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Jason Palmer / Wondaland

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Jason Palmer (tp)
Godwin Louis (as)
Greg Duncan (g)
Luke Marantz (el-p)
Dan Carpel (b)
Lee Fish (ds)

Recorded: December, 2014
Engineer: Chris Sulit (SteepleChase SCCD31800)

今度の新作は人気R&Bシンガー、ジャネール・モネイのカバー集だ

 軽快でダンサブルな独特のリズムがトレードマークの個性派トランペッター、ジェイソン・パーマー。彼がリリースしたばかりの今度の新作は、1985年生まれの人気R&Bシンガー、ジャネール・モネイの楽曲をカバーしたゴキゲンなアルバムである。


 題材になったジャネールは、これまでグラミー賞に6回ノミネートされている売れっ子だ。2010年にデビュー・アルバム「The ArchAndroid」をリリース。第53回グラミー賞で最優秀コンテンポラリーR&Bアルバム賞にノミネートされた。また2013年にリリースした2ndアルバム「The Electric Lady」は、ビルボードチャートで全米最高5位をマークしている。


 さてメンバーを見ると、2013年モンク・コンペ3位のゴッドウィン・ルイス(as)、2009年Gibson Montreux Guitar Competitionファイナリストのグレッグ・ダンカン(g)やリー・フィッシュ(ds)など、過去パーマー作品に参加していた旧友たちが帰ってきた。で、内容は「こうでなくっちゃ」のパーマー節である。


 それにしてもここまで徹底して同じリズムパターンだと、逆に感心してしまう。きっと「オレはこれだ!」みたいな確信があるのだろう。この躍り上がるようなノリを聴いていると、つい知らず知らずのうちにカラダでリズムを取ってしまう。「スタイリッシュ」などという言葉とはまるで真逆の、いい意味で洗練されてないネイティヴな舌触りがいつも通りだ。

 それにパーマーの奏法もまったく変わりない。ストレートで重くエネルギッシュなトランペッターが多いなか、ひょうひょうとした軽いノリで上澄みをすくうような独特のプレイをする。またパット・メセニー的で叙情性が漂うダンカンのギターも相変わらずだ。

 だがワンパターン一辺倒だけじゃない。カバー集だけに原曲のもつ味わいが生かされ、いつものパーマー作品とくらべ哀愁を帯びたメロディーがそこかしこに散見される。特にM-5のリピートされる秀麗なフレーズと、キリリと大吟醸なギターソロには痺れる。

 ただ前作のミニー・リパートン集「Take a Little Trip」(2012年、レヴュー記事はこちら)に引き続きカバー集が相次いだので、次回あたりはオリジナル楽曲でバッチリ決めてほしい。期待してます。


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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jason Palmer / Take A Little Trip

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Jason Palmer (tp)
Greg Duncan (g)
Jake Sherman (p, fender rhodes)
Edward Perez (b)
Lee Fish (ds)

Recorded: October 2011
Engineer: Chris Sulit (SteepleChase SCCD31750)

ミニー・リパートンのカバー集を聴いてハッピーになる

 若手トランペッターのジェイソン・パーマーは、百鬼夜行の現代ジャズ界にあってひときわスペシャルな異端児だ。作風だけでなく奏法にも独特のユーモアを感じさせる。そんな陽気な彼の作品中、いちばん明るいアルバムがこれ。ダウンビート誌で4ツ星がついた4枚目のリーダー作だ。

 オリジナル勝負の彼にしては珍しいカバー集である。1979年に31歳の若さで亡くなった伝説的シンガー・ソング・ライター、ミニー・リパートンの作品を取り上げている。どの曲もメロディラインがとってもチャーミングで、聴いてるうちに思わず頬がゆるんでしまう。ただし単なるカヴァーでは終わらせず、パーマーらしい躍動感のあるリズムアレンジでラストまでノリよく突っ走る。

 参加メンバーは、まずピアノにジェイク・シャーマン。彼が随所に散りばめたラヴリーなエレクトリック・ピアノは実に効果的だ。またパーマーのセカンド作「Nothing To Hide」(2010)でもプレイしていたグレッグ・ダンカン(g)、リー・フィッシュ(ds)の顔も見える。さらに同じくダウンビート誌で4ツ星半と高評価だったパーマーの第3作「Here Today」(2011)、最新作「Places」(2014)にも参加しているエドワード・ペレス(b)もいい仕事をしている。

 では音を聴いてみよう。

 まず愛らしいメロディの軽快なアルバム・タイトル曲で幕が開く (M-1のみスティービー・ワンダー作)。M-2は、日本でも平井堅やMISIAらがカヴァーした大ヒット曲「Lovin' You」だ。続くM-3では静かなバラードでほっとひと息。お次はホットな大盛り上がり大会が10分以上も続くM-4が待っている、てなぐあい。とにかくどの曲もメロディがいい。パーマーはこれら素材を生かしながら、メンバー個々のインプロヴィゼーションやインタープレイを織り交ぜ楽しい作品に仕上げている。

 主役のパーマーは、トランペッターらしからぬひねったプレイをする。顔を真っ赤にして力みまくるのでなく、逆にすっかり脱力した軽いプレイでひょいひょい踊るようなグルーヴを生み出す。ストレートな重戦車型のトランペッターが多い中、ひらりひらりと小鳥のように軽快なそのプレイはオンリー・ワンの個性を放つ。

 一方、パーマー作品では常連のラテン系ベーシスト、エドワード・ペレスのプレイも光る。跳ねるようなリズムのいいベースを弾き、リーダー作「The Year of Two Summers」(2008)もリリースしている。パーマーが書く楽曲のグルーヴは、ほとんど彼が作り出しているといっても過言ではない。かたや2009年のGibson Montreux Guitar Competitionファイナリストでもあるダンカンも、パット・メセニー系の繊細で魅せるギターを弾いている。

 メロディ、リズムともにバリエーション豊富でめくるめく魅力の本盤は、オリジナル楽曲の多いパーマー作品のなかではひときわ異彩を放つ隠れ名盤といえそうだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jason Palmer / Places

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Jason Palmer (tp)
Mark Turner (ts)
Godwin Louis (as)
Mike Moreno (g)
Edward Perez (b)
Kendrick Scott (ds)

Recorded: January 2013
Engineer: Tom Tedesco (SteepleChase SCCD31780)

ゆらゆら漂う不思議系ジャズで元気になる

 脱力し、ゆらゆら漂う不思議系ジャズだ。滑稽で軽やかなフレーズを連発して三枚目路線をひた走るトランペット奏者、ジェイソン・パーマーの5枚目に当たる最新リーダー作である。

 きっと陽気でユーモアのセンスのある人なのだろう。おどけたような音使いで、笑いながらリスナーに語りかけてくる。「やあ、どうだい?」。するとこっちまで思わず笑顔になる。気分が滅入っているときなんか、この人のアルバムを聴くとヘンテコリンな元気がわいてくる。

 サポート・ギタリストには、いまやメジャー感の漂うマイク・モレノをフィーチャーした。またマーク・ターナー(ts)の参加も見逃せない。ほかに2013年モンク・コンペ3位のゴッドウィン・ルイス(as)、エドワード・ペレス(b)、ケンドリック・スコット(ds)らが脇を固める。

 全9曲オリジナル。ふらふらと、ゆらめくようなビートとリフを多用する。ほんわか明るく、スッポ抜けたように力まない軽さがトレードマークだ。今作もそんなパーマー・ワールド全開である。

 彼は決して「かっこいいジャズ」を追求しない。大いなる外道である。そんなパーマーの異端な個性に共鳴し、それを 「おもしろい」 と感じる人だけが楽しめる――。その意味ではかなり聴く人を選ぶ。例えばハードボイルドな本格志向のジャズが好みの人にはウケないだろう。あくまで好きな人だけが買うレア物だ。

 ただ本作に限っていえば、楽曲の仕上げがアレンジを途中で放り出したような、「語尾」がきれいにまとめられてない荒さがある。いや、おそらくそういうルーズさこそがパーマーの持ち味なのだろうが、ふつうのジャズを聴き慣れた人の耳には「アレンジが未整理だ」と映るかもしれない。このへんも聴く人を選ぶ要因だろう。

 一方、(売るために大物を集めたのかもしれないが)メンバー構成にも疑問がある。上品で優雅なタイプのマイク・モレノの起用は (いい意味で) 雑なヘタうま志向のパーマーの作風にはミスマッチな感じだ。例えば過去作にも参加していた、もっとラフで尖ったプレイをするニア・フェルダーのほうがフィットしていた。

 またケンドリック・スコットにも同じことがいえる。彼はタイトでエネルギッシュなプレイが身上だ。なのにその持ち味と正反対の、ふんわり力が抜けたパーマーの曲作りにはどうも合わない。歯切れよくエッジが利きすぎているのだ。彼の楽曲にはもっとルーズなタイプのドラマーのほうがいい。

 とはいえデビュー作「SongBook」(2008年、レヴュー記事はこちら)以来、「Nothing To Hide」(2010)、「Here Today」(2011)、「Take A Little Trip」(2012)と水準をクリアした作品を連発しているパーマーだ。今回はちと採点が辛くなったが、あくまで過去作とくらべたら、の話である。さて次回作に期待するとしよう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jason Palmer / SongBook

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Jason Palmer (tp)
Greg Osby (as)
Ravi Coltrane (ts)
Warren Wolf (vib)
Leo Genovese (p, kb)
Matt Brewer (b)
Tommy Crane (ds)

Rec. October 28-29 2006, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Joe Marciano (Ayva Music AYVA037)

脱力系トランペッターの肖像

 つい先日、5枚目のリーダー作「Places」を発表したばかりのトランペット奏者、ジェイソン・パーマーのデビュー作である。真っ向から力で勝負するのでなく、ひねりを利かせた旨みで聴かせる。2000年頃のクリス・チークやマーク・ターナー的な浮遊感があちこちに見える味わい深いアルバムだ。

 パーマーはバリバリ全開で吹きまくるタイプではない。適度に「抜き」ながら、でもそこに宿る独特の雰囲気がたまらない、というタイプのトランペッターだ。「エネルギー感こそ命だ」みたいな古いタイプの吹き手ではなく、いかにも新世代のプレーヤーである。そこが聴き手を選ぶポイントかもしれない(私は思い切り好みです)。

 メンバーは師匠格のグレッグ・オズビー(as)に加えラヴィ・コルトレーン(ts)、ウォーレン・ウルフ(vib)、レオ・ジェノヴェーゼ(p, kb)。リズム隊は、パーマーがオズビーのクインテットへ加入したとき知り合ったというマット・ブリューワー(b)とトミー・クレーン(ds)だ。

 全9曲オリジナル。途中ファンキーなペースから一気に全員がなだれ込むM-1、浮遊感の漂うM-2、サンバ調のM-3、のっけから4ビートでノリよく走るM-4、ミステリアスな浮遊感でいっぱいのM-5、踊るようなリズムでこっけいなテーマが展開するM-8あたりが耳に残った。

 デビュー作で全曲オリジナル勝負、これだけ引き出しの多さを見せつけられると思わずフォローしたくなる。ご多分にもれず、過去のリーダー作を全部まとめ買いしてしまいましたとさ。

 パーマーは1979年生まれ。2005年にグレッグ・オズビーのグループに参加、その翌年にレコーディングした本作ではオズビー人脈が見て取れる。2009年にはカーマイン・カルーソー・インターナショナル・ジャズ・トランペット・ソロ・コンペティションの最優秀賞に輝いた。本作以降も「Nothing To Hide」(2010)、「Here Today」(2011)、「Take A Little Trip」(2012)、「Places」(2014)とコンスタントにリーダー作を出している。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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