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Florent Nisse / Aux Mages

1

Chris Cheek (ts)
Jakob Bro (g)
Maxime Sanchez (p)
Florent Nisse (b)
Gautier Garrigue (ds)

Released: 2014. Recorded at Studio des Egreffins, FR
Engineer: André Charlier (Nome 002)

クリス・チークとヤコブ・ブロが演出する静寂の美学

 ヤコブ・ブロ(g)が繊細なタッチのアルペジオで生み出した空間を、クリス・チーク(ts)がゆったりと泳ぐ。まるで湖面に落ちた水滴が描く波紋を音にしたような、沈黙が支配する粛然とした世界だ。若手フランス人ベーシスト、フローレント・ニッセがリリースしたしばかりの初リーダー作である。

 ブロの爪弾く柔らかなギターの余韻があたりを包み込み、チークが決してオーバー・ブロウしないクールなタッチで彩を添えて行く。なみなみと注がれることのないワイングラスのように、ある一線を絶対に越えない抑制を利かせた演奏が続く。メロディの美しさが凛として際立ち、リスナーの絵心を捕えて離さない。

 2000年代の新しいジャズの地平を切り開いてきたチークと、独特の空間サウンドでユニークな世界観を提示してきたデンマークの妖星、ブロのツートップを前面に立てた。彼ら2人はブロのリーダー作で幾度となく共演している旧知の仲だ。リズムセクションも質の高いメンバーで固めているが、特にドラマーのGautier Garrigueはポール・モチアンの影響がうかがえ表現力にあふれる。ニッセのベースも抑えた演奏ながらクオリティが高い。

 ニッセのオリジナル7曲に加え、参加メンバーのサンチェスが3曲を持ち寄った。アンビエントな雰囲気を漂わせながらも、微かにメロディックな波動をたたえた不思議なたたずまいの楽曲群だ。一度聴いただけではピンとこないかもしれないが、くり返し何度も聴くうちじんわり効いてくる。まだ若いのになんとも渋いセンスである。

 静寂の美学を音にしたようなM-1や、テーマが美しくキャッチーなM-3、本盤としては珍しくリズミックに躍動するM-5がひときわ目を引く。ヤコブ・ブロのリーダー作をもっと具象化し、メロディーラインを補強したような静謐感のある作風だ。モチアン・バンドやブロの世界が好きな人にはおいしい1枚だろう。

 ニッセは1983年生まれ。2008年に国立高等音楽院(パリ音楽院)に合格し、リッカルド·デル·フラ率いるジャズクラスで学んだ。現在は本作のピアニスト、マキシム・サンチェスとともにユニット「Flash Pig」で活動する一方、FSNTレーベルではフランス人サックス奏者、フレデリック・ボレイの「The Option」(2012)にも参加している。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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