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Walter Smith III / Still Casual

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Walter Smith III (ts)
Taylor Eigsti (p)
Matthew Stevens (g)
Harish Raghavan (b)
Kendrick Scott (ds)
Ambrose Akinmusire (tp on M-3,7,9)

Released: 2014. Recorded at Sear Sound, NY
Engineer: Chris Allen (自主制作盤)

スミス3世には「かっこいい」がよく似合う

「ウォルター・スミス3世はなかなか新譜を出さないなぁ」と思っていたら、やっときました。フタを開けてみれば1曲目からもうゴキゲン。かっこいいアレンジをばっちり決めたコンテンポラリー・ジャズの洪水である。共同名義を除けば4枚目のリーダー作になるが、コンポジションも含め自身のスタイルががっつり固まってきたようだ。

 メンバーは主役のスミス3世(ts)にマシュー・スティーヴンス(g)、リズムセクションはテイラー・アイグスティ(p)とハリシュ・ラジャン(b)、ケンドリック・スコット(ds)が務める。またアンブローズ・アキンムシーレ(tp)が3曲にゲスト参加している。

 まずメンバー別に見ると、ピアノのアイグスティは相変わらずキラキラした音色で正直好みじゃないが、かたやクリスチャン・スコット・バンドでレギュラー・ギタリストを務めるスティーヴンス(1982年生まれ)には目が止まった。彼は一時期恥ずかしいくらい完全にローゼンウィンケル化していたが、本作のプレイを聴く限りすっかりオリジナリティを備えて熟成されてきた。

 一方、リズム隊はサポートに徹しているが、そつのないプレイで不満はない。ベースのラジャンは初聴きかと思ったが調べてみるとけっこう聴いていた。よく弾むいいベースだ。今後は要チェックとしておこう。

 さて収録曲はスティーヴンスが1曲を持ち寄ったほか、すべてスミス3世のオリジナル全10曲だ。基本的にはクリスクロスからリリースされた前作 「III」 (2010) の延長線上にある音だが、アイグスティのピアノの音使いの関係でもう少し明るく華やかな仕上がりになっている。テーマやキメはたまに過去作で聴いたフレーズがちょいよぎるが、まあ愛嬌である。

 コンポジション的には前作 「III」 そのままなノリのM-1やM-3のほか、ゆらゆら漂うリズムアレンジが面白いM-2、アイグスティが華麗なピアノソロを決めるM-4、スミス3世が泣きのサックスを聴かせるバラードのM-5「Greene」(この曲は2012年に亡くなったジミー・グリーンの娘さんに捧げられている)など、どれも水準をクリアした良い出来だ。おそらくどんな好みの人が聴いても「いい」と言いそうな普遍性がある。この中庸感を持たせた曲作りがうまい。

 かたやプレイスタイルの方は、彼はクリス・ポッターのように「俺が俺が」とごりごり力でねじ伏せるようなタイプではない。だが、かといって逆にマーク・ターナーみたいに脱力し切ったトリスターノ系でもない。ちょうどその中間あたり(からポッター寄り)にうまくポジショニングされている。この絶妙な位置取り感が作曲同様、うまいと言うほかない。

 その結果、曲を聴いても「いい」し、プレイも「いい」。(しかも誰が聴いても)。そんな100点満点で常に80点の水準作を作り続けられる原動力になっている。誤解を恐れずに言えば飛び抜けた天才ではないが、後天的なトレーニングで身につけた(広い意味での)スキルに長けた人なのだろう。大いなる職人、スミス3世に乾杯である。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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