スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Luis Perdomo & Controlling Ear Unit / Twenty-Two

1

Luis Perdomo (p, el-p on 4, 6, 7, 10, 12)
Mimi Jones (b, vo on 9)
Rudy Royston (ds).

Recorded: December 29, 2014, at The Bunker Studio, NY
Engineer: Aaron Nevezie (Hot Tone Music HTM107)

ルイス・ペルドモはジャズ界の「横山やすし」である

 基本はリリカルなピアノ・トリオだが、ラテンやクラシック、フュージョン的な要素もふんだんに盛っている。加えて参加メンバー、ルディ・ロイストン(ds)の弾けぶりがすさまじい。自らが持つあらゆる音楽的素養をさらけ出したような作品だ。ベネズエラ出身のピアニスト、ルイス・ペルドモがリリースしたばかりの最新作である。

 全12曲中11曲がオリジナルという力の入れよう。ペルドモをはじめ総勢11人が織り成すアルバム「Balance」(2014年)が話題になった女性ベーシスト、ミミ・ジョーンズの起用も目を引く。それになんといってもドラマーのロイストンである。M-2とM-11でドラムソロを披露しているが、どちらもまるで海の潮が満ちていくかのような圧倒的なソロだ。

 ほかにはクラシックっぽい展開から激しくなるM-1、テーマが耳に残る涼やかなM-2、リリカルで美しいM-3、フュージョン的な盛り上がりを見せるM-4、ラテンのノリが楽しいM-11あたりが印象に残った。

 さてルイス・ペルドモというジャスマンは、「人がやらないことをやろう」として苦心惨憺する人だ。エッセイ「天才に賞味期限はあるか?」(記事はこちら)に書いたようなこだわりのあるタイプである。ラテン色を出していた初期のころもそうだったし、ラテンを控えるようになって以後も、あのテこのテで独自色を出そうと工夫している。

 だが悲しいかな、彼が気張れば気張るほどその努力は空回りし、作品トータルの価値として結実しない、という不思議な特徴をもっている。もっとも彼の場合はそれが必ずしもマイナスになっておらず、本人の四苦八苦ぶりを「笑って楽しめる」という余禄がついてくるところがすごい。つまりひと粒で二度おいしい。

 そして逆に奇をてらわず、肩の力をすっかり抜いた作品に限っていいものができる。たとえば何の変哲もない4ビートをやった「Links」(2013年、レヴュー記事はこちら)あたりがそれだ。オーソドックスの極致とでもいうべき演奏だが、アルバム全編に素敵なさりげなさがあふれている。

 では本作はどちらのパターンかといえば、まちがいなく前者だ。と、言い切るのはちと採点が辛すぎるので、まあその中間としておこう。クラシックあり、ラテンあり、ソウルあり、フュージョンあり。ドラムソロとベースソロもふんだんに盛り込み、女性ボーカルまで登場する。「これでどうだ!」みたいな詰め込み方である。

 だがこれら異種のエッセンスが必ずしも相乗効果を生んでおらず、逆に散漫な印象を受ける。いろんなものがあるなぁ、とは思うが、「すごいなぁ」では決してない。どの曲もかっこいいのだが、5+5が10にならず7や8で収まっている。

 ところが前述した通り、彼の場合はそれが決定的な減点ポイントにはならず、起死回生の起爆剤が埋め込まれていたりする。たとえばM-7では突然、80年代ディスコソウルみたいなベタなリズムパターンが出てきて笑わせてくれる。いや、本人は決して笑わせようとしてやってるわけじゃないのだが、笑ってしまう。現代ジャズ界の「横山やすし」と言っていいかと思う。

 横山やすしは、「ただそこにいるだけ」でおかしかった。別に本人は笑わせようとしてるわけじゃないのに、おかしかった。そんな魅力がペルドモにはある。この圧倒的な天然ぶりは、決して後天的な努力で身につけられるものではないだけに貴重だ。彼には今後も横山やすしを継ぐ者として、音楽で人を幸せにしてほしいと思う。

スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Luis Perdomo / Links

1

Luis Perdomo (p)
Miguel Zenon (as)
Dwayne Burno (b)
Rodney Green (ds)

Rec. January 20, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1357)

素敵なさりげなさにあふれた4ビートの快楽

 リリースされてすぐに聴いたが、生憎ずっとラーゲ・ルンドとウィル・ヴィンソンの新譜に浸っていたので2ヵ月間も書きそびれていた。特に期待せず買ったが大当たり。極上の4ビート・ジャズが楽しめる1枚だ。

 奇をてらったところがまるでないオーソドックスの極致。アルバム全編に素敵なさりげなさがあふれている。これぞ大人の音楽である。ベネズエラ出身のペルドモは、自分の背骨にあるラテンの色をまったく出さなかったのが功を奏した感じだ。

 メンバーは主役のルイス・ペルドモ (p) にミゲル・ゼノン (as)、リズム隊は渋さ満載のドウェイン・ブルーノ (b) とロドニー・グリーン (ds) である。

 のっけからM-1ではペルドモとゼノンが吼えまくる。ペルドモはもちろん、アルバム全編を通しゼノンのデキがとてもいい。アルトらしい翳りや愁いをまといながらも行くときは行く。このメリハリの利いた押し引きがすばらしい。

 ブルーノのベースは初めて聴いたときには(音がこもった印象しかなく)よさがわからなかったが、何枚も聴いてるうちに味がにじみ出してくる。いい意味でアクの強い個性派だ。グリーンのドラミングも最初は「好みとちがうな」としか思わなかったが、ここ何枚か4ビート作を続けて聴いてぐんぐん株が上がってきた。

 クリスクロス盤では低域が薄くなりがちなエンジニア、マイケル・マルシアーノによる録音も、本作ではブルーノのベースが太いぶん帯域バランスがうまく取れ、なかなかいい。はっきりした解像感のある好盤に仕上がっている。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。