スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Sam Harris / Interludes

1

Sam Harris (p, syn)
Ben Van Gelder (as, b-cl)
Roman Filiu (as, fl)
Martin Nevin (b all except 8,7,12)
Ross Gallagher (b on 2,4,6,8,9,10,13)
Craig Weinrib (d)

Recorded: June 17, 2013, at Sear Sound Studios, NY
Engineer: Chris Allen (FSNT 435)

異色のピアニストが仕掛ける抽象絵画の世界

 個性派ピアニスト、サム・ハリスのデビュー作がFSNTから登場した。現代音楽やクラシック、環境音楽など種々の要素をミクスチャーした抽象絵画のような世界が広がる。参加メンバー、ベン・ヴァン・ゲルダー(as)の作風に近い。一見、敷居が高いが、ツボがわかればハマれる音だ。

 主役のハリスは、ルディ・ロイストンのリーダー作「303」(2014年、レヴュー記事はこちら)のM-8で弾いていたピアノソロが印象的だった。本作のコンセプトはロイストン盤とまったくちがうが、こちらはこちらで楽しめる。くり返し聴くと麻薬的な快感が脳にじんわり湧いてくる。

 全14曲すべてオリジナル。アルバムの最初から終わりまでゆったりしたテンポの似たような曲が並ぶが、明らかに狙ってやっていることだ。変化をつけようとして失敗し同じ感じになった、なんてのとはちがう。ならば本盤は、この「似たような感じ」を楽しむための作品だろう。

 ただしアルバム構成には疑問もある。M-1とM-2はいちばん単純で訴求力が弱いのに、なぜ「掴み」に当たる冒頭にもってきたのかわからない。M-1は「Prelude」とあるので徐々に盛り上げようという意図なのだろうが、アルバム冒頭でリスナーに「つまらない」と思われては後半を聴いてもらえなくなる。だが本作はM-3から俄然、おもしろくなるのだ。ヤマ場は後半にくるから注意してほしい。

 たとえばM-12は打ち込みのような一定の速いリズムをバックに、それとまったくちがうノリのゆったりしたピアノソロがモノローグのように続く。インプロと背景に流れるリズムとのギャップが非常におもしろい。一方、M-11は冒頭のピアノのリフレインが効いており、ソロも美メロで本作の中ではいちばんわかりやすい。

 またルバートのふんわりしたリズムに乗ってピアノとペースが絡まりながら静かに展開するM-3は、何かを語りかけてくるようなピアノのつぶやきが心地いい。一転して中近東っぽいリズミックな導入部のM-4は、本作では珍しく速いピアノソロを聴かせる。かと思えば再びリズムが失われ、M-5では大海原を漂うようなまったりしたグルーヴに乗りピアノが刺激的なインプロを繰り広げる。

 ほかにも手探りのようなピアノが神秘的なM-7、テーマが印象的でアルトのソロがいいM-10、現代音楽的な粛然としたピアノが聴けるM-14など、なかなか個性的で凝った楽曲が並んでいる。

 全体に余韻たっぷりで、マーク・コープランドヒューベルト・ヌッスのような音のない空間を生かしたインプロヴィゼーションが味わい深い。オーソドックスなジャズが好きな人にはおすすめしないが、ふたヒネリあるジャズが好みの人なら聴いてみる価値はあるだろう。

 ハリスはテキサス生まれ。当初クラシック・ピアノを学ぶがハイスクール時代にジャズと出会った。2004年にニューヨークへ出てマンハッタン音楽院へ。ジェイソン・モラン、ギャリー・ダイアル、ジョン・ライリーらに師事している。
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

非公開コメント

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。