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Donald Edwards / Prelude To Real Life

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Donald Edwards (ds)
Walter Smith III (ts)
David Gilmore (g)
Orrin Evans (p)
Luques Curtis (b)

Nicholas Payton (key on M-1, 3, 6)
Vivian Sessoms (vo on M-3, 5, 10)
Antoine Drye (tp on M-12)

Recorded: September 14, 2015, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1386)

ベーシックなのにエッジの利いた現代ジャズ

 ストレート・アヘッドなんだけど、エッジの利いた新しい要素も入れてくる。聴きやすいけどベタじゃない。4ビート曲もあるが、手垢のついた既製品とはひと味ちがうーー。そんな不思議な湯加減の新作が登場した。ドラマーのドナルド・エドワーズが放つ、Criss Crossレーベル第2弾になる最新リーダー作だ。

 メンバーにはウォルター・スミス3世(ts)やデヴィッド・ギルモア(g)、オリン・エヴァンス(p)と、おいしいところがズラリ。このところの彼の売れっ子ぶりを反映したラインナップである。

 それにしてもエドワーズはそう若くないのに、Criss Crossから前作「Evolution Of An Influenced Mind」(2014年、レヴュー記事はこちら)を出してからというもの、あれよというまの売れっぷり。苦労人に陽が当たるのを見るのはいいものだ。

 さて本作には、3曲を除き全てオリジナルの計12曲が収録されている。例によってエドワーズの作曲の才が冴えており、何度聴いても聴き飽きない。本ブログの「2014年・イチ押し新譜ベストテン」(こちら)にもチャートインした彼の前作は、凝ったアレンジで非常によくできた作品だったが、今回はまったくちがう切り口なので驚いた。エドワーズの引き出しは広そうだ。

 実はリリースされてすぐ試聴した際にはもっとキワモノに感じ、スルーしようかと思ったのだが……買って聴いてみると思いのほかベーシックな音でいい意味、裏切られた。非常に楽しめる作品だ。3曲にあしらわれた女性ヴォイスの使い方も嫌味がなく、サラリとうまく処理されている。スタンダードなスタイルの中にも、随所にキラリと光る現代的な要素が散りばめられており退屈させない。

 ただM-1のような効果音をバックにドラムソロをやってるだけ、みたいなのはどうなんだろう? どうもアメリカ人って楽曲として成立してないこの種のギミック(こけおどし)が好きなようだが、退屈でしかない。前作でもM-1にお祈りヴォイスとドラムソロだけの不気味なギミック曲が入っていたが、しんどいので必ず飛ばして聴いていた。今回も同様そうなっているが、いちいち曲を飛ばすのが面倒だ。エドワーズさん、お願いしますよ。

 なお録音エンジニアは名匠マイケル・マルシアーノだ。相変わらず彼の手がけた作品は音質がすばらしい。音圧が高めで力感があり、ホログラフのように浮き立つ音像の立体感が芸術的。さすがはマルシアーノである。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Patrick Cornelius / While We're Still Young

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Patrick Cornelius (as, ss, fl)
Jason Palmer (tp)
John Ellis (ts, b-cl)
Nick Vayenas (tb)
Miles Okazaki (g)
Gerald Clayton (p)
Peter Slavov (b)
Kendrick Scott (ds)

Recorded: December 14, 2014, at Avatar Studios, NY
Engineer: Tyler McDiarmid (Whirlwind Recordings WR4682)

しゃれたテイストと壮麗なアレンジがまぶしい

 豪華な衣装を身にまとった貴婦人のようなアルバムだ。総勢4管でホーンアレンジをばっちり決め、ツワ者たちが次々にソロを取る。洒脱なテイストと壮麗な音の厚みで圧倒する。NYの若手サックス奏者、パトリック・コーネリアスがリリースしたばかりの5枚目になるリーダー作だ。

 NY人脈を散りばめたメンバーも豪華である。鬼才ジョン・エリス(ts)が目についたかと思えば、真正天才ジェラルド・クレイトン(p)、元M-BASE派のマイルス・オカザキ(g)までいる。これでボトムを支えるのがケンドリック・スコット(ds)なんだから言うことはない。

 アルバムは全6曲すべてコーネリアスによるオリジナルだ。長い曲が多く、10分近いものが半分の3曲も収録されている。この楽曲の長さは裏を返せば、作品を追うごとにコンポーザー志向を強めて行った彼が、いかにアレンジ面を練り上げて作ったかを表している。

 だがその意図はわかるが、いかんせんちょっとアレンジ過多だ。重厚といえば重厚だが、各楽曲が本来もって生まれたダイヤモンドの原石のような素の魅力が薄れてしまっている気がする。編曲という厚化粧で塗り固めたため地肌の美しさが伝わってこない、みたいな感じ。装飾が多すぎるのだ。

 もちろんある種交響曲のような本作の厚みある音が好きだ、という人はいるだろう。だが個人的には、残念ながら気持ちよく聴けない。例えばしだいに演奏が熱を帯び盛り上がってきたというのに、突然キメが入ってめまぐるしくリズムパターンが変わり、という調子が続く。しゃべりすぎるアレンジのせいでせっかくのノリが寸断されてしまう。「演奏者が乗ってるんだから、もっとストレートにビシッと最後まで通してほしい」的な不完全燃焼が残る。コーネリアスは、ちょっと頭でっかちになっているんじゃないか?

 振り返ればコーネリアスの2nd盤「Fierce」(2010年、レヴュー記事はこちら)は、ワイルドな魅力にあふれたアルバムだった。その奔放な作風は次作の「Maybe Steps」(2011年)にも受け継がれ、前作とくらべ装飾的な要素も加味したバランスのとれた良盤になっていた。

 その後、彼のアレンジ重視の傾向は4作めの傑作「Infinite Blue」(2013年、レヴュー記事はこちら)で結実し、ひとつの頂点を極めたといえる。で、その次に出たのが本作である。印象としてはアレンジに凝りまくる路線がさらに高じ、もはや作品として許容できる限界点を越えてしまった感じがする。いや、もちろんこの華美な音作りが「いい」と感じる人はいると思うが、個人的にはあまり乗れない。

 てなわけで次回作は原点に帰り、ひねりすぎずにもっとストレートな音が聴きたいなぁ、とそっと呟いておくとしよう。

ここに音源あり

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Florian Hoefner Group / Luminosity

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Seamus Blake (ts, ss)
Florian Hoefner (p)
Sam Anning (b)
Peter Kronreif (ds)

Recorded: June 8-9, 2015, at Acoustic Recording, NY
Engineer: Michael Brorby (Origin Records ORIGIN82706)

S.ブレイク参加、渋さを極めたコンポラの秀作

 ドイツ出身のピアニスト、フローリアン・ホフナーがリリースしたばかりの最新作だ。彼にとってはOrigin Recordsから3枚目の作品になる。派手さとは対極で、さりげない渋さの中にコンテンポラリーな独特のセンスがきらりと光る秀作である。

 主役のフローリアンは、あのカート・ローゼンウィンケルが客演した「Roman Ott Inner Shape」名義の隠れ名盤「Seeing People」(2009)にも参加している知る人ぞ知るピアニストだ。ベルリン芸術大学でジャズピアノの学位を取り、その後、NYCのマンハッタン音楽院でジェイソン・モラン、デイヴ・リーブマンらに師事している。

 全8曲すべてフローリアンのオリジナル。どちらかといえばベン・ヴァン・ゲルダー的な、あえてヤマ場を作らないようなウネウネしたクールなジャズだ。とはいえゲルダーほど無味乾燥さは極端でなく、適度に見せ場を作りながら随所で盛り上がるうまいアレンジがなされている。

 アルバム全編、シェイマス・ブレイクが前面に出て現代的なプレイをかます。それもおいしいのだが、なにより主役フローリアンのピアノがまた素晴らしい。特にM-2、M-3、M-4、M-5のピアノソロは飛び切りスリリングでかっこいい。ピアノ好きなら彼のピアノを聴くためだけに買っても損はない。リズム隊もしっかりしたサポートで全体の土台を支えている。

 とにかく渋い作りなので、一度聴いただけではピンとこないかも? 2度3度と聴いてるうちにジワジワと滋味が滲み出す。そのぶん飽きずに長く楽しめる盤である。

テーマ : JAZZ
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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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