Sam Yahel / Hometown

3

Sam Yahel (p)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Rec. October 22, 2007, at Acoustic Recording, NY
Engineer: Nick O'Toole (Posi-Tone Records PR8048)

ノリノリのヤエルがピアノトリオで明るく躍動する

 オルガン奏者、サム・ヤエルがピアノトリオに取り組んだアルバムだ。同じくピアノトリオ編成でリリースした次作の 「From Sun To Sun」 (2011年。レヴュー記事はこちら)と対になるような作品である。

 次作とは対照的に、明るくノリのいい楽曲構成が目立つ。両盤をくらべるとハデな本作の方が広く支持されそうだが、個人的にはヤエルのリリカルな一面をあぶり出した深みのある次作の方が好みだ。

 ヤエルとタッグを組むリズム隊は、マット・ペンマン (b) とヨッケン・リュッカート (ds)。エネルギッシュな行け行け調の本作では、特にペンマンが作り出すあの独特のグリグリした跳ねるリズムがキーになっている。

 オリジナルが3曲に、モンクやエリントン、ウェイン・ショーター曲など計10曲。M-1の「Jealous Guy」は言うまでもなくジョン・レノンの名曲だが、耳タコなテーマ部を聴くと何でいまさら感が漂う。ところがピアノのアドリブに入ると途端に叙情的なめくるめく世界になり、「さすが」と思わせる。

 ほかには陽性でブルージーだが途中から妖しいフリーの雰囲気に豹変するM-3、速射砲のような速弾きが炸裂するアップテンポのM-4のほか、リズム隊の強烈なプッシュに乗りピアノがアクレッシブに攻めまくるM-6、ショーターの「United」を躍動的に聴かせるM-8が耳に残った。

 キャッチーで明るい本作はつかみもよく、パッと聴いた瞬間に「いい!」と感じるタイプの作品だ。その意味では理屈ぬきで楽しめる1枚といえるだろう。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Sam Yahel / From Sun To Sun

Sam Yahel  From Sun To Sun

Sam Yahel (p, org)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Rec. May 23-24, 2010, at Acoustic Recordings, NY
Engineer: Michael Brorby (Origin Records 82596)

メルドー・ライクな光速ピアノ・トリオ

 オルガニスト、サム・ヤエルがピアノ・トリオに挑む最新リーダー作。同じくピアノ・トリオ編成だった前作「Hometown」 (2009) に続く連作だ。今回はオルガンも弾きながらの二刀流な点が見もの。メルドー・ライクでリリカルなんだけど実はR&Bも通過してきました、みたいなピアノが楽しめる。

 メンバーはおなじみ、ベースにマット・ペンマン、ドラマーはヨッケン・リュッカートだ。(この2人、いったいアルバム何枚作ってるんだろ)。いうまでもなくドイツ人トロンボーン奏者、ニルス・ヴォグラム率いるグループ「ROOT 70」のリズム隊である。ペンマンは相変わらずゴツゴツしたノリで適度にハジけ、それをリュッカートがサラリと軽快に受け止めている。

 オリジナルが10曲、スタンダードなど3曲の合計13曲。跳ねるベースで始まるファンキーなM-1は、対照的にピアノが叙情的でギャップがおもしろい。ほかに光速の速弾きが炸裂するM-3、ブラッド・メルドーっぽく高貴で美しいM-4とM-8、M-9、M-11。シリアスでテンションの高いM-5、オルガンも聴けるファンキーなM-6、ホットに盛り上がるR&BっぽいM-10が耳に残った。

 ヤエルのピアノは音数が多く、速くたくさんの音符を詰め込もうとする。だが不思議とそれが耳障りにならない。若かりし頃、ライブ時に唯我独尊化したときのメルドーとはちょい、ちがう。

 それにしても世の若いピアニストはみんな、メルドーの影響受けてるんだなぁ、とあらためて思い知らされる一作だ。前作「Hometown」のような派手さはないが、聴き込むにつれ次第に本盤のほうがよくなってくる。そこはかとなくスルメ化の香り漂う作品である。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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