やっぱりミュージシャンはうまいだけじゃなくて、「自分の色」がないとダメだな、てなことを感じさせられたアルバムでした。かなりおいしいです。

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Will Vinson / Perfectly Out of Place

Will Vinso_Perfectly Out of Place

Will Vinson (as,ss,fl,synth,celesta)
Gonzalo Rubalcaba (p,kb)
Mike Moreno (g)
Matt Penman (b)
Jeff Ballard (ds)
Jamey Haddad (per,4)
Jo Lawry (voice1,4)
The Mivos Quartet (1,4,5)Olivia De Prato, Joshua Modney (vln) Victor Lowrie (viola) Mariel Roberts (cello)

Quintet recorded by Jim Anderson and Tyler Williams at Avatar Studios, NYC on January 31 and February 1, 2015.
Strings and voice recorded by Alex Venguer at Second Story Sound, NYC on June 2015.

ウィル・ヴィンソンの6作目は大作だ

 ウィル・ヴィンソンの6作目だ。今回はクインテットに加え、ストリングスやヴォイス、シンセサイザーが入っている。なかなか荘厳な大作である。

 本作でヴィンソンはプレイヤーとしてだけでなく、コンポーザー/アレンジャーとしての能力も存分に証明している。

 リリース年としては、『Live at Smalls』(2013)のあとに出た作品だ。

 収録曲は10曲。すべてゴンサロ・ルパルカバとともに自身がセルフプロデュースしている。

 クインテットのメンバーは、ゴンサロ・ルパルカバ(p,kb)、マイク・モレノ(g)、マット・ペンマン(b)、ジェフ・バラード(ds)とそそるメンバーが揃っている。

ストリングスやヴォイスが耳に障らない

 個人的にはストリングスやヴォイス、シンセサイザーが入った作品って好みじゃないのだが、本作はそれらがまったく気にならない。

 というか、あまりの力作だけに思わず聴き入ってしまう。「すごい」のひとことしか出てこない。

 中核のクインテットの部分はこれまでのヴィンソン的なのだが、それ以外の音が豊富に入っていて一種の華やかさまで感じられる。

 音としてはヴィンソンらしく内省的で屈折した楽曲が続くのだが、私はそこが逆に大好物なのでムシャムシャ食べてしまう。

 当然ながらアレンジが非常に凝っていて、これだけ楽器が入っているのにピアノとサックスのデュエットのパートがあったりして静的な部分も楽しめる。

 いやはや、『Stockholm Syndrome』(2010年録音)時代から追っかけてきたヴィンソンも、すっかり大家になってきたようである。

【関連記事】

Will Vinson / Stockholm Syndrome』(レビュー記事はこちら

Will Vinson / Live at Smalls』(レビュー記事はこちら

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Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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