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Mark Copland / Poetic Motion

Mark Copland  Poetic Motion

Marc Copland (piano)

Rec. October 24-25, 2001, at Studio La Buissonne, Pernes les Fontaines
Engineer: Gerard de Haro (Sketch SKE 333020)

ささくれ立った人間の不安を音にしたような

 ポップさを排除した芸術性の高いソロピアノ作品だ。ささくれ立った人間の不安を音にしたようなアルバムである。同じコープランドのソロピアノでも、美しさを前面に出した 「Alone」 (2009) や 「Time Within Time」 (2005) とはかなり雰囲気がちがう。

 あの傑作 「Hunted Heart」 (2002) の妖しさたっぷり (録音も同じ2001年)。冒頭から独特の危ない音使いが連続する。ぶっちゃけ暗いがただの陰鬱に陥らず、人間のダークなイマジネーションを掻き立てるような哲学作品として成立している。

 コープランドは 「何もない空間」 をたっぷり背負って演奏するほどによさが出る。おいしいです。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Steve Cardenas / West of Middle

Steve Cardenas  West of Middle

Steve Cardenas (g)
Ben Allison (b)
Rudy Royston (ds)

Rec. January 17-18, 2009, at Maggie's Farm, PA
Engineer: Matt Balitsaris (Sunnyside SSC1248)

カーディナスの向こうに地平線が見える

 パット・メセニーの後を追う中堅ギタリストのスティーブ・カーディナスが、ブルース・ファンク的な一面をのぞかせた最新アルバムだ。FSNTからリリースしたセカンドリーダー作 「Panoramic 」 (2003) に続く3枚目の作品に当たる。

 この盤、リズム隊がとにかく超強力だ。ゆえにトリオ編成であるも単調にならず、聴き手を飽きさせない。アレンジ面などのディテールはいい意味でまぁー、ラフそのもの。そのためスタジオで一発録りしたような即興性とワイルドな魅力にあふれている。

 カーディナスには、なんだかスワンプ・ロックあたりと遠くつながっていそうな泥臭さを感じる。 「パット・メセニーの後を追う」 なんて冒頭で書いておきながらアレだけど、こんな土臭くスワンピーな感じはメセニーにはない。なんか聴いてると地平線が見えてくるんだよねぇ、カーディナスの向こう側に。

 ではメンバー紹介と行こう。まずベーシストは、ニューヨークのカッティングエッジな先端系プレーヤー、ベン・アリソンが務める。1966年コネチカット生まれ。1996年にリリースした 「Seven Arrows」 以来、すでに10枚のアルバムを手がけている才人だ。

 彼はプレイだけでなく、作曲の才能もトンガっており評価も高い。ボストン・グローブ紙には 「最も優れた若手ミュージシャンの1人」 と評され、ダウンビート誌では2005-2007年に “Rising Star Bassist” の1位に選ばれている。ちなみに本盤ではえらくファンキーなプレイぶりだ。

 かたやドラマーは最近のお気に入り、サックス奏者J.D.アレンのレギュラートリオでも気を吐くルディ・ロイストンである。タイトでノリのいいドラミングが売りの敏腕ドラマーだ。めっちゃ好きです。最近のサイド参加作としてはラルフ・ボウエンの最新アルバム 「Total Eclipse」 (2012) や、ジョシュ・ギンズバーグ 「Zembla Variation」 (2012) 、ビル・フリゼール 「Beautiful Dreamers」 (2011)などでの客演が光っていた。 (3枚とも最高です)

 主役のカーディナスを含めたこの3人、実はベン・アリソンのパーマネント・バンド“The Ben Allison Band”のメンツであり、アリソンの最新リーダー作 「Action-Refraction 」 (2011) でもしっかり共演している。このアルバムもすごくいい。

 さて本盤はオリジナル8曲とキース・ジャレット作 「Blue Streak」 の合計9曲。冒頭を飾るM-1では、いきなりアリソンが4弦開放を使ってミュートをバシバシ決めまくり超ファンキーでかっこいい。M-2はフリーっぽくノン・リズムになるが、真性フリージャズよろしく暗く湿っぽくはない。陽気なハジけ方が楽しめる曲だ。

 かたやイントロから 「おっ、メセニー節だな」 と思わせるM-3はとても美しい。カーディナスらしく大地に抱かれるような土の匂いがぷんぷんする。またブルース・ファンクっぽいM-4は、ワンコードでひたすら押しまくるワイルドな音作り。メセニーっぽく美メロをリピートするM-5では、おいしいギターソロをたんまり聴けてゴキゲンである。

 一転してバラードのM-7は、コードワークを多用し荘厳な雰囲気を演出している。曲のヤマを作り、起伏をつけて静と動を対比させるコンポジションがいい。

 フリーっぽい腹の探り合いがスリリングなM-8は、メンバー各人の即興性で聴かせるおもしろい曲だ。最後にまたもメセニーの香り漂うドラマティックなM-9は、M-1やM-3とならび秀逸なメロディーが光るアルバムの顔だろう。短いながらベースソロも聴けて楽しめる。

 まとめよう。

 カーディナスのギターはちょっとパット・メセニーを思わせるが、メセニーより音色に潤いがあり、リズムにルーズな遊びがある。そこがいい。

 作曲姿勢や音色、フレーズ感は確かにメセニー似だが、メセニーのように超絶的なフィンガリングの正確さや速さをウリにするタイプとはまるで対照的だ。わかりやすくいえばカーディナスにはヘタウマ的なおいしさがあり、運指やため方がルーズでラフなところがいい。そこで味を出す種類のギタリストである。

 おまけにかなり中毒性が高く、この微妙なヘタウマ加減にいったんハマるとこればっかり聴いていたくなって困る。いまやカーディナス盤のステレオ占有率がえらく高まり、日常生活にも支障をきたすほどだ。うれしい悲鳴である。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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