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Mark Turner Quartet / Lathe of Heaven

1

Mark Turner (ts)
Avishai Cohen (tp)
Joe Martin (b)
Marcus Gilmore (ds)

Recorded: June 2013, at Avatar Studios, NY
Engineer: James A. Farber (ECM 2357)

ひんやりした音色、ヒリヒリするような緊張感

 寒色系のひんやりした色味がアルバム全編を支配している。無調っぽい無機的な音が続き、まるで修行僧の祈りのようにストイックな演奏が繰り広げられる。この世界にシンクロできる人と、できない人とにリスナーはハッキリ分かれるだろう。ヒリヒリするような緊張感が漂う逸品。ECM初リーダー作になるマーク・ターナーの新作だ。

 メンバーはターナー(ts)、アヴィシャイ・コーエン(tp)の2管に、ジョー・マーティン(b)、マーカス・ギルモア(ds)という現代最高峰のリズム隊によるピアノレス・カルテットである。

 収録曲はすべてターナーのオリジナルで全6曲。どれも長く、10分以上の曲が6曲中、3曲もある。ちなみにM-2の「Year of the Rabbit」は、2012年にECMからリリースされたFLYのアルバム『Year of the Snake』の続編的な位置づけだ。またM-6の「Brother Sister 2」は、同アルバムに収録されていた「Brother Sister」のニュー・ヴァージョンである。

無彩色の世界が限りなく広がる

 扉を開けると、そこには無彩色の世界が限りなく広がっている。まるで哲学者がひっそりと孤独な作業に打ち込むかのような演奏が続く。「明るさ」とか「わかりやすさ」などとはまったく対極にある、抽象的でビターな作風である。どこまでがアレンジされ譜面化された世界で、どこからがインプロなのか、境界が朦朧とした「ヤバい」プレイが展開される。

 2管が組んずほぐれつひらひら舞い、リズム隊がホットに煽る。ターナーは音色が冷たいのでクールに聴こえるが、本作での演奏は(彼にしては)やや温度感が高い。M-4で聴かせる、速射砲のように音符を叩きつけるソロなどは典型だ。かたやコーエンは、ターナーにそっと寄り添うようなプレイをしている。2人はまるで双生児のように息が合っている。

 一方のリズム隊は、かなり挑戦的だ。例えばM-1の冒頭、静かにテーマを奏でる2管に対し、マーカス・ギルモアが非常にアグレッシヴなアプローチをしており「おっ?」と思わされる。醒めた2管と熱いドラミングとのギャップがおもしろい。

 ギルモアは全体に比較的手数が多いプレイぶりでけっこう「行って」いる。知的好奇心をくすぐるドラミングがあちこちで聴ける。かたやベースのジョー・マーティンも非常にクリエイティブなプレイをしており、リズム隊の絡みに注意して聴くと10倍楽しめるだろう。例えばM-6冒頭のペースとドラムスのスリリングなコンビネーション! もうここだけでご飯が食べられる。

 結論として本作は聴き手を冷たく突き放すかのような作りではあるが、能動的に自分からこの世界へ入って行けば深々とした聴き応えがある。ターナーのキャラとECMのブランドカラーも親和性が高い。ECMでの彼のプレイをもっと聴きたい気分にさせてくれる1枚だ。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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