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Rudy Royston / 303

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Rudy Royston (ds, per)
Jon Irabagon (sax)
Nadja Noordhuis (tp)
Nir Felder (g)
Sam Harris (p)
Mimi Jones (b on 1,3,5,7,11)
Yasushi Nakamura (b)

Recorded: April 2013, at The Samurai Hotel Recording Studio, NY
Engineer: David Stoller (Greenleaf Music 1035)

待望の初リーダー作だが楽曲のデキが残念賞である

 数々のレコーディングで躍動的なキレのあるプレイを聴かせる敏腕ドラマー、ルディ・ロイストンの初リーダー作がついに登場した。全11曲中9曲がオリジナル。レディオヘッドの曲まである。妖刀ニア・フェルダー(g)、暴れ馬ジョン・イラバゴン(sax)らクセ者をフィーチャーした注目作である。

 だが個人的には (ドラミングを) すごく評価しているロイストンではあるが、アルバムそのものは楽曲が平凡で退屈な印象だ。ロックっぽいコンテンポラリー・ジャズをやりたいのはわかるが、ロックを聴くならもっといいバンドが世の中には山ほどあるのだ。まず土俵の設定自体で墓穴を掘っている観がある。

 またコード進行をテキトーに決め、アレンジもそこそこに 「はい、あとはメンバー個々のインプロで聴かせましょうね」 てな曲作りも散見される。かと思えば最終曲のM-11では「曲中曲」――曲の中に別の曲(M-1)を挿入する――なんていうコケおどしを使っている。いや、「アルバムの幕開け(M-1)と幕引き(M-11)が対になってるんだよ」みたいな作者の意図はわかるが、そんな小手先のギミックに頼るくらいならもっと「本筋」に当たる中身がほしい。

 特にM-1やM-7などは (ニア・フェルダーのバッキングだけはものすごくいいが) リズム隊が曲の頭からお尻までまったく同じパターンを繰り返すだけ。これをミニマル系というならコンテンポラリー・ジャズの一形態としてアリかもしれないが私は買わない。

 静かなだけで寝てしまいそうになるM-9、M-11はもうひと工夫ほしいし、各人のインプロがただ続くだけで山や谷のない平板なM-10もしんどい。聴きごたえがあるのはリズムパターンが面白くフェルダーのいいギターソロが聴けるM-2、メロディーがよく終盤にかけノイジーに盛り上がるM-5、あとはM-8のピアノソロくらい。単品で曲を買うネット音楽配信なら、購入したくなる楽曲がほとんどない。ソロやメロディーなど「断片」は一部よくても、楽曲トータルとして食い足りない。

 結論的には、本人の才能やセンスがわかるオリジナル楽曲の良し悪しを最重視する私としては乗れない作品だった。ただしロイストン自身のドラミングやニア・フェルダーのバッキング(特にM-1、M-7)とギターソロ、イラバゴンの暴れぶりは理屈抜きに楽しめる。個々人のプレイさえよければ楽曲のデキはそこそこでいい、という人にはそれなりに聴けるだろう。

 コンポーザー志向じゃないプレイヤーがリーダー作を出す場合、オリジナル比率を抑えるという方法もある。ロイストンはプレイ自体はすばらしいのだから、その路線でアルバム制作するのもテかもしれない。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Bryn Roberts / Fables

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Bryn Roberts (p)
Seamus Blake (ts, ss)
Orlando LeFleming (b)
Johnathan Blake (ds)

Recorded: December 12, 2012, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Max Ross (Nineteen Eight Records 1030)

貴公子然とした華やぎ、ピンと張り詰めた緊張感

 カナダ出身でニューヨークを拠点に活動するピアニスト、ブリン・ロバーツの3枚目に当たる最新リーダー作だ。2005年にはFSNTからセカンド盤「Ludlow」もリリースしている。本人のハンサムなルックス通り、どこか貴公子然としたアルバムである。

 ジャケットを見るとウィル・ヴィンソンやラーゲ・ルンドへの謝辞があるが、なるほどジャズを大きく2つに分ければ彼らと同じカテゴリーに属する。

 肌触りがひんやり冷たい寒色系の演奏で、ツンと澄ましたところがある。きれいなメロディの曲が多いが決して甘ったるくならず、ピンと張り詰めた緊張感があるのが特徴だ。前作「Ludlow」の路線をほぼ踏襲した作りだが、前作とくらべればクールさがやや薄らぎ聴きやすい作品になっている。

 サポートメンバーは、シェイマス・ブレイク(ts, ss)にオルランド・レ・フレミング(b)、ジョナサン・ブレイク(ds)とメジャーどころを揃えた。特にシェイマスはデビュー作からずっとフィーチャーされている。

 オリジナル6曲、スタンダード2曲の全8曲。どちらかといえば(俺が俺がと弾きまくる)ピアニストというよりコンポーザータイプだ。アレンジにも気を配り、きっちり計算された曲を書く。メンバー間の激しいインプロの応酬で聴かせたりするのでなく、それと正反対に楽曲自体で自分を表現するタイプである。クラシックの経験があるのではないかと思うが、楽曲の構成の仕方が独特で個性的である。「ほかに似たミュージシャンを挙げろ」といわれてもちょっと思いつかない。

 それにしてもシェイマス・ブレイクは起用だ。こういう力を抜いたデリケートなスタイルの演奏にも対応できるし、かと思えば反対に暖色系でひたすら熱くブリブリなプレイもできる。そのへんがあちこちのレコーディングにひっぱりだこな理由だろう。かたやジョナサン・ブレイクも人相風体だけ見ればとうていこんな繊細なドラミングができるとは思えないのだが、本当に人は見かけによらずだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jason Palmer / Places

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Jason Palmer (tp)
Mark Turner (ts)
Godwin Louis (as)
Mike Moreno (g)
Edward Perez (b)
Kendrick Scott (ds)

Recorded: January 2013
Engineer: Tom Tedesco (SteepleChase SCCD31780)

ゆらゆら漂う不思議系ジャズで元気になる

 脱力し、ゆらゆら漂う不思議系ジャズだ。滑稽で軽やかなフレーズを連発して三枚目路線をひた走るトランペット奏者、ジェイソン・パーマーの5枚目に当たる最新リーダー作である。

 きっと陽気でユーモアのセンスのある人なのだろう。おどけたような音使いで、笑いながらリスナーに語りかけてくる。「やあ、どうだい?」。するとこっちまで思わず笑顔になる。気分が滅入っているときなんか、この人のアルバムを聴くとヘンテコリンな元気がわいてくる。

 サポート・ギタリストには、いまやメジャー感の漂うマイク・モレノをフィーチャーした。またマーク・ターナー(ts)の参加も見逃せない。ほかに2013年モンク・コンペ3位のゴッドウィン・ルイス(as)、エドワード・ペレス(b)、ケンドリック・スコット(ds)らが脇を固める。

 全9曲オリジナル。ふらふらと、ゆらめくようなビートとリフを多用する。ほんわか明るく、スッポ抜けたように力まない軽さがトレードマークだ。今作もそんなパーマー・ワールド全開である。

 彼は決して「かっこいいジャズ」を追求しない。大いなる外道である。そんなパーマーの異端な個性に共鳴し、それを 「おもしろい」 と感じる人だけが楽しめる――。その意味ではかなり聴く人を選ぶ。例えばハードボイルドな本格志向のジャズが好みの人にはウケないだろう。あくまで好きな人だけが買うレア物だ。

 ただ本作に限っていえば、楽曲の仕上げがアレンジを途中で放り出したような、「語尾」がきれいにまとめられてない荒さがある。いや、おそらくそういうルーズさこそがパーマーの持ち味なのだろうが、ふつうのジャズを聴き慣れた人の耳には「アレンジが未整理だ」と映るかもしれない。このへんも聴く人を選ぶ要因だろう。

 一方、(売るために大物を集めたのかもしれないが)メンバー構成にも疑問がある。上品で優雅なタイプのマイク・モレノの起用は (いい意味で) 雑なヘタうま志向のパーマーの作風にはミスマッチな感じだ。例えば過去作にも参加していた、もっとラフで尖ったプレイをするニア・フェルダーのほうがフィットしていた。

 またケンドリック・スコットにも同じことがいえる。彼はタイトでエネルギッシュなプレイが身上だ。なのにその持ち味と正反対の、ふんわり力が抜けたパーマーの曲作りにはどうも合わない。歯切れよくエッジが利きすぎているのだ。彼の楽曲にはもっとルーズなタイプのドラマーのほうがいい。

 とはいえデビュー作「SongBook」(2008年、レヴュー記事はこちら)以来、「Nothing To Hide」(2010)、「Here Today」(2011)、「Take A Little Trip」(2012)と水準をクリアした作品を連発しているパーマーだ。今回はちと採点が辛くなったが、あくまで過去作とくらべたら、の話である。さて次回作に期待するとしよう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Nate Radley / Carillon

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Nate Radley (g)
Chris Cheek (ts)
Matt Clohesy (b)
Ted Poor (ds)

Recorded: January 2012
Mixing & Produced: Nils Winther (SteepleChase SCCD31758)

オンリー・ワンの個性で聴かせる七色ギター

 M-1のギターとペースのリズミックなコンビネーションを聴いただけで、既成のありふれたジャズではないことがすぐわかる。ローレン・スティルマン&バッド・タッチのメンバーでもあるギタリスト、ネイト・ラドリーがリリースした最新セカンド・リーダー作だ。

 アクロバチックな技巧派か? といえばまるで対極にある。むしろぎこちなく屈折した「味」で聴かせる個性派だ。ともすれば調子っぱずれなヘタうまに見えるオンリー・ワンのプレイスタイルが、好きな人にはたまらない。本作にはそんな彼の特異なキャラクターがみっちり詰まっている。

 サポートするメンバーはクリス・チーク(ts)にマット・クローシー(b)、テッド・プア(ds)とおいしいところが揃った。ニューヨークの「いま」が聴ける魅力の布陣である。

 先鋭的だった前作「The Big Eyes」(2011年、レヴュー記事はこちら)とくらべ、ナチュラルなトーンで楽曲も聴きやすい。オリジナル6曲のほかモンクの「Hornin'in」、スタンダードの「All through the Night」を取り上げていることからも、前作より 「やわらかく」 しようという意図が感じられる。狙いは成功だ。

 ただしそこはやはり先端派のネイト・ラドリー。オーソドックスな王道志向では決してない。既成曲もただやるのでなく、例えばモンク曲のイントロには現代的なかっこいいコードプレイを仕込んである。

 彼のギターの根底にはいつも「楽曲」がある。単にギターソロを聴かせるのでなく、常に楽曲構成をイメージした演奏をしている。またチークがソロを取っている時の彼のコードワークを聴くと、この人はバッキング時に最大限自分のよさを出すタイプなのだとわかる。

 例えばM-4はギターのみの独奏曲だ。こういうのは往々にしてテクニックを見せつけるだけの独りよがりなマスターベーションで、退屈なものと相場は決まっている。だがこの人の場合、バッキング仕事で培った巧みな音使いでリスナーを飽きさせない。むずかしいことは何もやっていないが、七色のフレージングと独特のセンスについ引き込まれてしまう。

 ニューヨークにはこんな個性のかたまりみたいなプレーヤーがひしめき合っているのだから、まったく恐ろしい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Justin Robinson / Alana's Fantasy

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Justin Robinson (as)
Michael Rodriguez (tp)
Sullivan Fortner (p)
Dwayne Burno (b)
Willie Jones III (ds)

Recorded: November 4, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1371)

50年代にタイムスリップしたかのような王道ジャズ

 参加ピアニストのサリヴァン・フォートナーが以前、トニー・マラビーをフィーチャーした半分フリーっぽいアルバム「Sustainable Quartet」(2010年、レヴュー記事はこちら)でゾクゾクもんの尖ったピアノを聴かせていたので、サリヴァン聴きたさで一点買いした。昨年12月に亡くなった本作参加ベーシスト、ドウェイン・ブルーノに捧げられている。

 まるで50~60年代にタイムスリップしたかのようなオーソドックスな王道ジャズだ。ブルージーな4ビートが中心で、昔っぽい暖かみのあるスウィートな音である。大らかな音色とスタンダードなスタイルが、ひたすらリラックスしたいとき聴くのにいい。

 メンバーは、フロントが主役のジャスティン・ロビンソン(as)にマイケル・ロドリゲス(tp)。リズムセクションはお目当てのサリヴァン・フォートナー(p)とドウェイン・ブルーノ(b)、ウィリー・ジョーンズ3世(ds)がつとめる。

 プレイヤー別にみると、やはりサリヴァンのピアノが光る。あるときはウォーキング・ベースに合わせてころころとよく転がり、またあるときは独特のタイム感で虚空を鋭くえぐる。こういうどこにでもあるおなじみの4ビートをやっても、才能ある人は「ほかにない革新性」を出せるんだなと感心しきりだ。

 伸びやかなロドリゲスのトランペットも心地いいし、ブイブイいわせるブルーノのこってりベースもおいしい。ウィリーのドラムはNoah Haiduの初リーダー作「Slipstream」(2011年、レヴュー記事はこちら)で初めて聴き、いいと感じたが相変わらずだ。あっさり軽めのドラミングで聴き手を肩こりさせない。主役のロビンソンは盛り上がる楽曲では熱くブリブリ吹きまくり、一小節の中にひとつでも多くの音符を詰め込もうとするノスタルジックなストロング・スタイルだ。

 テーマがおもしろいM-1のジャッキー・マクリーン「Little Melonae」、深々とした美しいバラードのM-5ジョニー・グリフィン「When We were One」を聴けるだけでも価値はある。古き良き黄金時代のジャズを、現代の良い音質で聴きたい人にはおすすめだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Ricardo Izquierdo / Ida

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Ricardo Izquierdo (ts, bcl)
Sergio Gruz (p)
Juan Sebastien Jimenez (b)
Mauro Gargano (b on 5,6,9)
Lukmil Perez(ds)

Recorded: November, 2012, at Studio Bopcity, FR
Engineer: Max Jesion (Plus Loin Music PL4572)

期待の超新星、M-BASE的サックス奏者の初リーダー作

 こんな刺激的なジャズはひさしぶりに聴いた。テーマなんてどこにもない。冒頭からいきなりインプロに突入し、ひたすらドス黒くダークで退廃的な世界が展開される。「ソフィスティケート」などという言葉とはまるで対極にある。ジャズがまだ危険な音楽だった時代の名残を残している。キューバ生まれのサックス奏者、リカルド・イスキエルドがリリースしたばかりの初リーダー作だ。

 明るさなど微塵もない。全編ヒリヒリするようなスリルと攻撃性がぎっしり詰まっている。ものすごく獰猛な野獣なんだけど、その獣性を外に出さず内に秘めてる、みたいなノリ。そんな彼が放つヤバイ感じがとてつもなく魅力的だ。チャレンジングなジャズである。

 1978年キューバ・マタンサス生まれ。ハバナのEscuela National de Artes(国立芸術学校)ではハービー・ハンコック、スティーヴ・コールマンらに師事した。2001年からパリで活動している。

 キューバ人ではあるが、まったくラテンに走ってない。フランス在住だが、まるでブルックリンの若手みたいに挑戦的な音を出す。耳に残る覚えやすいフレーズが (いい意味で) まったく出てこないのも特徴だ。そういう予定調和な要素を完全に排除した世界に彼はいるのだろう。

 リカルドの演奏を聴いていると、ナイフでばっさり肉体を斬られた断面を見せつけられているような気分になる。生々しく、ギラギラと脂ぎっている。呼吸が止まりそうになるテンションの高さ。 「何か」 が後ろから迫り来るようなドキドキ感でいっぱいだ。

 1曲を除きすべてオリジナルの合計10曲。変拍子を散りばめたM-BASS的な危ういグルーヴが展開する。テナーのイントロでのっそり始まる揺れるリズムのとぼけたM-1、急き立てるような11拍子でテナーが激しくブロウするM-2、ビンビンにテンションの利いたピアノソロが聴ける5拍子のM-4、目まぐるしくリズムが変わり途中4ビートで安息を得るM-7、複雑なベースのリフに煽られテナーが暴れるM-9あたりが印象に残った。

 そしてハイライトは最終曲である。ピアノのソロ演奏で静かに幕を閉じるアルバム構成がひどく意表をつく。サックス奏者のリーダー作なのに、最後の曲はピアノの独奏なのだ。しかも曲調が微妙に明るい。つまり手前の9曲目まで重く沈み込んだ救いのないダークな曲調で引っ張り、ラストで一転、スッと夜が明けるかのようにそれらを明るく打ち消す起承転結をつけている。作曲とアレンジの能力も相当なものだ。

 また大半の曲でソロを取るピアニストのセルジオ・グルツもただ者じゃない。暗闇の中を手さぐりでさ迷うような緊張感いっぱいのフレーズを連発する。アルゼンチン生まれで93年にパリへ拠点を移した彼は、リーダー作「Ensemble」(2004)が欧州ピアノトリオ・マニアの間で一時話題になった。本作参加ベーシストのジャン・セバスティアン・ヒメネスも当時のレコーディング・メンバーだ。またテナーのリカルドとは、自身のレギュラーカルテットでも共にプレイしている。

 この危険な香りを放つテナーとピアノの双頭カルテットは強烈だ。ああ、次回作が発売されたら絶対買うから早く出してほしい。お願いだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

David Weiss / Breathing Room

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David Weiss (tp)
Marcus Strickland (ts)
Craig Handy (as on 2,4,6,7)
Xavier Davis (p)
Dwayne Burno (b)
E.J. Strickland (ds)

Recorded: February 7 & 9, 2001, at Avatar Studios, NY
Engineer: Jon Rosenberg (FSNT 110)

男臭いダンディズムが匂う4ビートの贅沢

 つい先日リリースされたばかりの最新作 「When Words Fail」 (2014年、レヴュー記事はこちら) が彼の最高傑作だとばかり思っていたが、10年前に録音されたこの初リーダー作を聴くと、デヴィッド・ワイスはすでにデビュー盤の時点で傑出していたことがわかる。

 3管のアレンジと疾走する4ビートがめちゃかっこいい。60年代ウェイン・ショーターの世界を現代流に解釈した路線が今とまったくブレておらず、むしろ最新作はいい意味で原点(本盤)に回帰していたのだ。

 メンバーはアルトを除き、最新作とまったく同じ。主役のデヴィッド・ワイス(tp)にマーカス・ストリックランド(ts)、クレイグ・ハンディ(as)。リズムセクションはザビエル・デイビス(p)、ドウェイン・ブルーノ (b) 、E.J.ストリックランド(ds)がつとめる。

 ワイスのオリジナル4曲のほか、参加メンバーのマーカスが1曲を持ち寄った。スタイリッシュなメロディを乗せたゴキゲンな4ビートが中心だが、フロント陣の奏でるテーマが細やかな流麗さを感じさせるのは、彼がもともと優秀なアレンジャーでもあるからなのだろう。

 またワイスが強く影響を受けたウェイン・ショーター作品も2曲フィーチャーされている。まずショーターのリーダー作「Night Dreamer」(1964)に収録された「Armagaddon」をアルバム冒頭に置いた。またショーター在籍時のジャズ・メッセンジャーズ盤「The Witch Doctor」(1961)から、リズミックな「Those Who Sit and Wait」も取り上げている。

 メンバー別では、デイビスのピアノが際立っていい。地味なイメージがあったが、本作での彼のプレイは耳に残るフレーズを連発しており秀逸だ。また主役のワイスは言うに及ばず、テナーのマーカスも力強いブロウでぐいぐいバンドを引っ張っている。

 ワイスのジャズには男が匂う。いや別にゴリゴリにパワフルだとか、ラフでワイルドとかいうタイプじゃないが、ある種の洗練された男っぽさがある。その証拠にヨーロッパ風のしゃれたジャケ写をわざわざ自分で撮影したというこだわりが、アルバム全編を覆うダンディズムの背後に見え隠れする。おしゃれなのに男臭いってなんだかステキだ。最新作でワイスを気に入った人にはぜひ聴いてほしい1枚である。
プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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