Dave Douglas Quintet / Time Travel

1

Dave Douglas (tp)
Jon Irabagon (ts)
Matt Mitchell (p)
Linda Oh (b)
Rudy Royston (ds)

Rec. April 15-16, 2012, at Avatar Studios, NY
Engineer: Joe Ferla (Greenleaf Music)

ミステリアスな先鋭性と能天気さが同居する不思議ワールド

 余韻を感じさせるミステリアスな先鋭性と、4ビートで快活にぐいぐい前へ出るノリのよさとをうまく散りばめた良盤だ。トランペット奏者、デイヴ・ダグラスの最新作である。

 メンバーは、ジャズ界の妖怪・ジョン・イラバゴン(ts)と、マット・ミッチェル(p)、リズム隊には女性ベーシストのリンダ・オーとルディ・ロイストン(ds)を配した。

 全7曲オリジナルだが、コンポジションが個性的だ。M-5やM-7など、ベースのスペーシーなリフをうまく使ったミステリアスな曲が目立つ。M-3は2管が五月雨式にふわふわ宙を泳ぎ、ちょっと妖しく不思議な感じ。M-2はトンガった危ない雰囲気でとても好みだ。

 反対に、おどけたような陽気さのM-1や親しみやすい4ビートのM-4、畳みかけるようなM-6はバンドのノリのよさが目いっぱい爆発していて楽しい。

 デイヴ・ダグラスのリーダー作だが、彼ひとり前に出るのでなく、楽曲のよさとアンサンプルでうまく聴かせている。そのため速射砲テナーで知られるイラバゴンはいつもとくらべ抑え気味だ。だがそれでも充分、持ち前の妖気を漂わせている。またリンダ・オーのベースは線の太さはないが繊細でマジカル。ドラマーのロイストンはスネアが相変わらず「コリッ」とした質感で非常に好みだ。

 本作は最初に聴いたときには「?」な感じだったが、2度めで「おおっ?」に変わり、やがて何度も聴くうちグイグイよくなった。ひさしぶりに出会えた優良スルメ盤である。
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Michael Rodriguez / Reverence

1

Michael Rodriguez (tp, flh)
Chris Cheek (ts)
Gerald Clayton (p)
Kiyoshi Kitagawa (b)
Rodney Green (ds)

Rec. October 11, 2012, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1356)

ダークで物憂い現代ハードバップの悦楽

 60年代マイルス風のモーダルな演奏あり、浮遊感のある4ビートあり。アルバム全体が気だるいムードに覆われ、ダークで物憂い雰囲気を味わえる。トランペッターのマイケル・ロドリゲスが発表したばかりのニューアルバムだ。

 個人的には、お気に入りのジェレミー・ペルト(tp)がここ数年続けていた60年代マイルス路線をやめてしまって残念なさなか、入れ替わりですばらしいプレゼントをもらえた気分だ。

 今年33才になるロドリゲスだが、本作はCriss Crossデビューを飾る1作目になる。メンバーも豪華だ。テナーには、2000年代のコンテンポラリー・ジャズを切り開いた観のあるクリス・チーク。ピアノは当ブログいち押しの若手の天才、ジェラルド・クレイトン。リズム隊は、北川潔(b)とロドニー・グリーン(ds)が務める。

 オリジナル4曲、その他3曲の全7曲。4ビートをベースに、ロドリゲスの「徹夜明けの夜明け」を連想させる物憂いプレイを中心にした新世代ハードバップが続く。いやはや、気持ちがいい。

 ロドニー・グリーンのドラミングは個人的には好みじゃないのだが、4ビート中心の構成であるため嫌な面が目立たない。チークやクレイトンには本来もっと先端的でトンがったプレイを期待しているが、まあ本作はスタンダードな4ビート作品なので「これはこれ」だろう。

 レコーディング・エンジニアは、名手マイケル・マルシアーノだ。音質はアルバム全体にハッキリした解像感があり、音の見通しがすごくいい。

 ただし高域に音の芯がなく、シンバル音が薄っぺらで嫌にシャリつく。一方の低域は量感がなくスッ軽い。全体の帯域バランスが不自然なほど高域寄りだ。バスドラは聴こえないような音圧レベルだし、特にベースの音には太さがなく厚みがペラペラ。このところお決まりになっている、マルシアーノの残念な失敗パターンだ。演奏はすごくいいのに、もったいないなぁ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

The Stephen Anderson Trio / Believe

1

Joel Frahm (ts)
Stephen Anderson (p)
Jeffry Eckels (b)
Ross Pederson (ds)

Rec. June 2012, at Sound Pure Studios, NC
Engineer: Chris Boerner (Summit Records DCD 604)

ブンブン弾けまくるファンキー・ダイナマイト

 のっけからえらくファンキーで切れるプレイをぶちかます。山あり谷ありのドラマティックな楽曲展開と躍動感あふれる演奏が熱い。ステファン・アンダーソン(p)率いるピアノトリオが発表したばかりの新譜だ。今回はスペシャルゲストとしてジョエル・フラム(ts)が参加し、ワンホーン・カルテットでお目見えしている。

 このトリオはSummit Recordsから「Forget Not」(2008)、「Nation Degeneration」(2010)の2枚のアルバムを発表しており、本作は第三弾に当たる。

 全8曲だが、サド・ジョーンズ作の1曲を除き7曲がアンダーソンのオリジナルだ。ファンク調あり、熱血R&B調あり、と黒っぽい音楽にインスパイアされたブルージーな現代ジャズが続く。終始ブンブンど派手に爆発する元気のいいバンドだ。粘っこくノリのいいジャズが好みの人にはおすすめだろう。

 ピアノトリオだというのに、ピアノを主役にした美しく叙情的なバラードなんてM-6くらい。あとはもうひたすらドンパチ弾けまくる。

 特にベーシストのJeffry Eckelsがファンキーで、R&B的な盛り上げ方をよく知っている。逆にリーダーであるアンダーソンのピアノが目立たないくらいだ。テナー入りの楽曲もバランスが崩れず、バンドのコンセプト通りのホットな演奏が展開される。

 枯れたおじさんとしてはもうちょい抑えてほしいくらいだが、落ち込んでいるときに元気をくれそうな1枚だ。精力増進剤として、おひとついかが?

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Stan Killian / Evoke

1

Stan Killian (ts)
Mike Moreno (g)
Benito Gonzalez (p)
Corcoran Holt (b)
McClenty Hunter (ds)

Rec. September 13-14, 2012, at Peter Karl Studios, NY
Engineer: Michael Perez-cisneros (Sunnyside Records SSC 4012)

大らかなテキサス・テナーにほんのり浸る

 NYをベースに活動するテナー奏者、スタン・キリアンがリリースしたばかりのニューアルバムだ。彼は2~3月に新作リリース・ツアーで来日しており、拙ブログをお読みの方でライヴを見た人もいるんじゃないだろうか。

 彼はニューヨーカーだがブルックリン的な先鋭性はなく、むしろ大らかな歌心を現代的なアレンジで聴かせる感じだ。妖刀を振りかざすマイク・モレノのギターがうまくアクセントになり、独特のコンテンポラリー・ジャズに仕上がっている。

 スタンは16才でプロになり、2011年にSunnysideから初リーダー作「Unified」を発表した。ロイ・ハーグローヴやジェレミー・ペルト、デヴィッド・ビニーらが参加する豪華な布陣だ。本作はそれに続く2作目に当たる。

 テキサス出身の彼のプレイはどこかのんびりのほほんとしている。ピリピリ高いテンションを客に突きつけリスナーに緊張を強いることもなく、よく言えばゆったりリラックスして聴ける。逆に悪く言えばソロの技量は十人並み、刺激的な要素もなく、ジャズにスリルを求める人には物足りないかもしれない。

 全7曲オリジナルだが、NYの若手ミュージシャンによくあるトンガリ感や前衛性はない。オーソドックスな4ビートを凝ったキメなどアレンジで聴かせたり、流行に走ることなく地道に自分の世界を作っている感じだ。ぶっちゃけピンで「俺が俺が」と勝負するタイプじゃないし、おそらく本人も自覚しており招いたソリストを前面に立てたりしている。

 彼の出す料理は素朴だが、そのぶんマイク・モレノがブラックペッパーをふりかけるように光るエッセンスをもたらしている。楽曲はひと昔前の古色蒼然としたフュージョン的な部分が見えたりもするが、全体を覆うモレノのギターがアルバムカラーをぐいぐい 「今」 へと引き戻している。逆に言えばモレノがいなければ本作は成立しなかっただろう。次回作に期待したい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

お待たせ、クリス・ポッターの最新映像!



静から動へ、クリポタの盛り上げがニクい

 キューバ出身の若手ピアニスト、ダヴィ・ヴィレージェスを使っており 「おっ、ついに来たか、彼!」 と。

 リズム隊がジェラルド・クリーヴァーとジョー・マーティンなぶん、対応能力が高く融通がきく感じだ。

-------------------
Chris Potter (ts)
David Virelles (p)
Joe Martin (b)
Gerald Cleaver (ds)

Live at Blue Note Milan 07.03.2012

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

モントルー'76 のStuffライヴ、これ熱いわぁ



コーネル・デュプリーのグルーヴィーなバッキングがいい

 昔さんざん聴いたけど、いま聴いてもやっぱり熱くなる逸品。コーネル・デュプリーのバッキングが実にグルーヴィーです。

 あらためて聴くと、バンドの中でスティーヴ・ガッドのリズムがいちばん不安定なのは内緒だ。

※Stuff Live at Montreux 1976

 Eric Gale (g)
 Cornell Dupree (g)
 Richard Tee (key)
 Gordon Edwards (b)
 Steve Gadd (ds)

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR