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Mark Copland / Alone

Mark Copland  Alone

Mark Copland (p)

Rec. November 21, 2008, at Pirouet Studio, Munich
Engineer: Jason Seizer (Pirouet Records PIT3044)

余韻を生かした漂うようなソロピアノ集

 ひねりをきかせた同じコープランドのソロピアノ作品「Poetic Motion」 (2001) とは対照的に、のっけから極めて美しいストレートな演奏が続く。

「Poetic Motion」が儚いガラス細工の脆さを味わうようなセンシティブな作品だとすれば、本作はM-1からファンおなじみの楽曲が次々登場し、美しさを割にまっすぐ表現している。屈折した音作りの「Poetic Motion」より聴きやすい。(ただしどっちがいい悪いの問題ではない)

 オリジナル3曲のほか、ジョニ・ミッチェルの3曲 (「I Don't Know Where I Stand」、「Rainy Night House」、「Michael From Mountain」)、ウェイン・ショーターの「Fall」ほか計10曲。

 冒頭から美メロの楽曲が続くが、M-4まで来て初めてアルバム 「Hunted Heart」 (2002) で見せたような、得体の知れない不安を体現した妖しい世界観が提示される。

 コープランドは (彼にしては) オーソドックスに美しさをアピールするタイプの演奏と、それとは対照的に触れると壊れそうなナイーブで妖しい音使いの演奏を使い分ける。陰と陽だ。そのカテゴライズでいえば、本作の中ではM-4とM-6、M-7、M-8が後者、つまり 「不安」 系に当たる。

 M-1の 「Soul Eyes」 はアルバム「Hunted Heart」 (2002) でも取り上げられたマル・ウォルドロンの曲だ。またジョニの M-2 「I Don't Know Where I Stand」 は 「Some More Love Songs」 (2012) に収録されているし、M-3 「Night Whispers」 は2008年リリースの同名アルバムで、さらにM-5の「Rainy Night House」 は 「Some Love Songs」 (2005) でもクレジットされている。こんなふうに本盤はダブリが多い。

 その意味ではこのアルバムは、過去に一度演奏した曲をソロ演奏で見つめ直そう、という意味が込められているのかもしれない。

 もちろんコープランド・マニアとすれば演奏形態の違う同じ曲が聴けて楽しめるが、ひょっとしたらマニア以外の一般ピープルの中には 「曲がだぶって損だ」 と感じる人がいるかもしれない。とはいえ演奏内容は、そんなケチな話とはまったく関係ないすばらしさだ。

 何もない虚無の空間をひとりで背負ったコープランドが、何者にも邪魔されることなく自分の間合いで音の創造を繰り返す。

 コープランドに共演者なんていらない――。

 自己完結した彼の圧倒的なソロ演奏を聴くと、思わずそんな気にさせられる。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

John Swana / On Target

John Swana  On Target

John Swana (tp,flh)
Jesse Van Ruller (g)
John Patitucci (b)
Eric Harland (ds)

Rec. December 16, 2002, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Max Bolleman (Criss Cross 1241)

ジェシ・ヴァン・ルーラーのギターにしびれる

 ひとクセもふたクセもある個性派俳優たちが、たがいに持ち味をアピールしながら組んずほぐれつ大格闘をやらかす――。そんな印象の好アルバムだ。クリスクロスの顔ともいえるフィラデルフィア出身のトランペッター、ジョン・スワナが繰り出す8枚目のリーダー作である。

 オランダ人ギタリスト、ジェシ・ヴァン・ルーラーを迎えたピアノレスのワンホーン・カルテット。ベースは才人ジョン・パティトゥッチ、ドラムスは今やわが世の春を謳歌するエリック・ハーランドという豪華な布陣だ。主役のスワナは感情を抑えたクールなプレイぶりで、いかにも今どきのジャズという感じである。

 オリジナル7曲を含む合計9曲。朝焼けの中を漂うような乾いたトランペットで幕を開けるM-1では、浮遊したりウォーキングしたりと変幻自在なリズムに乗りスワナが跳梁する。抜き足差し足でじわじわ入ってくるルーラーのギターソロもミステリアスな魅力充分だ。全体にオーソドックスでブルージーな4ビート中心の楽曲構成により、メンバー各人の個性と技量が滲み出る仕掛けになっている。

 本アルバム最大の聴きどころのひとつは、大々的にフィーチャーされたジェシ・ヴァン・ルーラーだろう。1972年、オランダ・アムステルダム生まれ。95年にモンク・コンペで優勝したテクニシャンである。シャープで完璧なフィンガリングと陰影感のあるフレージングは、聴き手を完全にフリーズさせる魅力にあふれている。セクシーな音色漂う彼のギターは、1小節ごとに物語を紡ぎ出すように生き生きとモノローグを語り始める。

 かたやリズム隊に目を移すと、ハーランドのドラムがまるでメロディー楽器のように歌っている。ギターやトランペット・ソロのあとに彼のドラムソロが登場すると、まるでその一打一打にメロディーが乗り移っているかのような起伏に富み表情豊かだ。本当にあきれてしまうほどすばらしい。

 4ビートなるものはある意味単純なだけに、そこに乗っかる演者のキャラクターをかくも鮮やかに映し出す。そんな味わい深い4ビートの見本のような好盤だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Sam Yahel / From Sun To Sun

Sam Yahel  From Sun To Sun

Sam Yahel (p, org)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Rec. May 23-24, 2010, at Acoustic Recordings, NY
Engineer: Michael Brorby (Origin Records 82596)

メルドー・ライクな光速ピアノ・トリオ

 オルガニスト、サム・ヤエルがピアノ・トリオに挑む最新リーダー作。同じくピアノ・トリオ編成だった前作「Hometown」 (2009) に続く連作だ。今回はオルガンも弾きながらの二刀流な点が見もの。メルドー・ライクでリリカルなんだけど実はR&Bも通過してきました、みたいなピアノが楽しめる。

 メンバーはおなじみ、ベースにマット・ペンマン、ドラマーはヨッケン・リュッカートだ。(この2人、いったいアルバム何枚作ってるんだろ)。いうまでもなくドイツ人トロンボーン奏者、ニルス・ヴォグラム率いるグループ「ROOT 70」のリズム隊である。ペンマンは相変わらずゴツゴツしたノリで適度にハジけ、それをリュッカートがサラリと軽快に受け止めている。

 オリジナルが10曲、スタンダードなど3曲の合計13曲。跳ねるベースで始まるファンキーなM-1は、対照的にピアノが叙情的でギャップがおもしろい。ほかに光速の速弾きが炸裂するM-3、ブラッド・メルドーっぽく高貴で美しいM-4とM-8、M-9、M-11。シリアスでテンションの高いM-5、オルガンも聴けるファンキーなM-6、ホットに盛り上がるR&BっぽいM-10が耳に残った。

 ヤエルのピアノは音数が多く、速くたくさんの音符を詰め込もうとする。だが不思議とそれが耳障りにならない。若かりし頃、ライブ時に唯我独尊化したときのメルドーとはちょい、ちがう。

 それにしても世の若いピアニストはみんな、メルドーの影響受けてるんだなぁ、とあらためて思い知らされる一作だ。前作「Hometown」のような派手さはないが、聴き込むにつれ次第に本盤のほうがよくなってくる。そこはかとなくスルメ化の香り漂う作品である。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

David Sanchez / Cultural Survival

David Sanchez  Cultural Survival

David Sanchez (ts, per, vo)
Lage Lund (g)
Ben Street (b)
Hans Glawischnig (b)
Henry Cole (ds)
Adam Cruz (ds)
Pernell Saturnino (per)
Danilo Perez (p)
Robert Rodriguez (p, rhodes)

Rec. November 17-19, 2007, at Sear Sound, NY
Engineer: Don Murray (Concord Picante 7230562)

万華鏡的ラテンのリズムと緊張感がたまらない

「それ聴いてなかったんかい」シリーズの第○弾である。プエルトリコ出身で何度もグラミーにノミネートされてるテナー・マン、デヴィッド・サンチェスの Concord Picante 移籍第一弾だ。

 いや何度も試聴はしていたが、なんとなく手が伸びなかっただけ。しっかし、こーんな「ものすごくいい」とは思わなかった。とっとと買っとけ、って話だ。

 メンバーはご覧の通り。いかにも2000年代なジャズの先っぽ的豪華ミュージシャンが勢揃いだ。個人的にはギターのラーゲ・ルンドが全編テナーとユニゾンでテーマを弾いたり、ソロを取ったりしてるのがうれしい。ベースのベン・ストリートは相変わらず音の輪郭が見えないぼんやり太い音だが、ドラムスのアダム・クルーズとヘンリー・コールはいいわぁ、たまりまへんな。

 オリジナルが7曲と「Monk's Mood」の計8曲。個人的には、言われているほどカリビアンだ、アフリカンだ、アフロ・キューバンだ、ってこれ見よがしな感じはしない。今やこれらの音楽がすっかりジャズに融け込んでいるからだろうか。もちろん複雑なキメは多用されているし、基本的なビートはそれ系だったりするのだが。

 本盤のテイストをひとことでいえば、とにかくクール&シリアス。テンションが高く、ルンドのいい意味で凍りつきそうな無機質プレイがそれに輪をかけている。ピリピリする緊張感と高揚感が味わえる1枚である。ゲスト参加の2人のピアニスト、ダニーロ・ペレスとロバート・ロドリゲスもいい仕事をしている。

 リラックスするために聴く音ではないが、変幻自在のめくるめくリズムパターンと緊張感がいい。真夏の暑い夜がひんやり涼しくなりそうな逸品だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Steve Cardenas / Panoramic

Steve Cardenas  Panoramic

Steve Cardenas (g)
Tony Malaby (ts)
Larry Grenadier (b)
Kenny Wollesen (ds)

Rec. November 26-27, 2002, at Avatar Recording Studios, NYC
Engineer: Anthony Ruotolo (FSNT 171)

夏草の香りがするギタリスト

 子供の頃、暑い真夏に泥だらけになって草むらへ入ると「ムッ」と草の匂いがしたもんだ。そんな夏草の香りを漂わせるギタリストがスティーブ・カーディナスである。カンザス出身らしくちょっとカントリーちっくで土臭く、あるときはファンキー。パット・メセニーっぽいナチュラル系のトーンが心地いい。

 本盤はFSNT通算2枚目のリーダー作だ。メンバーはテナーに鬼のトニー・マラビー 、ベースがラリー・グレナディアとくればメンツ買いはもはや確定。で、ケニー・ウォールセンってドラマーはだれ? と思ったら……聴いてびっくり。むっちゃ気に入ったわぁ、この太鼓の人 (頭はハゲてるけど)。 Bill Frisell とか John Zorn なんかとやってる人らしい。本職はパーカッショニストのようだが、バスドラがジョーイ・バロンみたいに「ドカン!」と来るタイプです。

 さて主役のカーディナスは若手の登竜門、Paul Motian & The Electric Bebop Band (もしくはPaul Motian Band )でカート・ローゼンウィンケルやらベン・モンダーがツインギターの相方だった。

 で、いまいちブレイクし切らない感のあるカーディナスだが、どっこい自作品を聴けば相応以上のものは作っている。ブルージーでファンキーなキラー・チューンM-1でつかみはオッケー。あとは一気にカーディナス・ワールドへ引きずり込む。

 オリジナルが7曲にチャーリー・パーカー 「Visa」、モンク 「Introspection」 の合計9曲。ギターの音色だけでなく曲作りにもメセニーの影響が見える。マーク・ジョンソンの「The Sound Of Summer Running」やメセニー「TRIO 99→00」の雰囲気がちらほらします。

 テンションの高い4ビートのM-2や、トニー・マラビーの泣きのテナー(笑)が炸裂するバラードM-3 (マラビーを受けたカーディナスのギターソロがまたいいわぁ)、そこはかとなくメセニー臭が漂うM-4、無機的でモノトーンなバラードM-6、跳ねるノリがおもしろい4ビートのM-7、「ここまでやるかぁ?」とばかりにメセニー劇似の美メロなM-8、サンバ調のM-9が気に入った。

 このところすっかりヘビー・ローテーション化している1枚。すでに最新リーダー作「West of Middle」 (2009年)の予約も確定しております。この音を聴き、「もう夏だなぁ」てな四季の感慨にふけるのもまたオツかと。

 しかしトニー・マラビーって……こんな「ふつうのサックス」も吹けるのね。(当たり前か)

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Geraldine Laurent / Around Gigi

Geraldine Laurent  Around Gigi

Geraldine Laurent (as)
Pierre de Bethmann (p)
Yoni Zalnik (b)
Franck Agulhon (ds)

Rec. January 19-21, 2010, at Studio Ferber, Paris
Engineer: Rene Ameline (FDM 46050 369562)

サックス・カルテットで 「ワンユニットの悦楽」 に浸る

 ブラインドで聴けば、この攻撃的なアルトが「女性だ」と見破れる人間は1人もいないだろう。よく弾むリズム隊に、バッキングが上手いピアノを擁するサックス・カルテット。メンバーの粒が揃い、共通のゴールに向かい全員でぐいぐいグルーヴして行く「ワンユニットの悦楽」に満ちたアルバムである。

 主役のフランス人アルト奏者ジェラルディン・ローランは、アルド・ロマーノのグループにフィーチャーされて場を得た才媛だ。本盤は4年ぶりの作品になる。彼女の音色はアメリカ人プレーヤーのようにカラッと乾いた味でなく、しっとりした艶と潤いの漂うヨーロッパらしい音だ。

 オリジナルが5曲、デューク・エリントンの「Black and Tan Fantasy」、ジジ・クライスの名バラード「Nica's Tempo」ほかジジによる2曲、アート・ファーマー曲、モンク曲の計12曲。往年の名曲はもちろん、オリジナルもよくコンポジションが飽きさせない。

 のっけからワンコードっぽく突っ走るM-1に、能天気に浮遊するM-2、シリアスでかっこいいM-3、落ち着いた雰囲気のM-5、ベースのリフレインがスリリングなM-6、疾走感のある4ビートのM-8、明るいユーモアを感じさせるM-10、M-12が印象に残った。

 本アルバムはネット検索してもほとんど情報がない。だが、ぶっちゃけ、ものすごくいい。リズム隊がよく跳ねるところがたまらない。特にこのベースは好みだ。効果的なサポートを入れるピアノのピエール・ド・ベスマンも、ソロを取ればキラリと光るフレーズを見舞う。

 互いにやり慣れたメンバーなのか、バンドとしてよくまとまっており、ひとりひとりの均整が取れている。スター・プレーヤー+「その他大勢」的なお茶の濁し方でなく、メンバー全員が対等にインタープレイしていて息詰まる熱気がある。今後、この人のアルバムはすべて買うことに決定した。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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