David Binney / Graylen Epicenter
|Posted:2012/12/28 10:34|Category : デヴィッド・ビニー|
David Binney (as, ss, vo)
Gretchen Parlato (vo)
Ambrose Akinmusire (tp)
Chris Potter (ts)
Wayne Krantz (g)
Craig Taborn (p)
Eivind Opsvik (b)
Brian Blade (ds)
Dan Weiss (ds)
Kenny Wollesen (per, vib)
Rogerio Boccato (per)
Nina Geiger (vo)
Released. 2011, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Mike Marciano (Mythology Records MR0008)
キラ星のようなメンバーが眩しいビニーの力作
アルト奏者、デヴィッド・ビニーが (おそらく) 自分のやりたいことをやった上で勝負した作品としては最高ランクに位置するのではないか? あのクリスクロス・デビューを飾ったアルバム 「Bastion of Sanity」 (レヴュー記事はこちら) がセールスを考えた上での 「狙った傑作」 だとすれば、本作は彼が真っ向勝負してできた傑作といえるだろう。
ヴォーカルあり、白熱の掛け合いあり、10分を超す長大な楽曲あり。アレンジも凝りまくりでバラエティに富む。7分以上もあるM-9のように盛り上がりながら難解モードに突入しても、途中で曲調をガラリと変え、聴き手を飽きさせない工夫をしている。翳りを帯びたメロディとちょっとシュールな雰囲気はいつも通りだが、「今回は引き出しを全部あけました」という総まくり感が賑々しい。
全10曲すべてオリジナル。クリス・ポッター (ts) 以下、多彩な参加メンバーがそれぞれよさを発揮している。ウェイン・クランツ (g) はM-2で、空間を感じさせるスペイシーなギターソロを弾く。M-3ではビニーとクレイグ・テイボーン (p) が渾身のバトルを繰り広げ、かたやM-8ではグレッチェン・パーラトが相変わらずのワン・アンド・オンリーな痺れるヴォーカルを聴かせている。
圧巻は2人のドラマー、ダン・ワイスとブライアン・ブレイドによるM-1とM-9のツイン・ドラムスである。M-1は壮大なスケール感で、M-9は楽曲冒頭の掛け合いの妙味がとても効果的だ。
ワイスに刺激されたのか、ブレイドのドラミングがすごくいい。M-3のバスドラを踏むタイミングやリズムパターンもおもしろい。ひさしぶりにブレイドのすごさを聴かせてもらった感じだ。
レコーディング・エンジニアは、名手マイク・マルシアーノ。だが惜しいかな、音が中高域に偏り低域が弱いため、アイヴィン・オプスヴィークが弾くベースに量感が足りない。また曲によってはドラムも遠い。
例えばM-5とM-6ではドラムの音量がけっこう違う。そのため 「アルトはすごく手前で聴こえるが、ドラムははるか後方で鳴っている」 みたいな現象が起こる。まあそれだけ「奥行き感がある」ともいえるが、低域の量感不足を除けば解像感もあり音質はいいだけにもったいない感じがした。
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