Linda Oh's Sun Picture - Winter Jazz Festival (New York 2015)



リンダ・オー最新作「Sun Pictures」からの極上ライヴ

 リンダ・オーの最新アルバム「Sun Pictures」(2013年、レヴュー記事はこちら)にちなんだニューヨークでのライヴだ。アルバムのデキが最高にいいだけに、たっぷり楽しめるライヴに仕上がっている。

 メンバーも超豪華だ。ベン・ウェンデル(sax)にマット・スティーヴンス(g)、主役のリンダはルディ・ロイストン(ds)とリズム隊を組む。

 マット・スティーヴンスが特にかっこよく、ソロプレイだけでなくバッキングもかなり楽しめる。彼が重ねてきた幾多の裏方仕事が偲ばれる渋い演奏だ。

 一方、生で見るルディ・ロイストンは思いのほかスティックを強打してないが、あのパワフルな打音からすると手首のスナップがよほど利いているのだろう。

 おいしいです。

Linda Oh – bass, guitar
Ben Wendel – saxophone
Matt Stevens – guitar
Rudy Royston – drums

Linda Oh's Sun Picture:
Live at the Subculture, Winter Jazz Festival (New York 2015)

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Jakob Bro / The Stars Are All New Songs Vol.1

Jakob Bro

Jakob Bro (g)
Bill Friesell (g on M-1, 2, 3, 4, 6, 9)
Kurt Rosenwinkle (g on M-7)
Mark Turner (ts on M-5, 8)
Chris Cheek (ts on M-3)
Jesper Zeuchen (as on M-3, 5, 8)
Amdrew D'ngelo (b-cl on M-5, 8)
Ben Street(b)
Paul Motian(ds)

Recorded: September 2007, at Avatar Studios, NY
Engineer: James Farber (Loveland Records LLR008)

浮遊系・空間ギタリストが世に問う稀代の傑作

 メロディアスで耳に残る美しい旋律のオンパレードだ。ふわふわと空中を浮遊するようなゆったりしたリズムが心地いい。空間系ギタリスト、デンマークのヤコブ・ブロがカート・ローゼンウィンケルやマーク・ターナーらNYの大物を結集し、2008年にリリースした自身最高傑作だ。

 メンバーには、キラ星のごとくNYの顔役たちが並ぶ。ビル・フリゼール(g)にカート・ローゼンウィンケル(g)、マーク・ターナー(ts)、クリス・チーク(ts)。この超豪華メンバーが、ベン・ストリート(b)、ポール・モチアン(ds)という渋いリズムセクションの上に乗っているのだからたまらない。

 おもしろいのはブロが使う、まるで効果音のようなアンビエントなリズムのセンスだ。「ピーン、カーン、コーーン」というふうに、空間の広がりを感じさせるリズムレスな爪弾きをあしらいながら雰囲気を作る手法が新しい。この効果音風バッキングに、マーク・ターナーが吹く美メロなテーマが絡むのだからこたえられない。

 全9曲すべてブロのオリジナル。すごいなと思うのは、ブロが爪弾くフレーズはかなりメロディアスでありながら、決して安易なイージーリスニングに堕していないところだ。あるときは人生の喜びを感じさせ、またあるときは生きることの虚脱を漂わせる。そこには人間の悲喜こもごもがふんわり織り込まれている。

 だがあくまで方向性としてはポジティブであり、生きる希望を音に変えたようなコンポジションが心の根っ子にほんのり暖かい。ヒーリング効果満点だ。名エンジニア、ジェームス・ファーバーが手がけた録音も絶品です。
 
 ちなみにこの名盤、すでに廃盤なのかアマゾンなどのネット通販ではずっと購入不可で、中古盤さえめったに出回らないため入手困難だった。だがなんの加減か、たまたまHMVをのぞいてみたらなんと「在庫アリ」に。内容は絶対保証付き。興味があれば、ぜひどうぞ。

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ジャンル : 音楽

Opus 5 / Tickle

1

Seamus Blake (ts)
Alex Sipiagin (tp, flh)
David Kikoski (p, el-p)
Boris Kozlov (b)
Donald Edwards (ds)

Recorded: August 15, 2014, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1383)

なんだか「頭で」こねくり回して作った音だ

 彼らの新作を聴くのは毎回、楽しみだ。リズムアレンジに凝り、あのテこのテで2010年代の新しいハードバップのスタイルを提示するユニット、OPUS 5の4枚目のニューアルバムである。はてさて、今回はいったいどんな仕掛けが隠されているのだろうか?

 メンバーはいつも通りのスタメンがならぶ。シーマス・ブレイク(ts)とアレックス・シピアギン(tp)をフロントに、デヴィッド・キコスキ(p)、ボリス・コズロフ(b)、ドナルド・エドワーズ(ds)がリズムセクションをつとめるクインテットである。

 全7曲すべてメンバー各自が持ち寄った。のっけから思わせぶりなドラムソロで幕が開く。そしてラストナンバーは導入部にベースソロをあしらう、という起承転結ぶりだ。

 ただし残念ながら、今回の新作はどうも退屈だ。もともと音を作り込むタイプの彼らだが、今回はかなり「頭で」こねくり回して作っている感じがする。だから「カラダで」素直に音楽を楽しめない。

 あれこれアレンジにを凝りまくり、飽きさせない工夫はしてあるのだが……かえってそれらの細工が心に響かない。なんだか仏作って魂入れず、な感じがする。

 いやぁ、それがコンセプトなのはわかりますよ。でも、さすがにここまでアレンジしまくらなくてもいいのでは? もうちょっとストレートに音を出したほうがいいんじゃないか? どうもアレンジの塊を耳にねじ込まれているようで、原曲のよさが伝わってこない。

 メロディがあまり耳に残らないし、かといって丁々発止のインタープレイが展開されるわけでもない。とにかくひたすら人工的なアレンジの塊だけがそこにある、みたいな感じ。

 セカンドやサードアルバムもかなり凝った造りだったが、程よいところで止めていた。その意味じゃ湯加減がちょうどよかった。だがその凝りようがさらに高じて、今回はこうなってしまいました、てなところ。

 とはいえ彼らのファンで、いつも新作を待ち望んでいる人なら楽しく聴けるのだろう。要は好みの問題だ。私はどうしても素材(楽曲)のよさを重視するので、こういう聴き方になる。なのでまあ、そのへんは話半分で参考程度に聞き流してくださいな。

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ジャンル : 音楽

John Scofield / Past Present

1

John Scofield (g)
Joe Lovano (ts)
Larry Grenadier (b)
Bill Stewart (ds)

Recorded: March 16-17, 2015
Engineer: Jay Newland (Impulse 0602547485106)

全盛期のジョンスコがよみがえる理屈抜きの楽しさ

 ジョンスコがいちばん熱かった頃のメンバーが集まった。出てくる音も90年代前半の全盛期そのまま。熱くエネルギッシュなイケイケ路線が爆発している。今でも彼の90年代の盤は毎日聴いているが、久しぶりになつかしい旧友に会ったような気分だ。理屈抜きでリラックスして楽しめた。

 メンバーはジョー・ロヴァーノ(ts)とジョンスコの双頭で、リズム隊はラリー・グレナディア(b)とビル・スチュワート(ds)だ。この黄金のメンツを見ただけで即買い決定だろう。

 全9曲すべてジョンスコのオリジナル。曲調はジョンスコの過去作「Mean to Be」(1991)、「What We Do」(1993)、「Hand Jive」(1994)あたりの絶頂期そのまま。ロヴァーノやビルとカルテットを組み、ブルーノートに吹き込んでいた頃の雰囲気がイキイキとよみがえっている。

 もっともジョンスコのギタープレイ自体は全盛期とくらべ60点のデキだ。特にワイルドな奔放さやエネルギー感がめっきり落ちている。ただしリズムがルーズで独特のラフな味わいがある点は昔と同じ。なによりアルバム・トータルの価値としては80点をつけてもいいだろう。楽曲がいいし、アルバム全編に明るく楽しいムードがあふれているのがすばらしい。

 ジョンスコは今まで本格4ビートやフュージョン、ファンク、ジャムバンド路線とあれこれ目先を変えながらやってきた。だが年齢を考えれば、もうそろそろ本盤のようなシンプルでストレートに楽しめる王道路線に絞ってぐいぐい前を向いて進んでほしい。「やっぱ、ジョンスコはこれだよねぇ!」という感じだ。

 なお録音に関しては解像感のあるハッキリした音で音場も広く満足だが、一点、ベースの音には不満が残った。

 グレナディアは音の野太さがトレードマークだが、本作では他の楽器に比べベースとバスドラの音圧が低く、ややもすると低音がスカスカに聴こえるのがいただけない。単純にミキシングの問題だと思うが、こういう楽器のバランスにはもっと気を使ってほしいものだ。

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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