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Kait Dunton / Mountain Suite

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Kait Dunton (p)
John Daversa (tp)
Bob Mintzer (ts)
Darek "Oles" Oleszkiewicz (b)
Peter Erskine (ds, per)

Rec. August 17-18, 2011, at Firehouse Recording Studios, CA
Engineer: Rich Breen (Real and Imagined Music R&I-002)

秘められた物語を感じさせるピアノの響き

 ジャケ写の首にかかる鮮やかな赤いストールを見た瞬間、「ピピッ」と来た人はぜひ買うべし。本作は音楽的興味だけでなく、アートや映画など聴き手の芸術的センスをくすぐる作品だ。ロサンゼルスを拠点に活動する女性ピアニスト、ケイト・ダントンのセカンド・リーダー作である。

 ピーター・アースキン(ds)やボブ・ミンツァー(ts)など、クレジットされた豪華メンバーに騙されてはいけない。このアルバムはとにかくケイトのピアノに尽きる。余韻たっぷりに物語性を放ちながら美しく響くM-1のピアノのイントロを1小節聴いただけで、後頭部をズゴンとやられた人は必ずハマれるだろう。

 アルバム全編に独特の翳りと憂いが漂い、メランコリックな物思いに耽ってしまう。繊細な気持ちの波がひたひたと押し寄せ、あたりの空気をすっかり静謐でリリカルなものに変えてしまう。

 全9曲すべてオリジナル。ピアノトリオ編成の4曲と、2管クインテット編成の5曲という内訳だ。トリオ編成のほうはジャズ的だった前作(デビュー盤)のピアノトリオ演奏とくらべ、現代音楽の要素が強い。そのため真正ジャズ・マニアなら本作のピアノトリオ曲を聴き、「おや?」と感じるだろう。

 つまりこのアルバムを現代音楽のピアノトリオとして聴くのか、それともジャズ的に躍動する2管クインテット作品として聴くのかでリスナーの評価はガラリと変わりそうだ。前者の聴き方をする人たち、すなわちM-1のピアノのイントロだけで後頭部ズゴンな人ならば本作に深く満足し、かたや後者のエネルギッシュな要素を求める人にはちょっと静かすぎて食い足りないかもしれない。

 たとえぱ中~終盤にかけ、ドラマティックに盛り上がるM-2やM-9のような方向性の楽曲がもうあと何曲かあれば、たぶん彼女が志向するのとまったく別の客層、つまり後者のリスナー達をもごっそり獲得できるのだろう。だがビジネスを考えてそうするかどうかは、彼女の芸術家としての生き方の問題でもある。その結論が出そうな次作が楽しみだ。

 ケイト・ダントンは1983年、テキサス生まれ。南カリフォルニア大学ソーントン音楽学校でアラン・パスクァ、作曲家ヴィンス・メンドーサに師事した。本作のアースキン参加は、彼との共演が多いパスクァ人脈かもしれない。なおケイトがデビューしたピアノトリオ作品「Real & Imagined」(2008) はジャズ批評でも紹介されている。
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テーマ : JAZZ
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