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Lage Lund / Foolhardy

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Lage Lund (g)
Aaron Parks (p)
Ben Street (b)
Bill Stewart (ds)

Rec. January 22, 2013, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1360)

ルンドが放つ 「Early Songs」 (2008) 以来の傑作

 NYで活動するノルウェー出身の売れっ子ギタリスト、ラーゲ・ルンドが、クリスクロスから発表したばかりのレーベル3作目だ。ほどよい緊張感とクールな肌触りにゾクゾクさせられる。ルンドはもちろん、彼と相性バツグンのアーロン・パークス (p) が冴えまくりだ。ルンドがクリスクロス・デビューを飾った 「Early Songs」 (2008) 以来の傑作である。

 いかにもNYコンテンポラリー最先端のトンがった音が聴ける。温度感が低く、シーンと静まり返った涼やかさがある。張り詰めたテンションが心地いい。「大らかさ」 とか 「躍動感」 とはまるで対極にある音作りである。そのため少し神経を使うが、そのぶん知的好奇心を刺激される。氷がひんやり背筋を伝うようなスリルを味わえる。

 メンバーは2006年モンク・コンペ優勝者のパークス (p) のほか、ベースにはベン・ストリートを据えた。彼は1991年にNYへ進出し、カート・ローゼンウィンケルの「The Enemies of Energy」 (2000)、「The Next Step」 (同)に参加し一躍注目を集めた。以来、2000年以降、スタジオワークで引っ張りだこになっている。

 一方、ドラマーは説明するまでもなく、90年代~2000年代にかけ一時代を築いたビル・スチュワートである。鉄壁の布陣だ。すなわちルンドのクリスクロス2作目 「Unlikely Stories」 (2010、レヴュー記事はこちら) のメンバーから、エドワード・サイモン (p) だけをパークスに差し替えたおいしい顔ぶれである。

 自身のオリジナル6曲に加え、D. Rose 「Holiday for Strings」、R. Carter 「Keystone」、Altman-Lawrence 「All or Nothing at All」 の合計9曲。冒頭からM-6までオリジナルを並べ、後半のM-7~9を既成曲で構成している。M-6までのオリジナルは突き放したような冷たさが魅力だ。一方、後半のオーソドックスな既成曲になると、ぐっと暖かく有機的な色彩感が強まる。リスナーによっては 「後半のほうが好みだ」 という人もいるかもしれない。

 まずM-1とM-2はいきなりパークスのピアノがすごい。この2曲はクリスクロスでの前作 「Unlikely Stories」 と、いい意味で無機的な質感が近い。M-3とM-5はバラードだが、キャッチーで美しいメロディなどカケラもない。硬派な作りだ。

 M-3の冒頭はルバートのギター独奏で幕を開ける。リズムセクションが入ったあともインテンポからルバートになりかけるような物憂いリズムだ。だが往年の古いジャズが持つウォームな物憂さとは明らかに違う。クールな音使いをしている点が新しい。この曲もパークスのピアノがすばらしい。

 M-4は一転して機敏なノリ。頭のキメが終わると、またもパークスの必殺のピアノが始まる。うーん、痺れる。M-5は気だるいリズムと中性的なギターが味わい深い。ふとした瞬間にブルージーな音が顔を出すなど意外性がある。

 M-6はミディアム・テンポの曲だ。ふたたびギターの物憂いメロディにわくわくさせられる。ベン・ストリートの雰囲気のいいベースソロも聴ける。残るM-7~9はリラックスできる既成曲で固めた。前半の尖ったオリジナルが放つピリピリ感から開放され、ゆったり箸休めできる構成になっている。

 2005年モンク・コンペで優勝しているルンドは、サイド参加作では無数のすばらしい仕事をしている。だがリーダー作であまりいい作品を残してなかった。たとえばクリスクロス2作目の 「Unlikely Stories」 は、聴き手を拒絶するかのようなメカニカルな冷たさと緊張感が強すぎ聴き疲れた。だがクリスクロス1作目の傑作 「Early Songs」 と同様、本アルバムにはそれらの要素がちょうどいいあんばいで配合されている。やっとルンドが本気で 「2枚目の本物」 を作った感じだ。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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