Sebastian Noelle Quartet / Across The River

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Sebastian Noelle (g)
Javier Vercher (ts on 2,4,6,8-10, fl on 1)
Donny McCaslin (ts on 1,3,5,7, ss on 1)
Ben Street (b)
Ari Hoenig (ds)

Rec. October 17-18, 2005, at Acoustic Recording Studios, NY
Engineer: Michael Brorby (FSNT 249)

アリ・ホーニッグ参加、静かに舞うNYの不思議系ギタリスト

 アルペジオでバッキングし、ソロも半分アルペジオみたいな不思議系ギタリスト、セバスチャン・ノエルが2006年にリリースしたデビュー盤だ。間合いで勝負する空間を生かしたフレージングと、ゆらゆら揺れる独特のノリが楽しめる。

 アジア・中近東をテーマにした彼のセカンド作 「Koan」 (2011年、レヴュー記事はこちら) とくらべ、音のないスペースを生かしたコンポジションが目立つ。ギターと管楽器が煙のようにたなびき、聴き手の心の隙間にじんわり染み込んで来る。

 メンバーも豪華だ。テナーに売れっ子のドニー・マッカスリンとバークリー音大出身のハヴィエル・ヴェルチャー、リズム隊にはベン・ストリート (b) 、アリ・ホーニッグ (ds) という強力コンビを起用している。

 全10曲すべてオリジナル。ノエルのソロは1音1音を確かめるように、まったり音を紡いで行く。スピードや技巧を競うのでなく、逆にギクシャクしたリズムや間を味に替える個性派ギタリストだ。同じニューヨークのプレイヤーでいえば、ブラッド・シェピックやネイト・ラドリーのようなタイプといえる。

 一方、リズム隊のプレイもすばらしい。ベン・ストリートはまさに正確無比、静的な楽曲であっても躍動感を内に秘めたビートを打ち出す。かたやアリ・ホーニッグは、適度に軽めのアタック感ですごく速いパッセージを叩き出していて驚かされる。エネルギッシュなホーニッグのプレイスタイルとは正反対の静かな楽曲が続くが、彼はそれに順応しているだけでなく、このふわふわした楽曲群の只中でもしっかり個性を主張している。やはり非凡なドラマーである。

 クールなジャズが好みの人にはジャストフィットしそうな1枚。聴けば聴くほど味が出るスルメ盤だ。それにしてもノエルがファーストアルバムでこの地点に到達していた事実には驚かされる。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Sebastian Noelle / Koan

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Loren Stillman (as)
Sebastian Noelle (g)
Thomson Kneeland (b)
Tony Moreno (ds)
George Colligan (p)

Rec. April 22-24, 2010, at West Village Studios, NY
Engineer: Chris Kaufmann (FSNT 391)

ブルックリン最先端、浮遊しながら壊れて行くアルトとギター

 淡々と何の感情も込めず、静かに詩を朗読しているかのような作品だ。クールで無機的なギターとアルトが交互にソロを取り、機械っぽいメカニカルな楽曲が続く。最初は取っ付きにくいが何度も聴くうち暗示にかかったように気持ちよくなる麻薬盤だ。

 2002年からニューヨークで活動しているドイツのギタリスト、セバスチャン・ノエルの最新作 (セカンド・リーダー作) だが、なによりローレン・スティルマンの冷たく醒めたアルトがアルバム全体の印象を強く決定付けている。実質的には、スティルマンとの双頭バンドといっていいだろう。

 ノエルの作風とプレイスタイルはギタリストのネイト・ラドリー (レヴュー記事はこちら) に近く、スティルマンを交えた人脈的に言っても遠くないのだろう。ニューヨークの若手の中では、「フリー・インプロヴィゼーションまでは行かないけれどちょっと前衛的で、決して熱くならない淡白な無機質さがおもしろい」 みたいな位置づけのプレーヤーたちだ。

 全11曲すべてオリジナル。このアルバム構成が、自分色の独自コンセプトで勝負する種類のアーチストであることを物語っている。バンドとしてのノリはあるが何拍子だかわからないようなリズムが続き、徹頭徹尾、ふわふわと漂うように最終曲を迎える。ドラマーはけっこう強いビートを叩き出しているのだが、なぜか浮遊感の漂う展開になるのが不思議だ。

 気の抜けたサイダーのようなこのギターとアルトの壊れ方は、とにかくふつうじゃない。サイド参加しているジョージ・コリガンのソロになると、突然ものすごく 「まとも」 に聴こえるのがおかしい。

 使用上の注意としては、興味のない人はハナもひっかけないが好きな人はすごく好き、なタイプのジャズだ。 「熱い50年代のハードバップ以外はジャズじゃない」 みたいな好みの人は近づかないほうが無難だろう。

 でもめっちゃ、イイけどねぇ。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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