スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Steve Cardenas / Melody in a Dream

1

Steve Cardenas (g)
Thomas Morgan (b)
Joey Baron (ds)
Shane Endsley (tp on 3,7,9)

Rec. Octover 8-9, 2012, at The Bunker Studios, NY
Engineer: Aaron Nevezie (Sunnyside SSC1297)

あの「夏草の香り」が帰ってきた

 冬も終わり、ぽかぽか陽気が続く春爛漫の今日このごろ。もうあと2ヵ月もすれば、子供のころに嗅いだあの夏草の香りのする季節がやってくる。そんなのんびりした自然をまとうギタリスト、スティーブ・カーディナスの新作がリリースされた。

 4枚目のリーダー作にあたる本作は、まるでデビュー盤「Shebang」(2000年)に回帰したかのようなナチュラルテイストでいっぱいだ。このCDを聴きながら夕暮れどきにぼんやりしていると、薄闇の向こうにあるはずのない地平線が見えてくる――。そんな地球を感じさせるほのぼのしたアルバムだ。

 メンバー構成はトーマス・モーガン(b)、ジョーイ・バロン(ds)のリズム隊とのトリオを基調に、スティーブ・コールマンとの共演で知られるトランペット奏者シェーン・エンズレイも3曲プレイしている。NY先端系のモーガンを使っているのでもっとトンがった音なのかな? と思ったが、蓋をあけてみるとそんなことはない。リラックスムードでいっぱいの作品だった。

 オリジナルは10曲中3曲とカーディナスにしては少なめだが、オリジナル曲とそうでない曲との区別がまるでつかない。アルバム全体がすっかりカーディナス色に染め上げられている。強烈な「自分色」をもつアーチストがモノを作るとこうなるんだなぁ、と感心しきり。前作のようなノリノリの曲はないが、何かをふっ切ったような、肩の力が抜けたくつろげる1枚だ。
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Steve Cardenas / Shebang

Steve Cardenas  Shebang

Steve Cardenas (g)
Larry Grenadier (b)
Kenny Wollesen (ds)

Rec. September 1-2, 1999, at Big House Recording, NYC
Engineer: Joe Ferla (FSNT 079)

夏草の香り、ふたたび

 セカンド・リーダー作 「Panoramic」 (2003) でカーディナスのギターに感じた「夏草の香り」を、このファースト・アルバムでも嗅ぐことができた。

 きらびやかな超絶テクニックで圧倒するのでなく、ルーズな「味」で聴かせるタイプだ。どこか牧歌的なまったり感を漂わせ、のほほんとしたくつろぎ感に心が和らぐ。艶と潤いのある音色もいい感じだ。 

 ギターのフレージングやメロディのセンスは、このデビュー当時からチラリとパット・メセニーを思わせる。だがそれもマイナスになっておらず、二番煎じ的なニセモノ感はまったくない。理由は、厳格なまでに正確なピッキングや速さが特徴のメセニーとまるで対照的な、いい意味でのラフなプレイスタイルが強烈な個性を放っているからだ。

 メンバーは、ブラッド・メルドーのレギュラー・トリオで一時代を築いたベーシストのラリー・グレナディアに、お気に入りのケニー・ウォールセンがスティックを握るのだから死角はない。本作のウォールセンのドラミングには今日のような線の太さや独特のため方はまだないが、それでも充分満足なデキだ。

 一方、音がぶっとく低域感あふれる音使いが特徴のグレナディアは、このころはまだエッジの立った高域が目立つ音色で弾いている。

 オリジナル9曲にその他1曲の合計10曲。カーディナスがいままでリリースしている3枚のリーダー作の中では、いちばん繊細でほのぼのしている1枚だ。強引に例えれば、初期のパット・メセニーがジャコと共演したソロ・デビュー作 「Bright Size Life」 (1976) に趣きが近い。

「バラエティを持たせるためにアコギの曲も入れたほうがいいな」と3曲(M-3、M-8、M-10)を散りばめ、「ノリのいい楽曲も入れとかなきゃ」とM-7を配置しました、というのが透けて見える構成だが、曲がいいのでそういうあざとさもマイナスになってない。ラストはM-10の美メロにどうぞノックアウトされてくださいませ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Steve Cardenas / West of Middle

Steve Cardenas  West of Middle

Steve Cardenas (g)
Ben Allison (b)
Rudy Royston (ds)

Rec. January 17-18, 2009, at Maggie's Farm, PA
Engineer: Matt Balitsaris (Sunnyside SSC1248)

カーディナスの向こうに地平線が見える

 パット・メセニーの後を追う中堅ギタリストのスティーブ・カーディナスが、ブルース・ファンク的な一面をのぞかせた最新アルバムだ。FSNTからリリースしたセカンドリーダー作 「Panoramic 」 (2003) に続く3枚目の作品に当たる。

 この盤、リズム隊がとにかく超強力だ。ゆえにトリオ編成であるも単調にならず、聴き手を飽きさせない。アレンジ面などのディテールはいい意味でまぁー、ラフそのもの。そのためスタジオで一発録りしたような即興性とワイルドな魅力にあふれている。

 カーディナスには、なんだかスワンプ・ロックあたりと遠くつながっていそうな泥臭さを感じる。 「パット・メセニーの後を追う」 なんて冒頭で書いておきながらアレだけど、こんな土臭くスワンピーな感じはメセニーにはない。なんか聴いてると地平線が見えてくるんだよねぇ、カーディナスの向こう側に。

 ではメンバー紹介と行こう。まずベーシストは、ニューヨークのカッティングエッジな先端系プレーヤー、ベン・アリソンが務める。1966年コネチカット生まれ。1996年にリリースした 「Seven Arrows」 以来、すでに10枚のアルバムを手がけている才人だ。

 彼はプレイだけでなく、作曲の才能もトンガっており評価も高い。ボストン・グローブ紙には 「最も優れた若手ミュージシャンの1人」 と評され、ダウンビート誌では2005-2007年に “Rising Star Bassist” の1位に選ばれている。ちなみに本盤ではえらくファンキーなプレイぶりだ。

 かたやドラマーは最近のお気に入り、サックス奏者J.D.アレンのレギュラートリオでも気を吐くルディ・ロイストンである。タイトでノリのいいドラミングが売りの敏腕ドラマーだ。めっちゃ好きです。最近のサイド参加作としてはラルフ・ボウエンの最新アルバム 「Total Eclipse」 (2012) や、ジョシュ・ギンズバーグ 「Zembla Variation」 (2012) 、ビル・フリゼール 「Beautiful Dreamers」 (2011)などでの客演が光っていた。 (3枚とも最高です)

 主役のカーディナスを含めたこの3人、実はベン・アリソンのパーマネント・バンド“The Ben Allison Band”のメンツであり、アリソンの最新リーダー作 「Action-Refraction 」 (2011) でもしっかり共演している。このアルバムもすごくいい。

 さて本盤はオリジナル8曲とキース・ジャレット作 「Blue Streak」 の合計9曲。冒頭を飾るM-1では、いきなりアリソンが4弦開放を使ってミュートをバシバシ決めまくり超ファンキーでかっこいい。M-2はフリーっぽくノン・リズムになるが、真性フリージャズよろしく暗く湿っぽくはない。陽気なハジけ方が楽しめる曲だ。

 かたやイントロから 「おっ、メセニー節だな」 と思わせるM-3はとても美しい。カーディナスらしく大地に抱かれるような土の匂いがぷんぷんする。またブルース・ファンクっぽいM-4は、ワンコードでひたすら押しまくるワイルドな音作り。メセニーっぽく美メロをリピートするM-5では、おいしいギターソロをたんまり聴けてゴキゲンである。

 一転してバラードのM-7は、コードワークを多用し荘厳な雰囲気を演出している。曲のヤマを作り、起伏をつけて静と動を対比させるコンポジションがいい。

 フリーっぽい腹の探り合いがスリリングなM-8は、メンバー各人の即興性で聴かせるおもしろい曲だ。最後にまたもメセニーの香り漂うドラマティックなM-9は、M-1やM-3とならび秀逸なメロディーが光るアルバムの顔だろう。短いながらベースソロも聴けて楽しめる。

 まとめよう。

 カーディナスのギターはちょっとパット・メセニーを思わせるが、メセニーより音色に潤いがあり、リズムにルーズな遊びがある。そこがいい。

 作曲姿勢や音色、フレーズ感は確かにメセニー似だが、メセニーのように超絶的なフィンガリングの正確さや速さをウリにするタイプとはまるで対照的だ。わかりやすくいえばカーディナスにはヘタウマ的なおいしさがあり、運指やため方がルーズでラフなところがいい。そこで味を出す種類のギタリストである。

 おまけにかなり中毒性が高く、この微妙なヘタウマ加減にいったんハマるとこればっかり聴いていたくなって困る。いまやカーディナス盤のステレオ占有率がえらく高まり、日常生活にも支障をきたすほどだ。うれしい悲鳴である。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Steve Cardenas / Panoramic

Steve Cardenas  Panoramic

Steve Cardenas (g)
Tony Malaby (ts)
Larry Grenadier (b)
Kenny Wollesen (ds)

Rec. November 26-27, 2002, at Avatar Recording Studios, NYC
Engineer: Anthony Ruotolo (FSNT 171)

夏草の香りがするギタリスト

 子供の頃、暑い真夏に泥だらけになって草むらへ入ると「ムッ」と草の匂いがしたもんだ。そんな夏草の香りを漂わせるギタリストがスティーブ・カーディナスである。カンザス出身らしくちょっとカントリーちっくで土臭く、あるときはファンキー。パット・メセニーっぽいナチュラル系のトーンが心地いい。

 本盤はFSNT通算2枚目のリーダー作だ。メンバーはテナーに鬼のトニー・マラビー 、ベースがラリー・グレナディアとくればメンツ買いはもはや確定。で、ケニー・ウォールセンってドラマーはだれ? と思ったら……聴いてびっくり。むっちゃ気に入ったわぁ、この太鼓の人 (頭はハゲてるけど)。 Bill Frisell とか John Zorn なんかとやってる人らしい。本職はパーカッショニストのようだが、バスドラがジョーイ・バロンみたいに「ドカン!」と来るタイプです。

 さて主役のカーディナスは若手の登竜門、Paul Motian & The Electric Bebop Band (もしくはPaul Motian Band )でカート・ローゼンウィンケルやらベン・モンダーがツインギターの相方だった。

 で、いまいちブレイクし切らない感のあるカーディナスだが、どっこい自作品を聴けば相応以上のものは作っている。ブルージーでファンキーなキラー・チューンM-1でつかみはオッケー。あとは一気にカーディナス・ワールドへ引きずり込む。

 オリジナルが7曲にチャーリー・パーカー 「Visa」、モンク 「Introspection」 の合計9曲。ギターの音色だけでなく曲作りにもメセニーの影響が見える。マーク・ジョンソンの「The Sound Of Summer Running」やメセニー「TRIO 99→00」の雰囲気がちらほらします。

 テンションの高い4ビートのM-2や、トニー・マラビーの泣きのテナー(笑)が炸裂するバラードM-3 (マラビーを受けたカーディナスのギターソロがまたいいわぁ)、そこはかとなくメセニー臭が漂うM-4、無機的でモノトーンなバラードM-6、跳ねるノリがおもしろい4ビートのM-7、「ここまでやるかぁ?」とばかりにメセニー劇似の美メロなM-8、サンバ調のM-9が気に入った。

 このところすっかりヘビー・ローテーション化している1枚。すでに最新リーダー作「West of Middle」 (2009年)の予約も確定しております。この音を聴き、「もう夏だなぁ」てな四季の感慨にふけるのもまたオツかと。

 しかしトニー・マラビーって……こんな「ふつうのサックス」も吹けるのね。(当たり前か)

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。