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Marc Mommaas / Global Motion

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Marc Mommaas (ts)
Nikolaj Hess (p)
Rez Abbasi (g, electric sitar)
John Hebert (b)
Tony Moreno (Drums)

Rec. January 5-6, 2003, at Charlestown Road Studios, NJ
Engineer: Paul Wickliffe (Sunnyside SSC1119)

クリス・チークの影響が見えるモマースの初期傑作

 当ブログが最近猛プッシュしているプレイヤーの初期傑作だ。ニューヨークで活動するオランダ人テナー奏者、マーク・モマースのセカンド・リーダー作である。そこかしこにクリス・チークの影響が垣間見えてとても興味深い。この人もチークの 「Vine」 (2000) を聴いて 「人生変わりました」 みたいなクチなのかなぁ? とニヤニヤしながら過去の音楽遍歴を想像できて楽しい。

 メンバーは核となるベースに名手ジョン・エイベアを据え、ドラマーは個性派のクセ者トニー・モレノ。ギタリストには、これまた個性の固まりみたいなレズ・アバシをフィーチャーした。さらにモマースとのデュエット作 「Balance」 (2005) にも参加しているデンマーク人ピアニスト、ニコライ・ヘスの顔も見える。

 全8曲すべてオリジナル。非4ビート系のコンテンポラリーなジャズが展開されている。モマースはフレーズの端々から、最新作 「Landmarc」 (レヴュー記事はこちら) へと到る道程が見て取れる。ただし最新作のように弛緩した脱力系のプレイスタイルへは完全に進化しておらず、一部にまだ力強さの残るコルトレーン的な要素も見える。

 まずM-1は90年代後半から2000年代にかけ、クリス・チークやマーク・ターナーが流行らせた浮遊感のあるノリである。続くM-2はアバシによる幻想的な導入部で幕が開く逸品。一方、M-5は中盤以降にテナーが印象的なフレーズをリピートするキラーチューンだ。アバシの破壊的なギターソロも聴ける。ほかにM-6とM-8の美しいバラードも印象に残った。脱力系あり、ストロング・スタイルあり、バラードあり。バラエティに富む内容だ。

 本作が録音・リリースされた2003年といえば、来るべき2000年代以降の新しいジャズの雛形を作ったマーク・ターナー 「Yam Yam」 (1995)、クリス・チーク 「Vine」 (2000) の興奮醒めやらぬころである。浮遊する独特のリズムと無機的でメカニカルなフレージングが猛威をふるい始めた時期だ。

 かたや90年代に颯爽と現れた3人の天才たちも、それぞれカート・ローゼンウィンケル 「The Next Step」 (2000)、ブラッド・メルドー 「Places」 (2000)、ジョシュア・レッドマン 「Beyond」 (2000) というキャリア最高傑作を世に問い、栄華を極めていた時代だ。まだ 「これからの人」 だったモマースも、さぞ刺激を受けていたことだろう。

 97年にニューヨークへ乗り込み7年目でモノにしたSunnysideデビュー盤。当時の彼の興奮が伝わってくるような力作だ。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Marc Mommaas / Landmarc

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Mark Mommaas (ts)
Nate Radley (g)
Tony Moreno (ds)
Vic Juris (g on 2, 6, 9)
Rez Abbasi (g on 4, sitar on8)

Rec. February 16-17, 2009, at Charlestown Road Studios, NJ
Engineer: Paul Wickliffe (Sunnyside SSC1249)

ギターの夢魔な響きと空間の広がり

 ベース・レスなバンド編成の可能性は、いろんなミュージシャンによって探求されている。数をあげればキリがないが、ここ数年ではポール・モチアンの 「Lost in a Dream」 (2010) などは新鮮だった。

 ベース・レスのメリットはふたつある。ひとつはバンドの音が重たくならないこと。そしてもうひとつは空間が生まれることだ。ベースをなくすことで空間を音で埋めてしまわず、何もないスペースを作り出す。その空間にプレイヤーが自由に入り込み、クリエイティヴなプレイを繰り広げる。ニューヨークで活動するオランダ人テナー奏者、マーク・モマースの最新作は、そんなスペイシーなおもしろさにあふれている。

 バンド編成はテナー、ギター、ドラムの3人だ。ギターパートはネイト・ラドリーを軸に、楽曲に応じてベテランのヴィック・ジュリスとパキスタン出身のレズ・アバシら2人のギタリストが交互に参加している。全9曲すべてオリジナルだ。

 この編成でカギを握るのがギタリストのコードワークである。冒頭からラドリーが不思議な響きを放ちながら空間に彩りを添える。彼は本作でめざましい仕事をしている。その上空をモマースのテナーがクールなトーンですいすい泳ぐ。かと思えば2人がユニゾンでぐりぐりキメのフレーズを繰り返し、盛り上げて行く。

 モマースはけっこう速いパッセージを吹いたりしているが、額に血管浮き立たせて力んでいるようなところがまったくない。ひょうひょうと、淡々と、肩の力が抜けた老子のようなプレイぶりである。

 テナーが吹くのをやめればギターとドラムのデュオになり、ギタリストがソロを取る。そこにテナーがフレーズを挟むこともある。3人から2人へ、2人から3人へ。臨機応変にクルクル編成が変わるところがおもしろい。本盤はテナー奏者のリーダー作だが、アルバム全体のイメージを決定付けているのはギターの響きだ。このベース・レスな編成は無限の可能性を秘めている。傑作である。

 マーク・モマースは1969年オランダ生まれ。1997年にニューヨークへ渡り、マンハッタン音楽院で学んだ。1999年にリリースされた 「Global Motion Trio」 でデビューし、その後、Sunnysideから本盤を含め3枚のリーダー作を発表している。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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