【2015 イチ押し新譜ベストテン】 年間ランキング ~こいつは聴き逃すな

【1位】Jeremy Udden - Nicolas Moreaux / Belleville Project (←クリックするとレヴュー記事へ。以下、同)

1

Jeremy Udden (as, pump organ, Prophet 5)
Nicolas Moreaux (b, toy piano)
Robert Stillman (ts, p, pump organ)
Pierre Perchaud (ac-g, el-g, banjo)
RJ Miller (ds)
Pete Rende (CS-60, Prophet 5, pump organ, organ)

ミクスチャー職人が大活躍した2015年

 2015年は、ジャズと他ジャンルをミクスチャーした斬新な作品群が新しいうねりを生み出した年だった。ミュージシャン名を挙げれば、ジェレミー・ユーディーンやクリス・モリッシー、マーク・ジュリアナ、クリス・ライトキャップあたりである。

 彼らの作品にはジャズとポストロック、インディー・フォーク、カントリー、スローコア/サッドコア、エレクトロニカなど種々雑多な音楽が万華鏡のようにブレンドされ、もはや音楽をジャンルで語るのが不毛になった感すらある。

 そこでは歴史的にジャズのトレードマークとされてきたテクニカルなインプロヴィゼーションやインタープレイの意義が薄れ、構成の妙やアンサンブルなど、むしろ楽曲自体の存在価値がみるみる高まってきた。自分のアルバムにスタンダードや往年のジャズメン・オリジナル等を入れず、自身が書き下ろしたオリジナル楽曲で勝負するミュージシャンがふえたのもその流れだろう。

 そんななかにあって、ジェレミー・ユーディーンが今年前半にリリースしたこのアルバム「Belleville Project」は、彼のミクスチャー芸がもはや究極にまで昇華した自身最高傑作といっていい作品である。こけ脅しの奇抜さや大仰さがまるでなく、だれもが楽しめる自然なリラックス感がウリ。手軽にiPodにでも入れ、春になったらオープン・カフェでなごんでくださいな。

【2位】Danny Grissett / The In-Between

2 コンポラ路線に舵を切った野心作

Danny Grissett (p)
Walter Smith lll (ts)
Vicente Archer (b)
Bill Stewart (ds)

【3位】Jesse Van Ruller / Phantom -The Music of Joe Henderson

1 ジョー・ヘンダーソンへ捧げるオマージュ

Jesse Van Ruller (g)
Clemens Van Der Feen (b)
Joost Van Schaik (ds)

【4位】Matthew Stevens / Woodwork

4 若手ギタリスト待望のデビュー作

Matthew Stevens (g)
Gerald Clayton (p)
Vicente Archer (b)
Eric Doob (ds)
Paulo Stagnaro (per)

【5位】Dayna Stephens / Reminiscent

5 漂流感のあるグルーヴが心地いい

Dayna Stephens (ts, ss, bs)
Walter Smith III (ts)
Aaron Parks (p)
Mike Moreno (g)
Harish Raghavan (b)
Rodney Green (ds)

【6位】Alex Norris / Extension Deadline

6 現代オルガン・ジャズの威力

Alex Norris (tp, fl)
Gary Thomas (ts)
George Colligan (org)
Rudy Royston (ds)

【7位】Rotem Sivan Trio / A New Dance

7 ささやくようにギターを弾くイスラエル人

Rotem Sivan (g)
Haggai Cohen-Milo (b)
Colin Stranahan (ds)

【8位】Chris Carroll / Current Shifts

8 怪人レズ・アバシ参加の快作コンポラ

Chris Carroll (ds)
Rez Abbasi (g)
Apostolos Sideris (b)
Roman Filiu O Reilly (as, ss on 4, 5, 6)
Alejandro Aviles (as on 2, 3, 7)
Milton Barreto (ts on 2, 3, 7)

【9位】Mark Guiliana Jazz Quartet / Family First

9 ミクスチャー系ジャズの華

Mark Guiliana (ds)
Chris Morrissey (b)
Shai Maestro (p)
Jason Rigby (ts)

【10位】Chris Lightcap's Bigmouth / Epicenter

10 才人ライトキャップの摩訶不思議な世界

Chris Lightcap (b, ac-g, org)
Craig Taborn (el-p, ac-p, org)
Tony Malaby (ts)
Chris Cheek (ts)
Gerald Cleaver (ds, per)
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Dave Douglas Quintet / Brazen Heart

1

Dave Douglas (tp)
Jon Irabagon (ts)
Matt Mitchell (p)
Linda Oh (b)
Rudy Royston (ds)

Recorded: February 3, 2015, at Bunker Studios, NY
Engineer: Aaron Nevezie (Greenleaf Music GRE-CD-1044)

おもちゃ箱の中を覗くと?

 おもちゃ箱をひっくり返したような賑々しさだ。跳ね回るリズム隊に、サーカスの楽団を思わせるユーモラスなラッパとサックス。いかにもデイヴ・ダグラスらしい奇妙な世界が広がる。リリースされたばかりの最新作である。

 メンバーはダグラス(tp)とジョン・イラバゴン(ts)の2管にマット・ミッチェル(p)、リズム隊はリンダ・オー(b)とルディ・ロイストン(ds)という黄金コンビだ。

 本作は従来のダグラスっぽい神秘性に加え、逆に彼らしくない(?)人間的でブルージーな要素も散りばめられている。特にこぶしを回した演歌みたいなバラードが2曲あるのには笑ってしまった。やっぱりダグラスはユーモアのセンスがあるなぁ。大きくは2013年にリリースした同じメンバーの「Time Travel」(レヴュー記事はこちら)の路線を踏襲しているが、新しくちょっぴり大らかさが加わった感じだ。

 オリジナル9曲を含む合計11曲。オープニングはさっそくデイヴ・ダグラスっぽいミステリアスなテイストで幕が開く。複雑な構成で、あのテこのテの駆け引きが刺激的だ。かと思えばM-2では「これがデイヴ・ダグラスか?」と意表をつく、ベタでわかりやすい情熱的なバラードが登場する。

 M-3は一転し「いかにもデイヴ」で不思議な味わい。M-4も凝ったリズムアレンジでスリリングな展開を見せる。はらはらドキドキ、ピアノソロが壮絶でめちゃかっこいい。このほかアップテンポでスリル満点のM-5、ダークで諧謔味のある導入部が面白いM-6あたりが耳に残った。

 プレイヤー別では躍動するルディ・ロイストンが実にハマっており、もはやダグラスの作品は彼なしでは成り立たない絵になりよう。ロイストンは今年あたりからサイド参加作が激増しており、2015年のコンポラ・シーンを象徴する存在といえそうだ。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Rotem Sivan Trio / A New Dance

Rotem_Sivan

Rotem Sivan (g)
Haggai Cohen-Milo (b)
Colin Stranahan (ds)

Recorded: January 29-30, 2015, at Atlantic Sound Studio, NY
Engineer: James A. Farber (FSNT 480)

つぶやくギターが個性を放つ

 ささやくようにギターを弾くイスラエル人、ロテム・シヴァンの最新サード・アルバムがリリースされた。ワイルドに歪んだ音に初挑戦し、新境地を開拓した曲もチラホラ。ただし基本は、蚊が鳴くように小さな音でデリケートなプレイをするいつも通りの展開だ。デキがよかったデビュー作と甲乙つけがたい良盤である。

 ロテムはテルアビブ大学を卒業後、ニューヨークのニュー・スクールで学び、2009年にはスイスのモントルー・ジャズ祭のインターナショナル・コンテストに入賞した。2013年にファースト・リーダー作「Enchanted Sun」(レヴュー記事はこちら)をリリースしている。

 スタンダードを2曲収録したデビュー作は手堅い好盤だった。だが2枚目の「For Emotional Use Only」(2014)はインタールード的な短く中途半端な曲が散りばめられ、散漫で物足りない印象が残り、彼の作曲能力に黄色信号が灯った。そして迎えた本作である。

 オリジナル7曲を含む合計10曲。オリジナル曲はありきたりな起承転結がなく、つかみどころのない不思議なテイストである点は2作目と同じ。だが今回は耳に残るメロディーが多く、楽曲のレベルが前作より明らかに高い。

 特に軽く歪んだ音で弾きまくるM-3は、1st、2ndアルバムを聴いている身としては、「この人ってこういう演奏もできるの?」という感じ。荒々しいテイストが意外にハマっている。今後もアルバムに1〜2曲はこのテをぜひ入れてほしいものだ。期待しよう。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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