David Weiss / The Mirror

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David Weiss (tp)
Myron Walden (as)
Marcus Strickland (ts on 1-5)
Xavier Davis (p)
Dwayne Burno (b)
E.J.Strickland (ds on 1-5)

Craig Handy (ts on 6-7)
Steve Davis (tb on 6-7)
Norbert Stachel (bs, bcl on 6-7)
Nasheet Waits (ds on 6-7)

・Recorded February 15, 2004 by Joe Ferla at Avatar Studios, NY (M-1~5)
・Recorded March 24, 2004 by Joe Marciano at System Two, NY (M-6~7) (FSNT 204)

手に汗握るホットな現代版ハードバップ

 のっけからバリバリに装飾されたホーンセクションがテクニカルなキメを繰り返し、華やかな4ビートが豪快に疾走する。変拍子も織り込みながらのアレンジがかっこいい。ウェイン・ショーター在籍時のジャズメッセンジャーズを現代に蘇らせたようなハードバップが聴ける。トランペット奏者、デヴィッド・ワイスが2004年にリリースしたセカンド・リーダー作である。

 骨格になるメンバーは、ワイスの最新リーダー作 「When Words Fail」 (2014年、レヴュー記事はこちら)とほぼ同じだ。フロントは主役のワイスにマイロン・ウォルデン(as)、マーカス・ストリックランド(ts)の3管。リズムセクションはザビエル・デイビス(p)とドウェイン・ブルーノ (b) 、E.J.ストリックランド(ds)が務める。またアルバム後半では5管になり、スティーブ・デイビス(tb)やナシート・ウェイツ(ds)らも参加している。

 収録曲はワイスのオリジナル5曲のほか、ケヴィン・ヘイズの「Our Trip」、ウェイン・ショーター「Mr. Jin」を合わせた計7曲だ。基本的にはデビュー作である前作「Breathing Room」(2001年、レヴュー記事はこちら)の延長線上にある音だが、要所で複数の管楽器が織り成すホーンセクションがきらびやかにアレンジされている。アレンジャーとしてのワイスの能力を証明した一作だ。

 聴き物はワイスとストリックランド、ウォルデンの3管の華麗な競演である。3人ともソロを取ればエネルギッシュで力強い。正統派ハードバップの醍醐味が堪能できる。ただしそこはやはり現代ジャズ。ノリがいい中にも、どこかクールに醒めた装いをまとっているのが今っぽい。

 たとえばM-1やM-4のようにストレートな4ビートでは思わずカラダでリズムを取ってしまう。かと思えばM-2やM-3のようにちょっとクールで漂うような物憂い曲では、ふと物思いにふけってしまう。全体にウェイン・ショーターの影響が感じられるコンポジションである。

 ちなみにジャケ写はアンドレイ・タルコフスキー監督の映画「ストーカー」(1979年)をイメージしたもの。またM-1~3、M-5はいずれも同じ映画からインスパイアされたオリジナル楽曲だ。とにかく理屈抜きで楽しめる逸品。おすすめである。

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ジャンル : 音楽

David Weiss / Breathing Room

1

David Weiss (tp)
Marcus Strickland (ts)
Craig Handy (as on 2,4,6,7)
Xavier Davis (p)
Dwayne Burno (b)
E.J. Strickland (ds)

Recorded: February 7 & 9, 2001, at Avatar Studios, NY
Engineer: Jon Rosenberg (FSNT 110)

男臭いダンディズムが匂う4ビートの贅沢

 つい先日リリースされたばかりの最新作 「When Words Fail」 (2014年、レヴュー記事はこちら) が彼の最高傑作だとばかり思っていたが、10年前に録音されたこの初リーダー作を聴くと、デヴィッド・ワイスはすでにデビュー盤の時点で傑出していたことがわかる。

 3管のアレンジと疾走する4ビートがめちゃかっこいい。60年代ウェイン・ショーターの世界を現代流に解釈した路線が今とまったくブレておらず、むしろ最新作はいい意味で原点(本盤)に回帰していたのだ。

 メンバーはアルトを除き、最新作とまったく同じ。主役のデヴィッド・ワイス(tp)にマーカス・ストリックランド(ts)、クレイグ・ハンディ(as)。リズムセクションはザビエル・デイビス(p)、ドウェイン・ブルーノ (b) 、E.J.ストリックランド(ds)がつとめる。

 ワイスのオリジナル4曲のほか、参加メンバーのマーカスが1曲を持ち寄った。スタイリッシュなメロディを乗せたゴキゲンな4ビートが中心だが、フロント陣の奏でるテーマが細やかな流麗さを感じさせるのは、彼がもともと優秀なアレンジャーでもあるからなのだろう。

 またワイスが強く影響を受けたウェイン・ショーター作品も2曲フィーチャーされている。まずショーターのリーダー作「Night Dreamer」(1964)に収録された「Armagaddon」をアルバム冒頭に置いた。またショーター在籍時のジャズ・メッセンジャーズ盤「The Witch Doctor」(1961)から、リズミックな「Those Who Sit and Wait」も取り上げている。

 メンバー別では、デイビスのピアノが際立っていい。地味なイメージがあったが、本作での彼のプレイは耳に残るフレーズを連発しており秀逸だ。また主役のワイスは言うに及ばず、テナーのマーカスも力強いブロウでぐいぐいバンドを引っ張っている。

 ワイスのジャズには男が匂う。いや別にゴリゴリにパワフルだとか、ラフでワイルドとかいうタイプじゃないが、ある種の洗練された男っぽさがある。その証拠にヨーロッパ風のしゃれたジャケ写をわざわざ自分で撮影したというこだわりが、アルバム全編を覆うダンディズムの背後に見え隠れする。おしゃれなのに男臭いってなんだかステキだ。最新作でワイスを気に入った人にはぜひ聴いてほしい1枚である。

David Weiss / When Words Fail

1

David Weiss (tp)
Myron Walden (as)
Marcus Strickland (ts)
Xavier Davis (p)
Dwayne Burno (b)
E.J. Strickland (ds)
Ben Eunson (g on 3, 8)

Rec. December 6-7, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Joe Marciano (Motema Music MTM144)

ダークでスタイリッシュな男の美学

 David Weiss & Point of Departure名義の作品群を聴いて気に入って以来、ずっと注目しているトランペット奏者、デヴィッド・ワイスの新作が登場した。今度は完全な個人名義だ。結論から先にいえば、本盤は彼の最高傑作だろう。

 タバコの煙が香るダークな雰囲気がちょっと60年代マイルスを思わせる。ジェレミー・ペルトがそっち路線をやめてしまったのでずいぶんがっかりしていたが、ワイスが続けてくれるならありがたい。

 マイロン・ウォルデン(as)、マーカス・ストリックランド(ts)との3管がテーマを物憂くスタイリッシュに決める。M-3とM-8でギターを聴かせるBen Eunsonもいいアクセントになっている。ピアノレスだったPoint of Departureはギターがキイになっていたので、これもうれしい限りだ。

 管のアレンジはウェイン・ショーター集だった前作「Endangered Species」(2013年)を思わせるが、基本的には初期Point of Departure時代の延長線上にある音を発展させた感じだ。譜面に書かれた演奏とアドリブとの比率が按配よく、聴き応えがある。

 前作は複数の管によるビッグバンド仕立てのアレンジが(私には)うるさく感じられたが、本作はちょうどいい。古き良きジャズへ退行しそうな雲行きだった前作とくらべ、本盤はずっとモーダルで現代的。明らかにこっちのほうが好みだ。ホッとひと息、安心した。この路線で次回作も期待したい。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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