Rotem Sivan / Enchanted Sun

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Rotem Sivan (g)
Sam Anning (b)
Rajiv Jayaweera (ds)

Recorded: June 18 & July 11, 2012
Engineer: Jacob Bergson  (SteepleChase SCCD33108)

春の雪解け水のようなギタートリオ

 独特のやわらかい音色で、淡いフィルターがかかったような優しい音を出す。とても繊細でドリーミー、シルクのような肌触りのギターを弾く。イスラエルの個性派ギタリスト、ロテム・シヴァンが2013年にリリースしたデビュー盤。自身最高傑作である。

 まるで独り言のように小さな音で、ささやくようにギターを弾く。その音のたたずまいは、ちょろちょろとか細く流れる春の雪解け水を思わせる。寸止めの美学というか、決してわかりやすく爆発しないところに味がある。

 ロテムはテルアビブ大学を卒業後、ニューヨークのニュー・スクールで学んだ。2013年に本盤でデビューして以後、セカンド・リーダー作の「For Emotional Use Only」(2014年)、最新盤「A New Dance」(2015年、レヴュー記事はこちら)をリリースしている。

 オリジナル7曲に、スタンダード2曲を加えた合計9曲。哀愁のあるメロディをリピートするM-1や、ドラマチックなフレーズが耳に残るM-9など、どこかヨーロッパ的な翳りと憂いが漂う楽曲がならぶ。知らない人が耳にすれば「スタンダードばかりの構成では?」と錯覚してしまうほど奇をてらわない素直な曲作りをしている。

 特にノリのいい4ビートのM-3や、のんびりくつろげる大らかなバラードのM-4、不思議な雰囲気が漂うM-5、味のあるメロディがゆったり流れるM-7あたりが耳に残った。

 若手ギタリスト界はほんの3〜4年前まで、ラーゲ・ルンドやマイク・モレノなどおなじみの常連ばかりが話題になるだけで停滞気味だった。だがここ数年でめっきりおもしろい個性派ギタリストたちがグイグイ頭角を現してきた。もちろんこのロテム・シヴァンも、その最右翼であることはいうまでもない。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Rotem Sivan Trio / A New Dance

Rotem_Sivan

Rotem Sivan (g)
Haggai Cohen-Milo (b)
Colin Stranahan (ds)

Recorded: January 29-30, 2015, at Atlantic Sound Studio, NY
Engineer: James A. Farber (FSNT 480)

つぶやくギターが個性を放つ

 ささやくようにギターを弾くイスラエル人、ロテム・シヴァンの最新サード・アルバムがリリースされた。ワイルドに歪んだ音に初挑戦し、新境地を開拓した曲もチラホラ。ただし基本は、蚊が鳴くように小さな音でデリケートなプレイをするいつも通りの展開だ。デキがよかったデビュー作と甲乙つけがたい良盤である。

 ロテムはテルアビブ大学を卒業後、ニューヨークのニュー・スクールで学び、2009年にはスイスのモントルー・ジャズ祭のインターナショナル・コンテストに入賞した。2013年にファースト・リーダー作「Enchanted Sun」(レヴュー記事はこちら)をリリースしている。

 スタンダードを2曲収録したデビュー作は手堅い好盤だった。だが2枚目の「For Emotional Use Only」(2014)はインタールード的な短く中途半端な曲が散りばめられ、散漫で物足りない印象が残り、彼の作曲能力に黄色信号が灯った。そして迎えた本作である。

 オリジナル7曲を含む合計10曲。オリジナル曲はありきたりな起承転結がなく、つかみどころのない不思議なテイストである点は2作目と同じ。だが今回は耳に残るメロディーが多く、楽曲のレベルが前作より明らかに高い。

 特に軽く歪んだ音で弾きまくるM-3は、1st、2ndアルバムを聴いている身としては、「この人ってこういう演奏もできるの?」という感じ。荒々しいテイストが意外にハマっている。今後もアルバムに1〜2曲はこのテをぜひ入れてほしいものだ。期待しよう。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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