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Brice Winston / Child's Play

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Brice Winston (ts)
Mike Moreno (g)
David Virelles (p)
Joe Sanders (b)
Marcus Gilmore (ds)

Recorded: January 31, 2014, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Criss Cross 1374)

オリジナリティはないが演奏は悪くない

 一発目の音が出た瞬間、「あー、こりゃウィル・ヴィンソンの『Stockholm Syndrome』(2010年、レヴュー記事はこちら)だな」とすぐわかった。ベースとピアノのアレンジ、ギターのかぶせ方がそっくりなのだ。M-2のピアノソロもすごくいいが、同アルバムでのアーロン・パークスのプレイに劇似している。そんなわけでオリジナリティはないが、バンド全体の演奏の質は高い。クリスクロス・デビューとなったサックス奏者、ブライス・ウィンストンがリリースしたばかりのセカンド・リーダー作である。

 メンバーは売れっ子のマイク・モレノ(g)にダヴィ・ヴィレージェス(p)、リズム隊はジョー・サンダース(b)とマーカス・ギルモア(ds)という超豪華布陣だ。まさにNY最先端、余裕たっぷりのプレイが繰り広げられる。アルバム構成は主役ウィンストンのオリジナル5曲にウェイン・ショーターの「JUJU」と「FALL」、スタンダード1曲の合計8曲だ。

 さて本盤をカテゴライズするならば、冒頭にあげたウィル・ヴィンソンやラーゲ・ルンドあたりと同じ(いい意味で)冷たい寒色系の音である。いかにもNYコンテンポラリー最前線、みたいなコンセプトだが、ただし惜しむらくは本人がやりたくてそうしてるのでなく、売れセン狙いでやってるみたいな印象を受けてしまう。

 たとえばヴィンソンやルンドは自分をそのまま出して作品を作れば「ああなる」のだが、この人はそれを「マネして」やってるみたいな感じ (現にアレンジがそっくりだ)。また作曲面だけでなく、プレイも同じ。おそらく彼のサックスをブラインドで聴き、「ああ! あのブライスのサックスだよね、これ」とわかる人はいないだろう。一撃でリスナーの耳をからめ捕るような強烈な個性がないのだ。

 たとえば本盤を通して聴くと、この人のサックス・プレイはバラードで感情を熱く表に出すようなウォームなプレイのときのほうが自分のよさが出る。現に彼がいちばん本領を発揮しているのは (本作で唯一の暖色系である) スタンダードのM-7だ。

 なのに「いま風であること」を意識しすぎ、意図的にクールで現代的な曲を書いてプレイしようとしている感じがする。もっと自然にやればいいのにと思うが、自分はどんな役柄を「演じ」ればいいのか、自分で自分の立ち位置を決めかねているのだろうか。どうも「自分がない」感じがする。

 その点、逆にギターのモレノとピアノのヴィレージェスにはたっぷり出番があり、彼らはふんだんに自分を出している。2人はほとんどの曲でソロを取っており、モレノとヴィレージェスは本盤でその才能をはっきり証明したといえるだろう。

 モレノはどの曲のソロを聴いても本当にすばらしいし、以前からその才能に一目置いていたヴィレージェスに今回スポットライトが当たったのはうれしい。本作を聴いて魅了され、ヴィレージェスのフォロワーになる人も多いのではないだろうか。一方、リズム隊はサポートに徹しているが、ギルモアは局面によっては持ち前の凄みを見せる。特にM-3の終盤で見せるドラムソロ的なプレイは目茶かっこいい。逆にいえば豪華メンバーに主役がすっかり食われた一作である。

 ただしオリジナリティがないだけで曲はいいし、バンド全体の演奏も実にハイレベルだ。現代ジャズの先端を体験し、モレノとヴィレージェスのプレイを堪能するには格好の作品といえるだろう。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

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