Chris Potter / The Sirens

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Chris Potter (ts, ss, bcl)
Craig Taborn (p)
David Virelles (prepared piano, celeste, harmonium)
Larry Grenadier (b)
Eric Harland (ds)

Rec. September 2011, at Avatar Studios, NY
Engineer: James Farber (ECM 2258)

クリス・ポッター、ECM初リーダー作の出来栄えは?

 なんかクリス・ポッターとECMってイメージ的に結びつかない。で、「ハズしそうだなぁ」とリリース後しばらくためらっていたのだが、結局買ってよかった。このエリック・ハーランドの重いドラミングを聴けるだけで幸せだ。そんなポッターの最新作である。

 ポッターはポール・モチアンのリーダー作「Lost in a Dream」(2010)で客演して以来のECMだ。いかにもECMっぽい、よくいえば叙情的で余韻を生かした(退屈な)曲が数曲散らばっているのには閉口するが、残り3分の2ではハーランドのずっしり重いドラミングが堪能できる。そのノリと緊張感は、最近リリースされたアレックス・シピアギンの傑作「Overlooking Moments」(レヴュー記事はこちら)に近い。

 半透明の濁った水中を泳ぐ海の精(セイレーン)が目の当たりにした光景を音にしたような感じ。アルバムタイトルになっているギリシャ神話のセイレーンは半女半鳥の美女で、その美しい歌声で近くを通る船乗りを誘い船を難破させた。リスナーを幻惑し、誘惑する罠を仕掛けてくるような演奏だ。

 メンバーはサックスにクリス・ポッターのほか、ピアノがクレイグ・テイボーン、プリペアード・ピアノ(グランドピアノの弦にゴム等をはさんで音色を変えたもの)にキューバ出身のダヴィ・ヴィレージェス。リズム隊はラリー・グレナディアとエリック・ハーランドの黄金コンビだ。

 ポッターのオリジナル8曲に、メンバーのテイボーンとヴィレージェスが共作した1曲の合計9曲。M-1の勇壮なダイナミズムとM-6のサンバ的な明るさが特にいい。ほかにシュールな幕開けから複雑な展開に雪崩れ込むM-2の妖しさ、美しいバラードのM-4、儚くやるせないM-5も目を引く。

 テナーとピアノ、ドラムの演奏は非常にいいが、個人的にはベースのグレナディアは特に彼である必然性が感じられない。持ち前の重さと太さはあるが、まあいえば仕事でこなしてる普通のプレイだ。名前を貸した意味が大きいのだろうが、元メルドー・マニアとしてはちょっと寂しい。
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