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Julian Lage / Gladwell

JL_G.jpg

Julian Lage (ac-g, el-g)
Dan Blake (ts, melodica)
Aristides Rivas (cello)
Jorge Roeder (ac-b)
Tupac Mantilla (ds, per)

Recorded on August 12-14, September 29, and December 10-11, 2010 at WBGH Studios, Boston
Engineer: Richard King & Antonio Oliart (Emarcy 2765660)

2000年代ジャズ・ギターの 「最終回答」

 2000年代ジャズ・ギター界最大の発見だ。彗星のように現われた天才若手ギタリスト、ジュリアン・レイジが、2011年にリリースしたばかりのアコースティックなセカンド・リーダー作である。

 音楽性豊かな作品だ。既成のありきたりなジャズと明らかにちがう。ケルトやジプシー、カントリーからクラシックまで。さまざまなエッセンスがレイジという媒介を通し、「ジュリアン・レイジ」 というひとつの音楽になっている。ギタープレイはもちろん、コンポーザーとしての才能も文句なしだ。

 こんな伸びやかなギターを弾くプレイヤーが最近いただろうか? フレーズが晴れやかに歌っている。情感あふれる抑揚もすばらしく、いかにも歌心のあるギタリストだな、という感じがする。技術の高さはもちろんだが、プレイヤーとして大成するかどうかは 「運指の正確さ」 や 「指の速さ」 などより、むしろそうした豊かな音楽マインドをもっているかどうかの方が大きい。

 近頃のいい若手ギタリストは、マイク・モレーノにしろラーゲ・ルンド、アダム・ロジャースにしろ、「屈折系」 が多かっただけに、こういうまっすくなタイプは新鮮だ。フレージングだけでなくノリ (リズム感) もすごくよく、そのためリスナーをぐいぐい引き込む引力をもっている。

 彼はソロを取れば頭の1小節で勝負を決めるセンスがある。 「作文は最初の3行で読者を引き付けろ」 というが、ギターソロもまったく同じだ。ヘンな表現だが、彼のギターには初めてジミ・ヘンドリックスを聴いたときのような衝撃がある。おそらく彼は、30才になる前に天下を取るだろう。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

The New Gary Burton Quartet / Common Ground

gb_c.jpg

Gary Burton (vib)
Julian Lage (g)
Scott Colley (b)
Antonio Sanchez (ds)  Rec. 2010

この若造ギタリストは数年以内に世界を取るだろう

 いやはや、「今さらゲイリー・バートンでもないだろう」などと考えてズルズル買ってなかったが、大まちがいだった。ジュリアン・レイジがとんでもないプレイをしてるじゃないか――。

 てなわけでゲイリー・バートンが約1年前にリリースした最新作である。さすがは巨匠、きっちり作るもんは作ってくる。のっけからキラー・チューンが立て続けに登場するコンポジションが傑出している。なによりヴィブラフォンが夢見るように美しい。そして事実上の主役、ギターのジュリアン・レイジがすばらしい。大満足である。

 メンバー全員が計6曲を持ち寄ったほか、スタンダードやキース・ジャレット曲など合計10曲。リズム隊はアントニオ・サンチェス(ds)とスコット・コリー(b)の黄金コンビだが、彼らがこんな大人しい演奏をするのは珍しいのではないだろうか。驚くほどオカズが少ない。いや2人はソロも取っているが、トータルとして決して前へ出てこないのだ。「もっと遊びが多くてもいいのに」と思うくらい。

 これは深読みしすぎかもしれないが、「新鋭のジュリアン・レイジを立てよう」ということなのかもしれない。その証拠にアレンジ面でもギターが目立つよう作ってあるし、ゲイリー・バートンが見せるレイジの使い方には、「この若者を売り出そう」という意欲がマンマンだ。

 それにしてもジュリアン・レイジには、もうM-1のファンキーなソロからぶっ飛びまくりである。M-3のソロで見せる空気をものにした導入部には鳥肌が立つし、ノリのいいバックにプッシュされたM-7の弾きまくりにも圧倒される。

 個人的には最近の若手ギタリストはマイク・モレノ、ラーゲ・ルンド、アダム・ロジャース以外どうも不作で、技術はあるが個性のないギラッド・ヘクセルマン程度がどうしても上位にランクされてしまう。そのなかにあってジュリアン・レイジは、パット・メセニー以来の「宝石」といえるかもしれない。ゲイリー・バートンの、というより、世界がレイジを発見した1枚である。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Marc Copland / Some More Love Songs

Some_More_Love_Songs.jpg

Marc Copland (p)
Drew Gress (b)
Jochen Rueckert (ds)

Rec. October 12-13, 2010, at Pirouet Studio, Munich
Engineer: Jason Seizer (Pirouet PIT3062)

カヴァーを自分色に読み替える魔術師ぶりは健在だ

 コープランドは独自の体内時計を持ち、そのフィルターを通して他人の曲を一瞬にして自らの間合いに読み替えてしまう。そんな独特の文法を持っている。

 本作でもその魔術師ぶりは相変わらずだ。発売されたばかりの最新作だが、全7曲中、彼のオリジナルは1曲のみ。ジョニ・ミッチェル曲、ロン・カーター曲、スタンダード等がずらり並ぶが、どれもオリジナル曲であるかのように妖しく光る自分色に塗り替えている。

 タイトルを見ればわかる通り、本作は2005年にリリースされた彼のヒット作「Some Love Songs」の続編的な位置づけだ。前回同様、愛をテーマに構成されている。なるほど確かに優しくリラックスできる音である。参加メンバーも前回と同じく、ベースがドリュー・グレス、ドラムスがヨッケン・リュッカートの必勝体制だ。

 前作の「Some Love Songs」は、適度にコマーシャルで適度に妖しかった。名作のNew York Trio Recordingsシリーズとくらべポップだし、傑作「Haunted Heart」ほどの底知れなさはなかったが、あの「ほどほど感」がヒットの理由なのだろう。そのパート2を出してきたのだから、今度も「売ろう」ということだ。

 そんな視点から見れば、本作はいかにも穴がない。そつなくプロ的に仕上げている。3人のインタープレイもマニアックにならない程度に収め、明らかに最大公約数を狙う音作りをしている。個人的にはもう少しコープランド的な異界を垣間見せられるような刺激がほしい気もするが、セールスを考えればまあこういう線に落ち着くのだろう。

 プロはたとえインスピレーションが湧かない時でも、蓄積したノウハウと技術を駆使して常に80点以上の作品を作れる。それが90点のときもあれば120点の回もあるが、常に80点以上であることに変わりない。コープランドがそんなアルバム制作の経験を生かし、うまくまとめた。変哲もないが、でも水準以上。そんな印象の好アルバムだ。

(追記) 2012年6月20日付

 しばらく聴き込むにつれ、じわじわと味が出てきた。いまやかなりヘビーローテーション化している。「変哲もない」というのは前言撤回。これは「Some Love Songs」に劣らない傑作である。スミマセン。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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