スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Jason Seizer / Serendipity

js_s

Jason Seizer (ts)
Marc Copland (p)
Henning Sieverts (b) 
Jochen Rueckert (ds)

Rec. August 10, 2003, at Pirouet Tonstudio, Munich
Engineer: Stefan van Wylick (Pirouet Records PIT3008)

コープランド (p) とヨッケン・リュッカート (ds) がおいしい

 ドイツのテナー奏者、ジェイソン・ザイツァーの5枚目になるリーダー作だ。脇を固めるマーク・コープランド(p) の妖しい音使いと、ヨッケン・リュッカート(ds) のメリハリの効いた俊敏なプッシュが脳にくる。音圧が低すぎるのはPirouet盤の難点だが、まあボリュームを大きくすればすむ。内容がいいのでよしとしよう。

 ザイツァーのテナーはコンテンポラリー系プレイヤーのように、抑えたクールさで聴かせるわけじゃない。かといって躍動感にあふれて熱くブロウするタイプでもない。いやどちらかといえば前者に近いが、このほどほどな中庸感がリラックスできる。反面、強烈な個性がないため存在感やインパクトに欠け、やや脇に食われている感もないではない。だがアルバムとしては軽く水準をクリアしている。

 ザイツァーは1996年にデビュー作「Patience」を発表して以降、最新アルバムの「Time Being」(2008)まで6枚のリーダー作を出している。

 シュトゥットガルト出身で4歳からリコーダーとフルートを始めた。以後、クラシックのコンテストで受賞歴を重ねたが、コルトレーンのアルバム 「バラード」を聴いてショックを受け、23才でサックスに転向したという遅咲きのプレイヤーだ。

翳りと愁いのあるヨーロッパらしいジャズ

 本作はザイツァーのオリジナル4曲に加え、参加メンバーのコープランドが3曲、ベーシストのヘニング・ジーヴェルツ(1966年ベルリン生まれ)が1曲を持ち寄った。

 翳りのあるテーマがスタイリッシュなM-1や、一転して明るくファンキーなM-2、疾走感のあるテンポがいいM-4、モーダルでテンションの高いM-7、明るいボッサ調のM-8が印象に残った。

 M-2はブルース進行の能天気な明るさと、にもかかわらずあくまでいつもの自分のペースで危ない音を選んでバッキングしようとするコープランドとのギャップがおもしろい。バッキングだけでなくピアノソロまでも、「この曲でそのノリと音使いのソロを取るのか?」と聴き手の意表をつくコープランドがすごい。空間にポツリ、ポツリと音を置いて行く彼のタイム感はやっぱりオンリーワンだ。常に自分の相撲を取るコープランドはえらい。

 ドラマーのヨッケン・リュッカートは、いままで聴いた中ではたぶんベストプレイに近い。メリハリの効いたいいドラミングをしている。強弱のアクセントがはっきりしていて、スネアやタムのアタック感もスパンと決まり気持ちいい。この人はエリック・ハーランドみたいに沈み込むような重さはないし、むしろ対照的にあっさり淡白な軽量系ドラマーだ。だが俊敏さと軽快さ、細かく分割して行くリズムの解釈、メリハリ感で楽曲に生気をもたらしている。

 さて主役のザイツァーは本作の4年前にサードアルバム「Sketches」 (2000)で、ラリー・ゴールディングス(org)とピーター・バーンスタイン(g)、ビル・スチュワート(ds)という超マンハッタンなオルガントリオと共演しているが……まるっきりそのときと同じ人とは思えないアルバムになっている。あのNYCなサードアルバムとくらべ、本作ははっきりヨーロッパの音だ。翳りと愁いのあるしっとり落ち着いたこういう盤もいい。

「NYコンテンポラリーなジャズを中心に」なんて言いつつ最近めっきりドイツづいているが、いいものに国境やカテゴリーなんて関係ない。いいものはいいのだ。
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

非公開コメント

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。