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Avishai Cohen Trio / From Darkness

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Avishai Cohen (b)
Nitai Hershkovits (p)
Daniel Dor (ds)

Recorded: May and July, 2014, at Nilento Studios, Sweden
Engineer: Lars Nilsson (Razdaz Recordz RD4616)

チック・コリア風味のハデハデ系・超難度Aクラスのスリル

 過去いままで完全にスルーしてきたベーシスト、アヴィシャイ・コーエン (1970年生まれ) がリリースしたばかりの最新作だ。こわいもの見たさで試しにネット試聴してみたら、なんとデンマークのPhronesisに近い超強烈なピアノトリオだったので速攻ゲットした。

 メンバーは、同じイスラエルの若手でニタイ・ハーシュコヴィッツ(p)とダニエル・ドール(ds)。ニタイは以前、アヴィシャイのデュオ作 「Duende」 (2012) でもフィーチャーされており、一方のダニエルはNYCにあるThe New School for Jazz and Contemporary Musicを2010年に卒業したばかり。重さや太さなど、プレイスタイルがちょっとアントニオ・サンチェスに近い。

 アヴィシャイのリーダー作はなんと通算15枚目を数える。トリオ作としては 「Gently Disturbed」 (2008) 以来の作品になる。よくもまあ今までガン無視し続けてきたもんだ。

 いや、世の中的に 「いま、イスラエル・ジャズがブームだ!」 みたいなマスコミの見え見えの盛り上げ方にずっと抵抗があり、それで避けてきたというのもある。とはいえ、やはり彼らに共通するある種の音楽的な 「脂っこさ」、 濃厚な 「色あい」 がどうも私の皮膚感覚に合わないところが大きい。

 なんせエリ・デジブリは全敗だったし、ギラッド・ヘクセルマンにも痛い目に遭わされてるし。あ、いやトランペッターのアヴィシャイ・コーエンやオマー・アヴィタル(b)、オマー・クライン(p)など、もちろん例外も多いのだが。

 さて私が買ったのは輸入盤なので全11曲だ (日本盤はM-12がボーナストラック)。最終曲のチャップリンによる名曲 「Smile」 以外はすべてコーエンのオリジナルになる。試聴で確認した通り、やはりリズム隊の太さやどっしり感がデンマークのピアノトリオ、Phronesisを思わせる (特にバスドラあたり)

 楽曲的には、リズムの複雑さやテクニカルなところがチック・コリアを彷彿とさせる。ハデハデ系・超難度Aクラスのアクロバチックなテイストだ。ピアノがちょっとラテンっぽいリフを入れたりするところもチック風味か。哀愁を帯びたメロディと、壮絶な離れ業のキメを叩き出す一糸乱れぬ組織プレイ。そして奔流のように繰り出されるインプロヴィゼーション――。全体にまぶしい装飾性を帯び、音数の多さや煌びやかさがひときわ目を引く。

 ひとことで言って音楽というよりサーカスを見せられているような感じ。ぶっちゃけ私には脂っこくうるさすぎて好みじゃないのだが、そういう個人的な好き嫌いは別にして、客観的に言って 「えらいことをやってるなぁ」 という感じはする。要はジェットコースターに乗って 「このハラハラ感がとってもスリリング! 爽快で大好きッ」 と感じるか、「こわい。落ちたらどうするの?」 と思うかの違いというか。ハイ、主観の相違です。

 それにしてもトランペット奏者のほうのアヴィシャイ・コーエンは、マーク・ターナーの 「Lathe of Heaven」 (2014年、レヴュー記事はこちら) でグッと抑えたすばらしいプレイをしていたんだけどなぁ……。まあ肌が合わないもんはしゃーないか。

 てなわけで80代の老人が脂でギトギトのトンカツ食ってるみたいで私にはキツかったが、こういうド派手でわかりやすい音が好みの人にはぴったりハマるかも? 特にチックやマイケル・ブレッカー、アントニオ・サンチェスあたりが好きな人なら鉄板だろう。買う前には試聴することをおすすめします。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Chris Morrissey / North Hero

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Chris Morrissey (b)
Aaron Parks (p)
Mike Lewis (sax)
Mark Guiliana (ds)

Recorded: January 13-14, 2013, at Trout Recording, NY
Engineer: Bryce Goggin (Sunnyside SSC1332)

アーロン・パークス参加、ロック世代の新世紀ジャズ

 ディスクユニオンのブログで見かけた掘り出し物だ。ネット試聴したらなかなか若い音だったので買ってみた。ブルックリンを拠点に活動するベーシスト、クリス・モリッシーのSunnysideレーベル第2弾。クリスの故郷、ミネアポリス発ミクスチャー・ジャズ・ロックである。ハッピーなメロディと弾むノリ。さりげなく変拍子や8ビートを散らすなど、わかる人にはわかる凝った作りがニクい。

 メンバーにはアーロン・パークス(p)のほか、あのブラッド・メルドーとのエレクトリック・デュオ 「Mehliana」 で話題の売れっ子ドラマー、マーク・ジュリアナが参加している。主役のクリスは、マークと同じ1980年生まれ。リーダー作には本盤のほか、デビュー作 「The Morning World」 (2009年、Sunnyside)、「Cannon Falls Forever」 (2011年、自主制作盤) がある。

 全8曲すべてクリスのオリジナル。明るくのびのびした音だ。全体に新しい感じがムンムンするが、新感覚の才気ある人がモノを作ると自然にこうなるのだろう。まずアレンジがいわゆるジャズ的でないし、使っているコードの響きもそう。だけど根っからのジャズ好きが聴いてもぜんぜん違和感ないところが不思議だ。本人は特別ジャズだのロックだの、窮屈な区分けにはあんまりこだわってないのだろう。

 ちょっと驚いたのは、パークスが今まで聴かせたことのないようなスタイルでプレイしていることだ。なるほど土台がこうだと、こういうピアノも弾けるのか。特にM-4での彼らしくない、だが最高にエグってくるソロあたりは典型だ。サックスはそこはかとなくクリス・チーク風。ドラマーのマークはパワフルでいかにもロック「も」やってます、みたいな感じ。バスドラの踏み込み方に特徴があり、楽曲に表情をつけるのがうまい。適度に重いノリもマルだ。

 畳みかけるような速いテンポで幕を開けるノリのいいM-1から、一転して静かな滑り出しが清々しいバラードのM-2。ちょっとポップで透き通るような透明感にキリッとする。お次のM-3はやっと出ました、てな感じのはつらつ4ビート。パークスが存分に暴れたあとのサックスとドラムの掛け合いがスリリングだ。

 だるくルーズな雰囲気がなんとも気持ちいいM-5をはさみ、8ビートを大胆に取り入れたM-6は本盤のハイライトである。急き立てるような前ノリに、苦み走ったテーマ。こやつは完全にロックといっていいだろう。美しいピアノのイントロで始まるM-7は、ポップでメロディアスな極上のバラードだ。最終曲のM-8がこれまた美メロのまったりダルな展開から、ラストは壮大に盛り上がってアルバムは幕を閉じる。

 ちなみに 「新世紀ジャズ」 とか 「ミクスチャー○○」 なんていうと打ち込みバリバリだったり、はたまたリズムがヒップホップだったり、ボイスやら効果音使いまくりだったりするコケおどし満載の残念な内容を予想する向きもあるが、さにあらず。本作はそのテの小細工いっさいなし。ナチュラルな生音だけで真っ向勝負の力作です。ご期待あれ。

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※本盤は水色のきれいなdigipak仕様ジャケットで、開くと内側がかわいいオレンジ色。水色とのコントラストがくっきり鮮やか。おしゃれです。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Federico Casagrande / The Ancient Battle of The Invisible

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Federico Casagrande (g)
Jeff Davis (vib)
Simon Tailleu (b)
Gautier Garrigue (ds)

Recorded: December 5-6 2011 at Acousti Studios
Engineer: Didier Pouydesseau (Cam Jazz CAMJ7850-2)

2007年ギブソン・コンペ優勝の若手ギタリストが仕掛けるダークな世界

「これでもかッ」ってくらい明るい要素がない。どよよ~んと暗く沈殿しているのだが「そこがいい!」というたぐいの音。実際、かなりツボにきた。2007年ギブソン・モントルー・ジャズ・ギター・コンペで優勝したイタリアの若手ギタリスト、フェデリコ・カサグランデの2012年リリース作だ。

 なぜ本作を知ったのか? といえばドラマーつながりだった。以前レヴューしたフランス人ベーシスト、フローレント・ニッセの「Aux Mages」(2014年、レヴュー記事はこちら)でドラムを叩いていたフランス人のGautier Garrigueがえらく気に入り、「この人、まだ若いのにいいドラマーだなぁ。ほかに参加作はあるのかしらん?」とネット検索したところ、Google先生に本作を紹介された、てな経緯だ。

 そんなわけでたまたま知ったアルバムではあるが、内容はいい。なんか貧乏ったらしい風采の上がらないヒゲ面の男たちが並んだジャケ写だが、そんなもんは無視してよろしい。

 まず主役フェデリコのギターだが、ぶっちゃけ誰にも似ていない。かなり個性的だ。強いて言えば一時期のマイク・モレノを思わせるところがあるが、もっと軽く歪んだ音だし、なによりフレーズがもう圧倒的に暗いのだ。モレノみたいに優等生的で華麗なところがまるでない(もちろんいい意味で)。汚れた感じのギターを弾く。

 全9曲すべてオリジナルの楽曲は、みなミディアムなテンポでゆらゆら漂うようなノリ。フェデリコがひとりでアルペジオを弾いているシーンがたびたび出てくる。ギターソロにヴィブラフォンが合いの手を入れ、絡まりながら盛り上がって行ったりする。どの曲もダークな質感で統一されている。透明感のある音質もバツグンによく、立体的に音像が浮かび上がる。オーディオ・マニアなみなさんにもおすすめだ。

 本作が気に入ったので次作を楽しみにしていたのだが、2014年12月にリリースされた最新作「At the End of the Day」は変則的な編成だったので見送った。次の次に期待します。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Pablo Held / The Trio Meets John Scofield

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Pablo Held (p)
Robert Landfermann (b)
Jonas Burgwinkel (ds)
John Scofield (g)

Recorded: January 31, 2014, Live at Philharmonic Hall, Cologne,
Engineer: Stefan Deistler (Pirouet Records PIT3078)

巨匠ジョンスコを招いた企画倒れの迷作

 先日リリースと同時に買ったが、ゲスト参加しているジョン・スコフィールド(g)のよさがまったく出ておらずボツにしようと思っていた。一定水準をクリアしてない作品はあまり紹介したくない。だがジョンスコの名前に釣られて買ってしまう人もいるだろうから、今回は警鐘を鳴らす意味であえてレビュー化しておこう。

 本作はドイツの若手ピアニストのパブロ・ヘルドが、自身のピアノトリオにジョンスコを招いた作品だ。ドイツ・ケルンでのライヴ盤とあって収録曲は全5曲と少ない。

 まずジョンスコの楽曲を2曲やっているが、Pirouetレーベル特有の音圧の低さも手伝ってか、躍動感のない貧相な演奏でオリジナル・バージョンに遠く及ばない。特にM-2中盤の冗長でつまらないアレンジはつらい。部分的にルバートのナンバーも2曲(M-3, 4)あるが、これがまた退屈極まりない。単に静かなだけで何の面白みもない。結論として聴けるのは、最終曲のM-5(ジョニ・ミッチェル作)だけだ。

 ジョンスコの楽曲をやるなら、もっと力強い演奏のできるメンバーでないと意味がない。インパクトの強い、はっきりしたビートを出せないこのリズム隊では高嶺の花だ。特にドラムが軽すぎてお話にならない。逆にこのメンバーでやるならジョンスコ曲のようにエネルギー感で勝負する楽曲でなく、もっと静的で繊細な曲でなければメンバーの持ち味が生きない。要は楽曲とメンツがミスマッチなのだ。

 ではなぜこんなミスマッチが起きたのか? 容易に想像できる。おそらくマーケティング的な理由だろう。作品を「売るため」にメジャーなジョンスコと共演したい。共演するからには(たとえメンバーの持ち味が出なくても)ジョンスコの楽曲をやるのが自然だ――。こうゆう流れだろう。こんな理由でメンバーに似合いもしない、魅力のない演奏を聴かされるリスナーはたまったものじゃない。

 リーダーのヘルドはPirouetレーベルからいいピアノトリオ作を2枚出しているが、なぜ静と動、水と油のジョンスコと共演しようなんて考えたのか? 「ヘルドを売り出そう」みたいなPirouet主導の企画なんだとしたら、ハッキリいって企画倒れだ。ヘルドは才能があるのだから、もっと自分のよさが出る作品で勝負してほしい。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Owen Howard / Drum Lore Vol. 2 More Lore

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John O'Gallagher (as)
Adam Kolker (ts, ss, b-cl)
Frank Carlberg (p)
Johannes Weidenmueller (b)
Owen Howard (ds)

Recorded: November 2, 2013, at Peter Karl Studios, NY
Engineer: Michael Perez-Cisneros (bjurecords BJUR050)

ブルックリンの音ってどんなの? という人におすすめの1枚

 陽性か? 陰性か? といえばハッキリ陽性で明るく楽しい作品だ。ラテンっぽいノリを散りばめながら現代ジャズを綴る1枚。ホーンセクションやキメのアレンジに音楽センスがうかがえる。ブルックリンを拠点に活動するドラマー、オーウェン・ハワードが発表したばかりの新作だ。

 本作をリリースしたBrooklyn Jazz Undergroundは、文字通りニューヨーク・ブルックリンのジャズ・カルチャーを発信するインデペンデント系アーチストのアソシエーションである。

 主役のオーウェンは、タメ気味でややルーズなドラミングに味があるドラマーだ。カナダ・エドモントン生まれ。15才でドラムを始め、1988年にニューヨークへ進出した。リーダー作としては「Sojourn」(1993)、「Pentagon」(1997)、「Time Cycles」(2007)、「Drum Lore」(2010)などがある。

 オリジナル4曲のほか、ポール・モチアン、フィリー・ジョー・ジョーンズ、トニー・ウイリアムス曲など全10曲。畳み掛けるようなオープニングから4ビートに突入するM-1でアルバムは幕が開く。いい意味でとっ散らかった、元気のいいナンバーだ。

 メンバーの中でいちばん気を吐いているのは、「Reflections」(2011)、「FLAG DAY」(2008)などのリーダー作があるサックス奏者のアダム・コルカーである。彼はSunnyside のほか、ヨーロッパのマイナー・レーベルからも作品をリリースしている。一種異様なセンスを放つ個性派だ。

 アルバム全体にキラキラと太陽が輝くような陽気さが漂い、ちょっと落ち込んでいるときに聴くと気持ちを引っ張り上げてくれる。まるで強烈なウォッカを飲んでいるような気分にさせられる。

 ラテンっぽいリズムでダンサブルなM-3、ハッピーでウキウキするような4ビートのM-5、明るく軽やかテーマで始まる4ビートのM-7あたりが特に耳に残った。「ブルックリンの音って一体どんなの?」という人なら聴いて損はない1枚だ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Phronesis / Walking Dark

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Jasper Hoiby (b)
Ivo Neame (p)
Anton Eger (ds)

Recorded: November 2011, at The Village Recording Studio, DK
Engineer: August Wanngren (Edition Records EDN1031)

アグレッシブにゴリゴリ攻めまくる激烈ピアノトリオ

 ディスクユニオン通販を見ていたら、たまたま中古盤があったので何の気なしに買ってみた。すると聴いてびっくり、おったまげた。こんな強烈なピアノトリオは初めて聴いた。デンマーク出身のベーシスト、Jasper Hoibyをリーダーとするグループ、Phronesisの4作目。全12曲、3人が持ち寄ったパンチの利いたオリジナルがリスナーの脳天をノックアウトする。

 ピアノトリオといえばもっぱらピアニストがリリカルな美メロを奏で、リズム隊が黒子となってそれを支える、みたいなイメージを描きがち。だがこの人たちはそんな常識を超越してる。まさに三位一体のインタープレイが炸裂する。全員がエンジン全開でぶちかます。

 3人揃ってめちゃくちゃ音数が多くてド派手。ピアノのインプロ時にはリズム隊が音を抑える、てな旧来のワク組みから完全にはみ出している。もう津波のように3人同時に行きまくる。怒涛の寄りだ。実は同時に彼らのライヴ盤 「Alive」 (2010) も入手したのだが、どっちがライヴでどっちがスタジオ盤か区別がつかないくらいテンションが高い。

 このリズム隊が作る太くズッシリしたうねりは歯ごたえがある。ドラマーのAnton Egerはドスン、バタンと、とにかく音がデカイのなんの。えらくパワフルなドラミングをする。これにベーシストのJasper Hoibyが負けじと対抗するのだからお祭り状態である。このバンドの太くうねるノリはもっぱらベーシストが生み出している。相対的にピアニストの存在感が小さく感じられるくらいだから推して知るべしだ。

 とはいえもちろん、ずっと全員が行きっぱなしというわけじゃない。ピアノが主役になったり、ドラムが見せ場を作ったりと、メインの役者を小刻みに変えながら楽曲がスリリングに展開して行く。それにつれ、まるでジェットコースターに乗ってるみたいにリスナーはハラハラどきどきさせられる。

 ウツなときに聴くと五体にチカラがよみがえり、ハイな夜にうっかり聴けばそれっきり眠れなくなる。死人も起きる。まさにロック世代のハードなピアノトリオといえるだろう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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