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Ricardo Izquierdo / Ida

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Ricardo Izquierdo (ts, bcl)
Sergio Gruz (p)
Juan Sebastien Jimenez (b)
Mauro Gargano (b on 5,6,9)
Lukmil Perez(ds)

Recorded: November, 2012, at Studio Bopcity, FR
Engineer: Max Jesion (Plus Loin Music PL4572)

期待の超新星、M-BASE的サックス奏者の初リーダー作

 こんな刺激的なジャズはひさしぶりに聴いた。テーマなんてどこにもない。冒頭からいきなりインプロに突入し、ひたすらドス黒くダークで退廃的な世界が展開される。「ソフィスティケート」などという言葉とはまるで対極にある。ジャズがまだ危険な音楽だった時代の名残を残している。キューバ生まれのサックス奏者、リカルド・イスキエルドがリリースしたばかりの初リーダー作だ。

 明るさなど微塵もない。全編ヒリヒリするようなスリルと攻撃性がぎっしり詰まっている。ものすごく獰猛な野獣なんだけど、その獣性を外に出さず内に秘めてる、みたいなノリ。そんな彼が放つヤバイ感じがとてつもなく魅力的だ。チャレンジングなジャズである。

 1978年キューバ・マタンサス生まれ。ハバナのEscuela National de Artes(国立芸術学校)ではハービー・ハンコック、スティーヴ・コールマンらに師事した。2001年からパリで活動している。

 キューバ人ではあるが、まったくラテンに走ってない。フランス在住だが、まるでブルックリンの若手みたいに挑戦的な音を出す。耳に残る覚えやすいフレーズが (いい意味で) まったく出てこないのも特徴だ。そういう予定調和な要素を完全に排除した世界に彼はいるのだろう。

 リカルドの演奏を聴いていると、ナイフでばっさり肉体を斬られた断面を見せつけられているような気分になる。生々しく、ギラギラと脂ぎっている。呼吸が止まりそうになるテンションの高さ。 「何か」 が後ろから迫り来るようなドキドキ感でいっぱいだ。

 1曲を除きすべてオリジナルの合計10曲。変拍子を散りばめたM-BASS的な危ういグルーヴが展開する。テナーのイントロでのっそり始まる揺れるリズムのとぼけたM-1、急き立てるような11拍子でテナーが激しくブロウするM-2、ビンビンにテンションの利いたピアノソロが聴ける5拍子のM-4、目まぐるしくリズムが変わり途中4ビートで安息を得るM-7、複雑なベースのリフに煽られテナーが暴れるM-9あたりが印象に残った。

 そしてハイライトは最終曲である。ピアノのソロ演奏で静かに幕を閉じるアルバム構成がひどく意表をつく。サックス奏者のリーダー作なのに、最後の曲はピアノの独奏なのだ。しかも曲調が微妙に明るい。つまり手前の9曲目まで重く沈み込んだ救いのないダークな曲調で引っ張り、ラストで一転、スッと夜が明けるかのようにそれらを明るく打ち消す起承転結をつけている。作曲とアレンジの能力も相当なものだ。

 また大半の曲でソロを取るピアニストのセルジオ・グルツもただ者じゃない。暗闇の中を手さぐりでさ迷うような緊張感いっぱいのフレーズを連発する。アルゼンチン生まれで93年にパリへ拠点を移した彼は、リーダー作「Ensemble」(2004)が欧州ピアノトリオ・マニアの間で一時話題になった。本作参加ベーシストのジャン・セバスティアン・ヒメネスも当時のレコーディング・メンバーだ。またテナーのリカルドとは、自身のレギュラーカルテットでも共にプレイしている。

 この危険な香りを放つテナーとピアノの双頭カルテットは強烈だ。ああ、次回作が発売されたら絶対買うから早く出してほしい。お願いだ。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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