スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Johnathan Blake / Gone, But Not Forgotten

1

Johnathan Blake (ds)
Chris Potter (ts, afl)
Mark Turner (ts, ss)
Ben Street (b)

Rec. February 20, 2014, at the Samurai Hotel Recording Studio, NY
Engineer: David Stoller (Criss Cross 1368)

クリポタが吠える生きる喜び

 底抜けに明るくエネルギッシュな演奏だ。これを「つまらない」という人がいたらぜひお目にかかりたい。力でねじ伏せる正統派ジャズが躍動するサックス2管カルテット。剛と巧をあわせ持つ敏腕ドラマー、ジョナサン・ブレイクがリリースしたばかりの新作だ。

 クリス・ポッターとマーク・ターナー。動と静、陰と陽のまったく対照的な2人の人気ソリストが、ジョナサン・ブレイク(ds)、ベン・ストリート(b)という鉄壁の土台の上に乗っているのだからおもしろくならないわけがない。ジャズの痛快さと生きる喜びに満ちあふれた彼らの演奏を聴いていると、こっちまで心がウキウキ浮いてくる。

 前作「The Eleventh Hour」(2012年、レヴュー記事はこちら)は、オリジナルが10曲中7曲を占める凝った作りだった。効果音を入れるなど、いま風のコンテンポラリーな要素でひとひねりしていた。だが今回のアルバムは、ジャズの王道を豪球一直線でブチ抜くまっすぐな音だ。「これで文句があるなら俺に言ってこい」的な自信と開き直りを感じさせる。

 オリジナル2曲のほか、シダー・ウォルトンやジム・ホール、ポール・モチアンらの作品など合計11曲。オリジナル比率を抑えたことで、彩り豊かなバラエティ効果が出た。ポッターがぶっ飛ばす豪快なナンバーあり、しっとり聴かせるバラードあり、往年の古き良き時代を想わせる佳曲あり。イントロからぐいぐいファンキーな1曲目を聴いただけで早くもノックアウトされてしまう。

 前作とくらべ必要以上にアレンジせず、素材のよさを活かした作りだ。そのため楽曲そのものより、ソロ演奏のほうにスポットライトが当たる仕掛けになっている。実際、緩急をつけた2管のソロの嵐は聴き応えがある。

 ターナーはポッターより力強さで劣るが、そのぶん屈折した独特の妖気がある。一方のポッターは爆発力では現代ジャズ界No.1だ。本作ではそんな彼の奔放な暴力がたっぷり味わえる。また主役ブレイクのドラムソロも11曲中、4曲で聴ける。漫然と叩く長いだけのソロではなく、起伏があり顔が見えるドラムソロである。

 本作にはコンセプトの新しさや時代を占うような先鋭性はない。だが理屈抜きの幸せがある。退屈しないジャズが聴きたい。そんなあなたにぴったりの1枚だろう。
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Johnathan Blake / The Eleventh Hour

jb_t

Johnathan Blake (ds)
Jaleel Shaw (as, except 3,4,8,10)
Mark Turner (ts, except 5)
Kevin Hays (p, rhodes, except 1,5,6,10)
Ben Street (b)

Tom Harrell (tp, Flh on 3,5)
Gregoire Maret (Harmonica on 1,10)
Robert Glasper (p, rhodes on 1,5,10)
Tim Warfield (ts on 8)

Rec. April 2010, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Mike Marciano (Sunnyside SSC1304)

豪腕ドラマーが放つゴキゲンな快作

 ミンガス・ビッグ・バンドほか多くの参加作があるNYの若手ドラマー、ジョナサン・ブレイクが先月末にリリースしたばかりの初リーダー作だ。ダークなテーマをビシッと決めたゴキゲンな楽曲が多く、マーク・ターナー (ts) の全面参加も当たっている。一聴して「いい!」と感じさせるキャッチーなコンポジションが上手い。

 参加メンバーはターナーのほか、フロント陣にジャリール・ショウ (as)、2曲にトム・ハレル (tp) も配した豪華な布陣が目を引く。鍵盤はケヴィン・ヘイズをメインに、ロバート・グラスパーも3曲参加している。主役のブレイクとコンビを組むベーシストは、売れっ子のベン・ストリートだ。

 ブレイクのオリジナルが7曲、トム・ハレルとロバート・グラスパー作品が1曲づつ、その他1曲の合計10曲。4ビートはもちろん16っぽいR&B的な要素も盛り込むなど、ブラックミュージックをルーツにしながらラテン調のノリの曲もありバラエティに富む。ただし「いろんなことをやりました」的な散漫な感じは全くない。アルバムを通しどの曲にも特有のダークなトーンが漂っており、全体にしっかり統一感がある。

力押しするだけでなく引くこともできる

 ジョナサン・ブレイクのプレイを初めて聴いたのは、ジャリール・ショウの初リーダー作「Perspective」 (2005年、レヴュー記事はこちら)だった。そのときは「(個性的ではあるが)力みすぎ、バタバタしていて好みじゃない」と感じた。

 しかしそれは杞憂にすぎなかった。その後、同じく彼の参加作であるアレックス・シピアギンの 「Mirrors」 (2002)、ジャリール・ショウ 「Optimism」 (2008年、レヴュー記事はこちら) を聴き、印象がガラリと変わった。そして、その大幅な上方修正は本作で決定的になった。文句のつけようがないすばらしいプレイだ。

 彼はラルフ・ピーターソン~ジェフ・ワッツ系列のストロングタイプなドラマーだが、力押しするだけでなく引くこともできる。いやむしろピーターソンやワッツとくらべ、より繊細方向でデリケートな細かいプレイもできる。もちろん逆にパンチの効いた楽曲では、持ち前の爆発力がドカンと炸裂し実に爽快である。

 一方、本作は共演陣の活躍も見逃せない。ガッツのあるショウのアルトと、対照的に飄々としたプレイをするマーク・ターナー節を聴けるのが楽しい。2曲参加しているグレゴア・マレのハーモニカもいい雰囲気を出している。

 またアコピとローズを操るケヴィン・ヘイズも、ガツンと一発かましたプレイをしている(特にM-2)。清廉でリリカルな自身のリーダー作とちがい、アグレッシヴなプレイもできる力強さを見せつけた。この種の気合いを感じさせるヘイズを聴くのは、クリス・ポッターのライブ盤 「Lift」 (2004)以来のような気がする。

 楽曲はだいたい5~6分以上、なかには8分の長尺も2曲あるが、どの曲もすんなり聴けて「えっ、もう終わりなの?」てな感がある。沈思黙考しないとよさがわからない捻った作風でなく、ストレートで聴き手を飽きさせない。なかでも聴き物はターナーとショウの激しい掛け合いがあるM-9のほか、M-2、M-5、M-6あたり。理屈ぬきで楽しめる1枚だ。

(追記) 2012.3/14付

 アルバムタイトルの「The Eleventh Hour」とは、「瀬戸際」、「ぎりぎり」、「最後の瞬間」みたいな意味だ。今回のブレイクのデビュー作は、2010年4月にすでに録音が終わっていた。だがその音源をアルバム化する制作費用がなく、資金調達互助サイト「IndieGoGo」でカンパを呼びかけ、やっとお金を集めてリリースされたといういわくつきだ。アルバムタイトルの「瀬戸際で」というのは、それを意味しているのかもしれない。(このへんの裏事情についてはブログ「灼熱怒風 シーズン2」さんの記事が詳しい)

 しかしもしそうだとすれば、CDのアルバムジャケットに時計の写真まで使い、「いやぁ、今回はギリギリだったぜ!」とピンチの状況をユーモアで笑い飛ばすのだからブレイクは太っ腹だ。(彼の腹は実際にでかい)

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。