Jason Palmer / SongBook

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Jason Palmer (tp)
Greg Osby (as)
Ravi Coltrane (ts)
Warren Wolf (vib)
Leo Genovese (p, kb)
Matt Brewer (b)
Tommy Crane (ds)

Rec. October 28-29 2006, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Joe Marciano (Ayva Music AYVA037)

脱力系トランペッターの肖像

 つい先日、5枚目のリーダー作「Places」を発表したばかりのトランペット奏者、ジェイソン・パーマーのデビュー作である。真っ向から力で勝負するのでなく、ひねりを利かせた旨みで聴かせる。2000年頃のクリス・チークやマーク・ターナー的な浮遊感があちこちに見える味わい深いアルバムだ。

 パーマーはバリバリ全開で吹きまくるタイプではない。適度に「抜き」ながら、でもそこに宿る独特の雰囲気がたまらない、というタイプのトランペッターだ。「エネルギー感こそ命だ」みたいな古いタイプの吹き手ではなく、いかにも新世代のプレーヤーである。そこが聴き手を選ぶポイントかもしれない(私は思い切り好みです)。

 メンバーは師匠格のグレッグ・オズビー(as)に加えラヴィ・コルトレーン(ts)、ウォーレン・ウルフ(vib)、レオ・ジェノヴェーゼ(p, kb)。リズム隊は、パーマーがオズビーのクインテットへ加入したとき知り合ったというマット・ブリューワー(b)とトミー・クレーン(ds)だ。

 全9曲オリジナル。途中ファンキーなペースから一気に全員がなだれ込むM-1、浮遊感の漂うM-2、サンバ調のM-3、のっけから4ビートでノリよく走るM-4、ミステリアスな浮遊感でいっぱいのM-5、踊るようなリズムでこっけいなテーマが展開するM-8あたりが耳に残った。

 デビュー作で全曲オリジナル勝負、これだけ引き出しの多さを見せつけられると思わずフォローしたくなる。ご多分にもれず、過去のリーダー作を全部まとめ買いしてしまいましたとさ。

 パーマーは1979年生まれ。2005年にグレッグ・オズビーのグループに参加、その翌年にレコーディングした本作ではオズビー人脈が見て取れる。2009年にはカーマイン・カルーソー・インターナショナル・ジャズ・トランペット・ソロ・コンペティションの最優秀賞に輝いた。本作以降も「Nothing To Hide」(2010)、「Here Today」(2011)、「Take A Little Trip」(2012)、「Places」(2014)とコンスタントにリーダー作を出している。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

David Gilmore / Ritualism

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David Gilmore (el-g,ac-g)
George Colligan (p, key)
Brad Jones (b)
Rodney Holmes (ds)

Ralph Alessi (tp on 6)
David Binney (as on 2, 6, 9)
Ravi Coltrane (ts, ss on 1, 6, 8-9)
Bruce Cox (ds on 1-2, 6, 8)
Daniel Moreno (Per on 8, 10)
Sharrif Simmons (Spoken Word on 10)
Imani Uzuri (vo on 5)

Rec. April 16, 18 2000 at Current Sounds Studios, NY
Engineer: Bob Ward (kashka Music KAS001-00)

M-BASE系ファンク・ギターが炸裂する

 変拍子をバシバシ決めまくるファンクな現代ジャズ。バークリー音大でも教鞭を取るM-BASE系ギタリスト、デヴィッド・ギルモアの記念すべき1stアルバムだ。

 変拍子といってもギクシャクした感じでなく、自然に乗れるノリで楽しめる。ダークでかっこいいメロディーと畳みかけるようなテンポの楽曲が続き、アッというまにアルバムを通して聴けてしまう。何度聴いても飽きがこないスルメ盤だ。

 構成はオリジナル8曲を含む全11曲。ゲスト・ミュージシャンを含めれば総勢11人の大所帯だが、楽曲そのものはとっちらかった様子もなくタイトにまとまっている。個人的には歌物が出てくるとげっそりするタチなのだが、M-5で聴かせる妖しい女性ヴォーカルやM-4のスポークン・ワードなんぞもまったく違和感がない。むしろアルバムカラーにすっぽりハマってる感じだ。

 ギルモアのギターは今ほど太い音でなく、起用にアコギもあやつる多才ぶりを見せつけている。最近出たドナルド・エドワーズの「Evolution Of An Influenced Mind」(2014)で彼のギターを初聴きし、あまりのワイルドさにびっくり仰天、たちまちファンになり入手した1枚だ。

 ギルモアは1964年マサチューセッツ生まれ。スティーブ・コールマンやカサンドラ・ウィルソン、ウェイン・ショーターらとセッションを重ねてきた。デビュー盤の本作以降、「Unified Presence」(2006)、「Numerology - Live at Jazz Standard」(2012)の全3作をリリースしている。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

David Weiss / When Words Fail

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David Weiss (tp)
Myron Walden (as)
Marcus Strickland (ts)
Xavier Davis (p)
Dwayne Burno (b)
E.J. Strickland (ds)
Ben Eunson (g on 3, 8)

Rec. December 6-7, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Joe Marciano (Motema Music MTM144)

ダークでスタイリッシュな男の美学

 David Weiss & Point of Departure名義の作品群を聴いて気に入って以来、ずっと注目しているトランペット奏者、デヴィッド・ワイスの新作が登場した。今度は完全な個人名義だ。結論から先にいえば、本盤は彼の最高傑作だろう。

 タバコの煙が香るダークな雰囲気がちょっと60年代マイルスを思わせる。ジェレミー・ペルトがそっち路線をやめてしまったのでずいぶんがっかりしていたが、ワイスが続けてくれるならありがたい。

 マイロン・ウォルデン(as)、マーカス・ストリックランド(ts)との3管がテーマを物憂くスタイリッシュに決める。M-3とM-8でギターを聴かせるBen Eunsonもいいアクセントになっている。ピアノレスだったPoint of Departureはギターがキイになっていたので、これもうれしい限りだ。

 管のアレンジはウェイン・ショーター集だった前作「Endangered Species」(2013年)を思わせるが、基本的には初期Point of Departure時代の延長線上にある音を発展させた感じだ。譜面に書かれた演奏とアドリブとの比率が按配よく、聴き応えがある。

 前作は複数の管によるビッグバンド仕立てのアレンジが(私には)うるさく感じられたが、本作はちょうどいい。古き良きジャズへ退行しそうな雲行きだった前作とくらべ、本盤はずっとモーダルで現代的。明らかにこっちのほうが好みだ。ホッとひと息、安心した。この路線で次回作も期待したい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Rodney Green Quartet / Live at Smalls

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Rodney Green (ds)
Seamus Blake (ts)
Luis Perdomo (p)
Joe Sanders (b)

Rec. October 16, 2012, at Smalls, NY
Engineer: Christian Kauffman (Off Minor OFM-042)

ロドニーは大魚をモノにした

 ここ数年、重要なレコーディング・セッションにたびたび顔を出している個性派ドラマー、ロドニー・グリーンの初リーダー作だ。結論からいえば、今まで聴いた彼の参加作の中でも最上級の部類に入る。ジャズのおいしいところが存分に堪能できるライヴ盤だ。

 メンバーは、シェイマス・ブレイク(ts)以外は全員、ジョー・サンダース(b)の1stリーダー作 「Introducing Joe Sanders」 (2012)とまったく同じ顔ぶれ。たぶん気心の知れたメンバーなのだろう。

 構成はグリーンのオリジナル4曲を含む全7曲。アルバム冒頭、本作にも参加しているルイス・ペルドモ(p)のリーダー作 「Links」 (2013)でも1曲目に演っていたグリーンのオリジナル「Percy's Delight」で幕が開く。名曲だ。グリーンはドラマーながら作曲のセンスもよく、M-1はもちろんM-2、M-4のテーマもよく耳に残る。なかなかのメロディ・メイカーである。

 参加メンバーに目を移すと、なんといってもペルドモのピアノがすごくいい。特にM-2、M-3、M-5での物憂いフレージング、また逆にM-4、M-7のエネルギッシュなプレイも印象に残った。出来不出来の波があるブレイクも本作では非常にいい。脱力したように 「抜いた」 力まない演奏が味わい深い。

 ライヴだからスタジオ盤とは少し事情が違うが 「他人のリーダー作だから」 などと、ヘンに遠慮したようなところが各人にまったくない。メンバー全員が伸び伸びと持ち味を出し切っている。主役のグリーンもタメ気味のタイム感がなんともいえず、絶対に買う価値のある1枚だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Donald Edwards / Evolution Of An Influenced Mind

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Donald Edwards (ds)
Walter Smith III (ts)
David Gilmore (g)
Orrin Evans (p)
Eric Revis (b)

Rec. October 28, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1365)

要所で光るキメ、アレンジが飽きさせない

 このところクリスクロス作品でよく見かけるドラマー、ドナルド・エドワーズが同レーベル第1弾になるリーダー作を発表した。クリスクロスが今回同時リリースした4作品の中ではダントツの出来だ。

 メンバーはウォルター・スミスⅢ(ts)とデヴィッド・ギルモア(g, ピンク・フロイドのギタリストとは別人)、オリン・エヴァンス(p)。エドワーズとコンビを組むベーシストは売れっ子のエリック・レヴィスだ。

 ドラマーのリーダー作ってつまらないのが多いのでおっかなびっくりで買ったが、さにあらず。全11曲中、なんと10曲がエドワーズ自身による作曲と才能を見せつける。要所でアレンジがよく効いており、テナーとギター、またはベースがときおり放つキメのフレーズがめちゃかっこいい。

 ふっ、とペースだけが1人残ってリフを弾いたり、どこからがテーマでどこまでがキメなのかよくわからなくなるテナーとギターのユニゾンによる絡みなど、ソロプレイを楽しむというより巧妙な組織プレイに耳が引きつけられた。全体の印象としては、地下室のようにダークな色彩感が参加ギタリスト、ギルモアのリーダー作に近い気がした。(リズムパターンは除く)

 そんな中、アルバムの顔になっているのがギルモアのギターだ。ぶっとい音で空間を切り裂くように吠えるワイルドなプレイはインパクトがある。彼のギターは本作で初聴きだが、ずっぽりツボにきたので過去の全リーダー作を速攻でまとめ買いしてしまった(すでに毎日聴いてます)。

 関係ないけどウォルター・スミスⅢは最近リーダー作を出さないが大丈夫なんだろうか。ちょっと心配だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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