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Ignaz Dinne / Back Home

Ignaz_Dinne_Back_Home

Ignaz Dinne (as)
Pete Rende (p)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Rec. January 22-23, 2004, at Tonstudio Vagnsson, Hannover
Engineer: Hrolfur Vagnsson (Double Moon Records DMCHR 71038)

クールな温度感が2000年代的である

 ドイツ人アルト奏者、Ignaz Dinneのデビュー作だ。突き放したような醒めた温度感と、抑制的でクールなところが今っぽい。音数少なく間を掴むタイム感も個性的だ。マット・ペンマン(b)、ヨッケン・リュッカート(ds)という「ROOT 70」のリズム隊に、最近マイブームなピアニスト、ピート・レンディの参加がうれしい。

 ちょっとリー・コニッツを思わせるあっさり淡白なアルトだが、音楽的にはモンクに深く影響を受けており、セカンド・リーダー作の「The Next Level」 (2008)ではモンクの曲を2曲取り上げている。本作の面子からベーシストだけをロン・カーターに替えたメンバーだ。

 Ignazは1971年ブレーメン生まれ。93年に渡米し、バークリー音大で学んだ。のちニューヨークへ進出し、ロン・カーターのクインテットやセロニアス・モンクの息子のドラマー、T.S.モンクのセクステットなどで活動した。現在ベルリンに住んでいる。

 父はジャズ・トロンボーン奏者のEd Krögerで、Edのリーダー作「Interplay」 (2008)、「Another Step」 (2003)でも共演している。このほか参加作としては、ジョナサン・ロビンソンの「Spatial Stasis」 (2009)などがある。

トリスターノ派や新主流派の影響も見える

 本盤はIgnazのオリジナル5曲のほか、参加メンバーのピート・レンディ曲、その他3曲の計9曲だ。アルバム全体を通してみると、トリスターノ派や60年代新主流派の影響も見える。

 NYC的な翳りのある屈折風味がかっこいいM-1や、ベースのリフが催眠のようなM-2、不思議なテンポでかすかにクラシックっぽいM-3、荘厳な夜明けのイメージのM-5が耳に残った。箸休めのM-6 「Body and Soul」、M-8のウェイン・ショーター作「Toy Tune」もくつろげる。

 M-2、M-3、M-5ではピート・レンディのピアノソロが効いている。M-2とM-3はリリカルに儚く美しく、M-5では決して弾き過ぎず、空間を背負いながらのたうつようにほふく前進する様がたまらない。

 かたやマット・ペンマンとヨッケン・リュッカートのリズム隊もバランスがいい。ペンマンがぶりぶりゴリゴリと動的に主張し、それをリュッカートがふんわり軽やかに受け止めるというコンビネーションが冴えている。

 さて最終曲は故国ドイツの作曲家、クルト・ワイル(1900~1950)の作品だ。アルトとピアノが静かにデュエットし、叙情的な静謐感の中にどこかしらユーモアが漂う逸品である。この曲でアルバムを締めた効果は高い。

 Ignazはニューヨークで活動していただけに、「アメリカ人です」と言ってもだれも疑わないような演奏をしている。ボーダーレスな2000年代の世界を実感した。それでもどこかヨーロッパ人らしく、ほのかにクラシックの香りがしたが楽しめる1枚だった。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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