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Patrick Cornelius / While We're Still Young

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Patrick Cornelius (as, ss, fl)
Jason Palmer (tp)
John Ellis (ts, b-cl)
Nick Vayenas (tb)
Miles Okazaki (g)
Gerald Clayton (p)
Peter Slavov (b)
Kendrick Scott (ds)

Recorded: December 14, 2014, at Avatar Studios, NY
Engineer: Tyler McDiarmid (Whirlwind Recordings WR4682)

しゃれたテイストと壮麗なアレンジがまぶしい

 豪華な衣装を身にまとった貴婦人のようなアルバムだ。総勢4管でホーンアレンジをばっちり決め、ツワ者たちが次々にソロを取る。洒脱なテイストと壮麗な音の厚みで圧倒する。NYの若手サックス奏者、パトリック・コーネリアスがリリースしたばかりの5枚目になるリーダー作だ。

 NY人脈を散りばめたメンバーも豪華である。鬼才ジョン・エリス(ts)が目についたかと思えば、真正天才ジェラルド・クレイトン(p)、元M-BASE派のマイルス・オカザキ(g)までいる。これでボトムを支えるのがケンドリック・スコット(ds)なんだから言うことはない。

 アルバムは全6曲すべてコーネリアスによるオリジナルだ。長い曲が多く、10分近いものが半分の3曲も収録されている。この楽曲の長さは裏を返せば、作品を追うごとにコンポーザー志向を強めて行った彼が、いかにアレンジ面を練り上げて作ったかを表している。

 だがその意図はわかるが、いかんせんちょっとアレンジ過多だ。重厚といえば重厚だが、各楽曲が本来もって生まれたダイヤモンドの原石のような素の魅力が薄れてしまっている気がする。編曲という厚化粧で塗り固めたため地肌の美しさが伝わってこない、みたいな感じ。装飾が多すぎるのだ。

 もちろんある種交響曲のような本作の厚みある音が好きだ、という人はいるだろう。だが個人的には、残念ながら気持ちよく聴けない。例えばしだいに演奏が熱を帯び盛り上がってきたというのに、突然キメが入ってめまぐるしくリズムパターンが変わり、という調子が続く。しゃべりすぎるアレンジのせいでせっかくのノリが寸断されてしまう。「演奏者が乗ってるんだから、もっとストレートにビシッと最後まで通してほしい」的な不完全燃焼が残る。コーネリアスは、ちょっと頭でっかちになっているんじゃないか?

 振り返ればコーネリアスの2nd盤「Fierce」(2010年、レヴュー記事はこちら)は、ワイルドな魅力にあふれたアルバムだった。その奔放な作風は次作の「Maybe Steps」(2011年)にも受け継がれ、前作とくらべ装飾的な要素も加味したバランスのとれた良盤になっていた。

 その後、彼のアレンジ重視の傾向は4作めの傑作「Infinite Blue」(2013年、レヴュー記事はこちら)で結実し、ひとつの頂点を極めたといえる。で、その次に出たのが本作である。印象としてはアレンジに凝りまくる路線がさらに高じ、もはや作品として許容できる限界点を越えてしまった感じがする。いや、もちろんこの華美な音作りが「いい」と感じる人はいると思うが、個人的にはあまり乗れない。

 てなわけで次回作は原点に帰り、ひねりすぎずにもっとストレートな音が聴きたいなぁ、とそっと呟いておくとしよう。

ここに音源あり
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Patrick Cornelius / Fierce

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Patrick Cornelius (as)
Michael Janisch (b)
Johnathan Blake (ds)

Nick Vayenas (v-tb on 4, 6, 9)
Mark Small (ts on 5)

Recorded: January 22, 2009, at Bennett Studios, NJ
Engineer: Alessandro Perrotta (Whirlwind Records WR4614)

野生的でアグレッシヴなサックストリオに燃える

 サックストリオがアグレッシヴに暴れる爽快感! NYCで活動する若手アルト奏者、パトリック・コーネリアスが2010年にリリースしたセカンド・リーダー作である。サックストリオで鍵になるベースのマイケル・ジャニッシュがゴリゴリぶっちぎりのプレイで飛ばす。ドラムスのジョナサン・ブレイクともども重厚で攻撃的なリズム隊が圧倒的だ。

 メンバーは主役のパトリック・コーネリアス(as)にマイケル・ジャニッシュ(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)。このサックストリオが基本になる。ほかにゲスト参加として、バルブトロンボーン奏者のニック・ヴァエナス、マーク・スモール(ts)が計4曲でプレイしている。

 トリオ編成のためたっぷりある空間を背に、ジャニッシュとブレイクのリズム隊が音数多くバリバリ煽る。それに触発されたコーネリアスが知性を漂わせながらも躍動的に咆哮する、という構図。サックストリオの見本みたいな展開である。ベースソロあり、ドラムソロありでリズム隊の見せ場も多い。

 コード楽器の不在はマイナスどころか、むしろ3人による広いスペースを生かした激しいインプロヴィゼーションのためのトリガーになっている。そのためノリノリの演奏に身をまかせ、理屈抜きで楽しめるアルバムに仕上がっている。

 コーネリアスは「Lucid Dream」(2006)でデビュー以来、「Fierce」(2010)、「Maybe Steps」(2011)、「Infinite Blue」(2013)と秀作を連発しているが、その中で本盤は最もワイルドでエネルギッシュなアプローチをした作品といえる。

 コーネリアスは2005年にアメリカ作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)主催のYoung Composer Awardsで優勝し、2011年にはダウンビート誌で「将来を嘱望される若きタレント」に選ばれた。また2012年にはアメリカ室内楽協会(CMA)のNew Jazz Works Commissionを受賞している。

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Patrick Cornelius / Infinite Blue

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Patrick Cornelius (as)
Frank Kimbrough (p)
Michael Janisch (b)
Jeff Ballard (ds)
Nick Vayenas (tb on M-1,4,5,6,9)
Michael Rodriguez (tp on M-2,4,5)
John Chin (p on M-9)

Recorded: October 21, 2012, at Bunker Studios, NY
Engineer: Tyler McDiarmid (Whirlwind Recordings WR4637)

華やかで洗練された新世代ハードバップ

 ニューヨークで活動する若手アルト奏者、パトック・コーネリアスの4作目になる最新アルバムは、都会的で洗練された新世代ハードバップだ。バッチリ決めたホーン・アレンジが華やかでスタイリッシュ。奇をてらわないオーソドックスな作りで、だれが聴いても「かっこいい」と言いそうな二枚目路線が気持ちいい。

 メンバーは売れっ子のジェフ・バラード(ds)を軸に、マリア・シュナイダー・ビッグバンドのフランク・キンブロウ(p)、マイケル・ジャニッシュ(b)で組むカルテットが基本だ。これに曲によりマイケル・ロドリゲス(tp)ら新鋭がフィーチャーされている。

 コーネリアスのオリジナル8曲に加え、ゲスト参加の韓国人ピアニスト、ジョン・チンが1曲を持ち寄った。前作「Maybe Steps」(2011)はどちらかといえばインプロ主体の構成だったが、今回は緻密なホーン・アレンジで装飾した楽曲群が煌びやかなイメージを放つ。とても同じミュージシャンの作品とは思えないほど、前作と180度ちがうテイストだ。作曲・アレンジ能力の高さと引き出しの多さに驚かされる。

 アルバム構成をみると、冒頭と中盤、終盤に当たるM-1とM-5、M-8にそれぞれノリのいい4ビートを配し、全体のバランスを取っている。のっけから華麗なホーン・セクションが難度の高いフレーズをキメるM-1は、アルバムの顔ともいえるエネルギッシュなナンバーだ。

 一方、M-5もイントロで登場するホーンの絡みがおもしろい躍動的な曲である。ここでは昨年Criss Crossデビューを飾った「Reverence」(2013年、レヴュー記事はこちら)が印象的だったマイケル・ロドリゲスがテンションの高いソロを吹く。一方、コーネリアスがスピード感のあるテーマからインプロに突入するM-8も凝った作りで、アルバムトータルとして彼のイマジネーションが輝いている。

 プレイヤー別では、全編吹きまくりの主役コーネリアスがいいのは当然として、ほかにはピアノのフランク・キンブロウのプレイが光った。キレのいいバッキングでノリを作り、ソロを取っては伸びやかなフレージングでオンリー・ワンな個性を主張している。

 コーネリアスはデビュー盤の「Lucid Dream」(2006)以降、「Fierce」(2010)、「Maybe Steps」(2011)と高水準の作品を連発しているが、本作はコンポジションも含めて彼の最高傑作といえるだろう。特にメインストリームなハードバップ系が好みの人にはおすすめだ。

 コーネリアスは2005年にアメリカ作曲家作詞家出版者協会(ASCAP)主催のYoung Composer Awardsで優勝し、2011年にはダウンビート誌で「将来を嘱望される若きタレント」に選ばれた。また2012年にはアメリカ室内楽協会(CMA)のNew Jazz Works Commissionを受賞している。

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Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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