Jochen Rueckert / We Make The Rules

1

Mark Turner (ts)
Lage Lund (g)
Matt Penman (b)
Jochen Rueckert (ds)

Recorded: February 10, 2014, at Acoustic Recording, NY
Engineer: Michael Broby (Whirlwind Records WR4658)

苦み走ったダークな迷宮世界

 目隠しをされて断崖絶壁の上を歩かされているようなスリルがある。次の展開がまったく読めない。このダークな世界に終わりはあるのか? ニューヨークを拠点に活動する売れっ子ドラマー、ヨッケン・リュッカートがリリースしたばかりの3枚目のリーダー作だ。

 覚えやすいメロディがまったく出てこない。漆黒の闇夜を疾走するかのようなモーダルな演奏が続く。少しくらいキャッチーな部分を作ってわかりやすくしてもよさそうなものだが、「わかる奴だけにわかればいい」というのがリュッカート流のようだ。苦み走った旨みの利いた全9曲、すべてオリジナルである。

 メンバーはマーク・ターナー(ts)にラーゲ・ルンド(g)、またマット・ペンマン(b)と主役のリュッカートがリズム隊を組む。前作「Somewhere Meeting Nobody」(2011年、レヴュー記事はこちら)でギタリストを務めたブラッド・シェピックが、今回ルンドに変わっただけの同じメンバー構成だ。

 前作のシェピックはかなり自分の色を出していたが、本盤のルンドはいつもの彼と音使いがちがう。何か未開の領域に挑戦しようとしているかのようなプレイをしている(おそらくアルバムカラーに合わせたのだろう)。そのため凍えるように冷たい普段の彼のトーンとはまた別の不思議な味がある。

 かたやマーク・ターナーはいつも通りだ。ひらひらと蝶が舞うように軽やかなプレイをしている。それにしても今年になって彼の参加作を聴くのはいったい何枚目だろう? 次から次へと出る新作には決まって彼のクレジットがある。いまやキャリアの頂点にいるのは明らかだ。

 一方、マット・ペンマンも相変わらず。弾けるようにブンブン躍動している。バンドをぐいぐい前に引っ張る彼の推進力には目を見張らされる。主役のリュッカートは軽いドラミングだが、リーダー作とあって手数が多い。かなり自分を主張している。

 前作は本盤とくらべアレンジ比率がやや高かったが、今回はインプロヴィゼーションがふんだんに聴ける。各人のインタープレイが作品のおもしろさを構築している。ただしどこまでが譜面に書かれた世界で、どこからがインプロなのか判然としない部分が多い。そのぶん予定調和がまったくなく、次はいったい何が飛び出すかハラハラさせられる。

 ひと口めは苦いが、慣れるとクセになる味だ。リュッカートはコンポーザーとしても一流のようである。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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