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Opus 5 / Tickle

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Seamus Blake (ts)
Alex Sipiagin (tp, flh)
David Kikoski (p, el-p)
Boris Kozlov (b)
Donald Edwards (ds)

Recorded: August 15, 2014, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1383)

なんだか「頭で」こねくり回して作った音だ

 彼らの新作を聴くのは毎回、楽しみだ。リズムアレンジに凝り、あのテこのテで2010年代の新しいハードバップのスタイルを提示するユニット、OPUS 5の4枚目のニューアルバムである。はてさて、今回はいったいどんな仕掛けが隠されているのだろうか?

 メンバーはいつも通りのスタメンがならぶ。シーマス・ブレイク(ts)とアレックス・シピアギン(tp)をフロントに、デヴィッド・キコスキ(p)、ボリス・コズロフ(b)、ドナルド・エドワーズ(ds)がリズムセクションをつとめるクインテットである。

 全7曲すべてメンバー各自が持ち寄った。のっけから思わせぶりなドラムソロで幕が開く。そしてラストナンバーは導入部にベースソロをあしらう、という起承転結ぶりだ。

 ただし残念ながら、今回の新作はどうも退屈だ。もともと音を作り込むタイプの彼らだが、今回はかなり「頭で」こねくり回して作っている感じがする。だから「カラダで」素直に音楽を楽しめない。

 あれこれアレンジにを凝りまくり、飽きさせない工夫はしてあるのだが……かえってそれらの細工が心に響かない。なんだか仏作って魂入れず、な感じがする。

 いやぁ、それがコンセプトなのはわかりますよ。でも、さすがにここまでアレンジしまくらなくてもいいのでは? もうちょっとストレートに音を出したほうがいいんじゃないか? どうもアレンジの塊を耳にねじ込まれているようで、原曲のよさが伝わってこない。

 メロディがあまり耳に残らないし、かといって丁々発止のインタープレイが展開されるわけでもない。とにかくひたすら人工的なアレンジの塊だけがそこにある、みたいな感じ。

 セカンドやサードアルバムもかなり凝った造りだったが、程よいところで止めていた。その意味じゃ湯加減がちょうどよかった。だがその凝りようがさらに高じて、今回はこうなってしまいました、てなところ。

 とはいえ彼らのファンで、いつも新作を待ち望んでいる人なら楽しく聴けるのだろう。要は好みの問題だ。私はどうしても素材(楽曲)のよさを重視するので、こういう聴き方になる。なのでまあ、そのへんは話半分で参考程度に聞き流してくださいな。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

OPUS 5 / Progression

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Alex Sipiagin (tp, flh)
Seamus Blake (ts)
David Kikoski (p, fender rhodes)
Boris Kozlov (b)
Donald Edwards (ds)

Recorded: September 4, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1369)

リズムの変化で聴かせるクールな新世代ハードバップ

 ハードバップを今風に料理したファースト盤、変拍子を多用したセカンド盤と1作ごとに作風を微妙に変えてきている5人組ユニット、「OPUS 5」のサードアルバムがお目見えした。とはいえハードバップをベースにリズムの変化で聴かせる基本路線は変わらない。今回はバップ色の濃い1枚目とアレンジに凝りまくった2枚目の中間くらいのテイストだ。前作ほどメカニカルでなく、往年のジャズが好きな人にも親しめるだろう。

 メンバーは不動のスタメンだ。フロントはシェイマス・ブレイク(ts)とアレックス・シピアギン(tp)。リズムセクションはデヴィッド・キコスキ(p)にボリス・コズロフ(b)、ドナルド・エドワーズ(ds)がつとめる。オリジナル全7曲をメンバー全員で持ち寄った。

 それにしても今回クリスクロスから同時リリースされた、派手でインパクトが強いジョナサン・ブレイクの「Gone, But Not Forgotten」 (2014年、レヴュー記事はこちら)とまるで対照的な内容だ。ジョナサン盤が血気にはやるイケイケの若武者だとすれば、こっちは酸いも甘いも噛み分けた大人の渋さが漂う。一見、地味だが、演奏スタイルやリズムのアレンジに現代ジャズの蘊蓄がこれでもかと詰め込まれている。

 演奏の温度感でいえば、(M-7を除き) 熱くノリノリになるのを意図的に狙って避けている。全員がクールに「10の力でぶっ叩くところを7で抑える」みたいな感じ。そのためゆったりくつろげる作品に仕上がっている。決して脂っこくならず、さっぱりサラダ味なところがNYコンテンポラリー的だ。

 またなんとなく聴き流すと見落としてしまうのだが、本作には前作同様あちこちに細かい罠が仕掛けられている。宝探しでもするつもりで分析的に聴いてみると、未来のジャズってこうなのかなと思えてくる。

 リズムがめまぐるしく変わった前作ほどトリッキーではないが、よく聴けば今回も迷路のように入り組んでいる。バックビートや7拍子、6拍子など散りばめたリズムのバリエーションや複雑なキメが相変わらず刺激的だ。同じようにハードバピッシュな4ビートをやっても、往年のジャズとはどこかちがう異彩を放っているのもそのあたりが原因だろう。

 ただし本盤のよさは難しいことをやりながらこれ見よがしにならず、オブラートにくるんでやさしく見せているところだ。だから何気なく見逃してしまいそうな仕掛けの数々がいつのまにかサブリミナルのように効いてくる。ゆえに聴けば聴くほど旨みが出る。何度聴いても飽きがこない。このへんも、ストレートに力で勝負しているぶんパッと聴いただけで「すごくいい!」と感じさせる(が飽きるのも早い)ジョナサン盤と好対照だ。

 50年代のハードバップはそろそろ卒業したい。だけど最近のジャズはとんがりすぎててちょっとなぁ……。そんな人にはちょうどいいあんばいでハマりそう。頭でっかちにならず、ふかふかのソファにどっかとめり込み、のんびりリラックスして楽しみたい。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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