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Dayna Stephens / I'll Take My Chances

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Dayna Stephens (ts, bs)
Charles Altura (g)
Gerald Clayton (P, Hammond B3 Organ)
Joe Sanders (b)
Bill Stewart (ds)
Becca Stevens (vo on 6)

Recorded: January 23, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1361)

ひらひらと舞う 「NYスタンダード」 のグルーヴ感

 スーッと滑らかなノリのオープニングから、統一感のあるテイストの曲が続く。絶対に力むことなく、むしろ脱力してふらふらと漂うようなプレイスタイルは、今やマーク・ターナーと並び2010年代の 「NYスタンダード」 になった。バークリー音大出身の若手テナー奏者、デイナ・スティーブンスが2013年にリリースしたキャリア最高傑作である。

 メンバーは現代最強の布陣だ。ギターには若手有望株のチャールズ・アルトゥラを起用し、ピアノには天才ジェラルド・クレイトン。リズム隊はジョー・サンダース(b)とビル・スチュワート(ds)のコンビである。ほかに1曲だけ、ベッカ・スティーヴンズがヴォーカルでゲスト参加している。

 デイナのオリジナル5曲と共作1曲を含む、合計10曲。なんともいえない浮遊感のあるM-1からのったりしたテーマがツボにくるM-3、粘っこくファンキーなM-4、テーマにインパクトがあるM-8、ぐいぐい乗せる4ビートのM-2やM-5、M-9など、これぞ2000年代以降のコンテンポラリー・ジャズの見本という感じ。どれも最高の選曲とアレンジ、コンポジションだ。おそらくどんな好みの人が聴いても 「すごくいい!」 と飛びつくだろう。

 まずなんといってもチャールズ・アルトゥラのうねうねしたギターにはまったく興奮させられる。特にバリバリと空間を引き裂くようなM-2や、ぐっと踏ん張りながらかっこよく粘るM-4、逆に抜き気味のプレイが映えるM-5のソロが印象的だ。泣きをかました哀愁たっぷりのM-8もハマってる。本作で初めて彼を知り、もっと聴きたくてネット検索しまくったが、ほかの参加作が苦手なチック・コリア盤しかなくて泣く泣くスルーした笑えない経緯がある。

 かたやクレイトンのソロも眩しい光を放つ。手探りのような抑え方がたまらないM-1に、細かくリズムを刻むノリのいいM-2、たっぷりためて壮大に盛り上げるM-3のピアノにはうっとりさせられる。サイド参加でこれだけ完璧に一定水準をクリアしたプレイを続けられるという意味では、いまやアーロン・パークスに待ったをかける存在になりつつあるといえるだろう。

 それにしてもこのひょうひょうとしたデイナの軽いノリにぴったり寄り添えるのは、ビル・スチュワートのドラミングならではというところがある。これが例えばエリック・ハーランドなら、良くも悪くももっとずっしり重いノリになる。本作のスチュワートの4ビートのように、スイスイ軽やかに泳ぐようなグルーヴにはならない。

 また個人的には買ったCDにヴォーカルが突然出てきた瞬間いつもゲンナリするのだが、本作ではM-6でベッカ・スティーヴンズが夢見るようなすばらしい歌を聴かせている。この曲は全体の中でいいお飾りになっており、チョイスにセンスを感じさせる。

 最新作 「Reminiscent」 (2015年、レヴュー記事はこちら) をリリースしたばかりのデイナだが、同盤で初めて彼を聴き興味を持った人にはもってこいの1枚。おすすめです。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Dayna Stephens / Reminiscent

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Dayna Stephens (ts, ss, bs)
Walter Smith III (ts)
Aaron Parks (p)
Mike Moreno (g)
Harish Raghavan (b)
Rodney Green (ds)

Recorded: October 29, 2013 at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1377)

スミス3世参加、漂流感のあるグルーヴが心地いい

 2本のサックスが絡まりながらテーマを奏で、高みへと登りつめて行く。現代的で漂流感のあるグルーヴが心地いい。若手サックス奏者、デイナ・スティーブンスがリリースしたばかりのクリスクロス第3作。コンテンポラリー・ジャズの逸品である。

 アルバム全編で、デイナ得意の力を抜いた漂うようなプレイが聴ける。要所を締めるパークスのピアノも相変わらずハイセンスだ。パッと聴いた感じでは地味めの作品だが、聴けば聴くほど味が出るスルメ盤である。クリスクロス第2弾だった自身の最高傑作 「I'll Take My Chances」 (2013年、レヴュー記事はこちら) にはわずかに及ばないが、一定水準をクリアした秀作であることはまちがいない。

 メンバー的には、バークリー音大仲間のウォルター・スミス3世(ts)を大々的にフィーチャした。またセカンド・リーダー作 「Today Is Tomorrow」 (2012年、レヴュー記事はこちら) でも起用しているアーロン・パークス(p)の顔も見える。これに売れっ子若手ギタリスト、マイク・モレノが加わる豪華な布陣だ。

 一方のリズム隊は、スミス3世の最新作 「Still Casual」 (2014年、レヴュー記事はこちら) でも安定感のあるプレイをしていたハリシュ・ラジャン(b)。加えてドラマーは、初リーダー作 「Live at Smalls」 (2014年、レヴュー記事はこちら) が当ブログの年間ニューアルバム第8位を受賞したロドニー・グリーンである。

 デイナのオリジナル4曲にスミス3世が3曲を持ち寄り、ほかはスタンダードなど合計10曲。アルバム前半は比較的コンテンポラリーな楽曲を、逆に後半は昔っぽい懐古調のナンバーを並べている。このコントラストがおもしろい。

 スタイル的には、デイナとスミス3世が組んず解れつしながらテーマを提示する。2人はふだんから親交があり、同じバークリー音大仲間のドラマー、マット・スローカムの一連のリーダー作でもいっしょにやってるだけに息がぴったりだ。

 スミスと絡まりながら立ち上がるM-1冒頭で早くも傑作の予感がする。4ビートに乗り、まずデイナのソロは浮遊感のあるいつものノリ。二番手スミスのソロのほうが心持ち力強い。三番手はパークスが務め、またサックス2本によるテーマに戻る。2人の絡みが予想以上に高い効果を上げている。

 一方、M-2はアップテンポの4ビートで2人のサックスソロも畳みかけるように速いパッセージが繰り出される。続くM-3は痺れるように鎮静的なバラードだ。手探りで彷徨うようにプレイするパークスの働きぶりがすばらしい。

 このほかやや落としたテンポで2人が競演するM-5、モレノが伸びのあるソロを聴かせるM-6、パークスが必殺のピアノソロを見舞うM-9あたりが耳に残った。またハードバピッシュで理屈抜きに楽しい4ビート曲のM-10もいいアクセントになっている。

 総評としては、昨年Sunnysideからリリースした既成曲をこってり盛った新味のないバラード集 「Peace」 では 「ネタ切れかなぁ」 と思わせたが、彼のクリスクロス作品はどこかに 「新しさ」 を覗かせて相変わらずレベルが高い。おすすめです。

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Dayna Stephens / That Nepenthetic Place

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Dayna Stephens (ts)
Taylor Eigsti (p)
Joe Sanders (b)
Justin Brown (ds)
Ambrose Akinmusire (tp on 1-3, 7-10)
Jaleel Shaw (as on 1-3, 9,10)
Gretchen Parlato (vo on 6, 7)

Rec. January 21, 2010, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Mike Marciano (Sunnyside SSC1306)

前作よりエネルギッシュ、作曲のセンスを感じさせる

 クリスクロスから出た前作 「Today is Tomorrow」 (2012) が鮮烈だった若手テナー奏者、デイナ・スティーブンスが発表したばかりの3作目だ。前作とくらべエネルギッシュな曲が増えており、3管が弾ける1曲目を聴いただけで引き込まれる。楽曲がすばらしく作曲のセンスを感じさせる。今年上半期のベストテンに入りそうだ。

 漂うような心地いいリズムが流れる。あるときはふんわりと、またあるときはひたひたと潮のように満ちてくる。前作より凝ったアレンジの楽曲が目立つが、派手さはなくとても渋くて聴き飽きない。なによりスティーブンスの力まない枯れたテナーが味わい深い。

 いい意味でしっとり地味だった前作は典型的なスルメ盤だった。文字通り盤が擦り切れるまで聴いた。本作はそれよりノリのいい楽曲が増え、さらにパワーアップしている感じだ。若手イチ押しのリズム隊、ジョー・サンダース(b)とジャスティン・ブラウン(ds)を採用したのが大きい。彼らコンビがよく跳ねている。

 メンバーはほかに、テイラー・アイグスティ(p)、アンブローズ・アーキンムシーレイ(tp)、ジャリール・ショウ(as)。グレッチェン・パーラト(vo)も2曲参加している。アイグスティはアーロン・パークスばりの透明感のあるピアノを弾くなかなかの逸材だ。アーキンムシーレイとショウもよく利いている。

 2004年モンク・コンペで優勝したパーラト入りなのは最近のお約束っぽくてなんだかなぁだが、ただし彼女の歌と楽曲はすごくいい。個人的には突然歌物が出てくると引きまくるのだが、このパーラト曲はアルバム全体の雰囲気を損ねてない。それどころかぐんと引き立てている。

 オリジナル8曲、その他2曲の合計10曲。モーダルでエキサイティングなM-1や、気だるいリズムが心地いいM-2、冒頭からアグレッシヴでかっこいいM-4、スピード感のある攻撃的な4ビートのM-9など、オープニングからエンディングまで全曲魅力的だ。捨て曲は1曲もない。本作も前作同様、噛めば噛むほど味が出るスルメぶりである。

 スティーブンスはバークリー出身で、1978年ブルックリン生まれ。ファースト・リーダー作 「The Timeless Now」 (2007年) でデビューした。なお2作目としてリリースされた前作 「Today is Tomorrow」 は本盤より後の2011年10月に録音されており、演奏自体は本アルバムより新しい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Dayna Stephens / Today Is Tomorrow

ds_t

Dayna Stephens (ts)
Michael Rodriguez (tp, flh on 2,6)
Julian Lage (g on 4,6,7)
Raffi Garabedian (ts on 3)
Aaron Parks (p)
Kiyoshi Kitagawa (b)
Donald Edwards (d)

Rec. October 27, 2011, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1345)

スルメ化の予感ありあり、漂うような味わい深いバラード集

 サックス奏者、デイナ・スティーブンスが先月末に出したばかりのセカンド・リーダー作だ。緩めのバラードが多くゆったりリラックスでき、聴けば聴くほど味が出る超おすすめ盤。ピアノにアーロン・パークスのほか、ニューヨークを拠点に活動している北川潔 (b)、また注目の若手ギタリストであるジュリアン・レイジが3曲参加しているのも話題だ。

 スティーブンスはバークリー音大卒の1978年生まれ。2007年発表の「The Timeless Now」(CTA)でデビューし、チック・コリアのバンドに在籍したこともある。決して力まず熱くならないクール系で、気だるく今っぽい演奏をする。最近のプレイヤーではマーク・ターナーや、ジェレミー・ペルト作品でプレイしている時のJ.D.アレンに近い感じだ。個人的にはどストライクだが、ただし「ジャズに熱さや力感は絶対条件だ」という人はピンとこないかもしれない。

 スティーブンスのオリジナルが5曲、参加メンバーのアーロン・パークス2曲、ジョー・ヘンダーソンの「Black Narcissus」、スタンダード2曲の合計10曲。地味めのスロー~ミディアム・バラードが多く派手なナンバーは皆無だが、一聴して 「よさそう」 と感じるのだから聴き込めば必ずやスルメ化すると見た。非常に好みだ。

 Criss Cross が2月にリリースした4枚のうち、「Introducing Joe Sanders」 は早々に購入確定していた。あとは残り3作をネット試聴し、好みに合いそうな本作を選んだが正解だった。気負い込んで買った「Introducing~」より、すでにこっちの方がすっかり気持ちよくなっている。

ジェレミー・ペルトの最新作 「Soul」 に近いさり気なさ

 適度に4ビートをまじえながら、漂うようなノリの楽曲が続く。アルバム全体のテイストとしては、バラード寄りだったジェレミー・ペルトの最新作 「Soul」 (2012) のM-1~M-5に近い感じだ。

 パッと聴きでは美しいM-1と、NYC的でとんがったM-10のインパクトが強い。あとはキメがかっこいい4ビートのM-2や、陽気でわかりやすい4ビートのM-5、ギターのバッキングが印象的で味のあるM-6あたり。今っぽく浮遊したあとウォーキングベースになるM-8もいい。ただ逆にM-3やM-4、M-7、M-9のように、一見地味な深みのあるバラードこそが実はスルメ化するものだ。現にM-7、M-9は聴くたびによくなっている。

 ちなみにM-4の 「De Pois Do Amor, O Vazio」 は、ウェイン・ショーターのBlue Note最後の作品 「Odyssey Of Iska」 (1970) の4曲目に収録されていた曲である。そう、あのショーター世紀の実験作 「Super Nova」 (1969) から続く3部作の最後に当たるコンセプト・アルバムだ。

 この盤を買った動機のひとつでもあるジュリアン・レイジは、参加3曲のうちそのM-4で美しく儚いソロを決めている。あとはM-6で何気ない系のソロを聴かせ、出番最後のM-7では味のあるバッキングに徹している。レイジの演奏を聴くのはまだ2度目だ。初めて聴いたのは、バンド全体がやたらにうるさい点だけが印象に残ったエリック・ハーランドの 「Voyager」 (2010) だったので、ギターはまったく記憶にない。本作では彼を見直せてよかった。

 一方、リズム隊は初聴きだが、すんなり耳に馴染んだ。ベースの北川はM-5とM-9、M-10、ドラムスのエドワーズがM-6でともにソロを披露しているが、どちらもまっすぐ素直で筋がいい。特に北川が聴かせたM-10のソロはミステリアスでとても印象に残る。

 最初にひと通りアルバムを味見したとき、最終曲のM-10を聴き 「うわぁ、冒頭のとぼけたメロディーと浮遊したリズムがいかにも今風だなあ。NYCっぽい」 と思ったら、案の定アーロン・パークスの作曲だった。パークスは特にM-7、M-9でさり気ないながらすごくいいソロを弾いている。ヒット作請負人の彼は、きっと本作でもアレンジ面など裏でかなり糸を引いてるんだろう。パークスの仕掛けは今回も見事に当たったようだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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