Jostein Gulbrandsen Trio / Release of tension

1

Jostein Gulbrandsen (g)
Ike Sturm (b)
Ronen Itzik (ds)

Rec. October 24, 2009, at Peter Karl Studios, NY
Engineer: Peter Karl (自主制作盤)

空間をあやつるスペイシーなノルウェー人ギタリスト

 暴れ馬のジョン・イラバゴン (ts) とアイヴィン・オプスヴィーク (b)、ジェフ・デイヴィス (ds) を擁した強力なデビュー盤が衝撃的だったので期待して聴いた。ニューヨークで活動するノルウェー人ギタリスト、ヨステイン・グルブランドセンのセカンド・アルバムだ。

 全体に凛とした透明感と繊細さ、気だるくメランコリックな雰囲気が漂う。前作よりややメロディアスだが、はるか上空に北欧の薄ぼんやりした曇り空が乗っかっているところは前作と同じだ。これが彼の音楽性なのだろう。

 本作ではメンバーを一新し、ギタートリオ編成にした。ベーシストは、セント・ピータース教会(マンハッタン)の副音楽ディレクターとして知られるIke Sturm。一方、ドラマーは、セバスチャン・ノエルと今年ヨーロッパ・ツアーに出る予定のRonen Itzikだ。

 全9曲すべてオリジナル。キャッチーで美しいメロディのM-5がひときわ目立つ。ヨステイン得意のしっとりしたアコギが聴ける極上のキラーチューンだ。ほかには叙情的で美メロなM-1やM-2、ノリのいい4ビートのM-3、空間の広がりを感じさせるM-4が耳に残った。

 新ベーシストのSturmは中高域を多用するジャコ・パストリアスみたいなプレイスタイルだ。そのためボトムが欠落して感じられ、彼のプレイにどうも乗れない。かたやドラマーのItzikは、ベーシストが音数多く前に出るぶんバランスを取るため抑えているのか、極端に控え目な演奏をしている。

 主役のグルブランドセンは、本作でメロディ・メイカーとしてのセンスがはっきり証明された。余韻を生かしたスペイシーなプレイスタイルもワン・アンド・オンリーで、才能にまちがいない。 これでメンバーさえよければなぁ、ホントに惜しい、と思うのは私だけだろうか。次回作に期待したい。

 ※本作は自主制作盤のため入手しにくいが、通販サイト 「CDBaby」「vento azul」 あたりでゲットできる。

【関連記事】

『Jostein Gulbrandsen / Twelve』
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jostein Gulbrandsen / Twelve

1

Jostein Gulbradsen (eg, ag, fretless g)
Jon Irabagon (ts, cl)
Eivind Opsvik (b)
Jeff Davis (ds)

Rec. March 12, 2006, at Peter Karl Studios, NY
Engineer: Peter Karl (FSNT 291)

北欧の曇り空を音にするノルウェー人ギタリスト

 ニューヨークで活動するノルウェー人ギタリスト、ヨステイン・グルブランドセンのギターをひとことで言い表すとすれば、「寂寥感」だ。いかにも北欧を感じさせる寒色系の音色で、ほとんど陽の差さないうら寂しい曇り空のようなギターを弾く。デビュー作ながら強烈な個性である。

 メンバーは、サックスに2008年モンクコンペ優勝者のジョン・イラバゴン、リズム隊はトニー・マラビーとの共演で知られるアイヴィン・オプスヴィーク (b) とジェフ・デイヴィス (ds) のコンビだ。

 グルブランドセンはマンハッタン音楽院出身で、2001年からニューヨークで活動している。本作に続き、2011年にはセカンド・リーダー作 「Release of Tension」 をリリースしており、サイド参加作としては「Nathaniel Smith Quartet」 (2011年、レヴュー記事はこちら) などがある。

 オリジナル7曲に、ロックバンド・ポリスの1曲を含む計8曲。まずM-1はギターとサックスがユニゾンで奏でるウネウネしたテーマがおもしろい。オーネット・コールマン風味のテナーと、ベースのリズムに諧謔味があるM-2も不思議な魅力にあふれている。

 M-4はオーソドックスな速い4ビートで、ギターとテナーがテンションの高いソロを決める。続くM-5はオプスヴィークが弓弾きするベースのリフレインがもの悲しく、ギターとクラリネットによるユニゾンのテーマも非常に美しいメランコリックな逸品だ。

 またポリスのヒット曲 「Message In A Bottle」 を大胆なアレンジで聴かせるM-6は、ミュートを利かせたベースと単弦弾きでパッキングするギターのからみが効果的。途中フリーっぽくなり迷宮の世界へ行くが、すぐ立ち直りストンと終わる。

 一方、アコースティック・ギターをフィーチャーしたM-3やM-8は、侘びサビに満ちあふれ味わい深い。 「アルバム構成に変化をつけるために入れました」 的な間に合わせのアコギ曲は多いが、この人のアコギ演奏ははっきり必然性を感じさせる。

 グルブランドセンはめったに速いフレーズを弾かず、独特の間を取りながら噛み締めるように音符を紡いで行く。スペースを生かしたプレイが印象的だ。彼にからむイラバゴンのテナーは時に狂気を感じさせ、オプスヴィークとデイヴィスのリズム隊は超強力で太くずっしり重い。ここ数ヶ月間でダントツに刺激的だった1枚。おすすめである。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR