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Johnathan Blake / The Eleventh Hour

jb_t

Johnathan Blake (ds)
Jaleel Shaw (as, except 3,4,8,10)
Mark Turner (ts, except 5)
Kevin Hays (p, rhodes, except 1,5,6,10)
Ben Street (b)

Tom Harrell (tp, Flh on 3,5)
Gregoire Maret (Harmonica on 1,10)
Robert Glasper (p, rhodes on 1,5,10)
Tim Warfield (ts on 8)

Rec. April 2010, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Mike Marciano (Sunnyside SSC1304)

豪腕ドラマーが放つゴキゲンな快作

 ミンガス・ビッグ・バンドほか多くの参加作があるNYの若手ドラマー、ジョナサン・ブレイクが先月末にリリースしたばかりの初リーダー作だ。ダークなテーマをビシッと決めたゴキゲンな楽曲が多く、マーク・ターナー (ts) の全面参加も当たっている。一聴して「いい!」と感じさせるキャッチーなコンポジションが上手い。

 参加メンバーはターナーのほか、フロント陣にジャリール・ショウ (as)、2曲にトム・ハレル (tp) も配した豪華な布陣が目を引く。鍵盤はケヴィン・ヘイズをメインに、ロバート・グラスパーも3曲参加している。主役のブレイクとコンビを組むベーシストは、売れっ子のベン・ストリートだ。

 ブレイクのオリジナルが7曲、トム・ハレルとロバート・グラスパー作品が1曲づつ、その他1曲の合計10曲。4ビートはもちろん16っぽいR&B的な要素も盛り込むなど、ブラックミュージックをルーツにしながらラテン調のノリの曲もありバラエティに富む。ただし「いろんなことをやりました」的な散漫な感じは全くない。アルバムを通しどの曲にも特有のダークなトーンが漂っており、全体にしっかり統一感がある。

力押しするだけでなく引くこともできる

 ジョナサン・ブレイクのプレイを初めて聴いたのは、ジャリール・ショウの初リーダー作「Perspective」 (2005年、レヴュー記事はこちら)だった。そのときは「(個性的ではあるが)力みすぎ、バタバタしていて好みじゃない」と感じた。

 しかしそれは杞憂にすぎなかった。その後、同じく彼の参加作であるアレックス・シピアギンの 「Mirrors」 (2002)、ジャリール・ショウ 「Optimism」 (2008年、レヴュー記事はこちら) を聴き、印象がガラリと変わった。そして、その大幅な上方修正は本作で決定的になった。文句のつけようがないすばらしいプレイだ。

 彼はラルフ・ピーターソン~ジェフ・ワッツ系列のストロングタイプなドラマーだが、力押しするだけでなく引くこともできる。いやむしろピーターソンやワッツとくらべ、より繊細方向でデリケートな細かいプレイもできる。もちろん逆にパンチの効いた楽曲では、持ち前の爆発力がドカンと炸裂し実に爽快である。

 一方、本作は共演陣の活躍も見逃せない。ガッツのあるショウのアルトと、対照的に飄々としたプレイをするマーク・ターナー節を聴けるのが楽しい。2曲参加しているグレゴア・マレのハーモニカもいい雰囲気を出している。

 またアコピとローズを操るケヴィン・ヘイズも、ガツンと一発かましたプレイをしている(特にM-2)。清廉でリリカルな自身のリーダー作とちがい、アグレッシヴなプレイもできる力強さを見せつけた。この種の気合いを感じさせるヘイズを聴くのは、クリス・ポッターのライブ盤 「Lift」 (2004)以来のような気がする。

 楽曲はだいたい5~6分以上、なかには8分の長尺も2曲あるが、どの曲もすんなり聴けて「えっ、もう終わりなの?」てな感がある。沈思黙考しないとよさがわからない捻った作風でなく、ストレートで聴き手を飽きさせない。なかでも聴き物はターナーとショウの激しい掛け合いがあるM-9のほか、M-2、M-5、M-6あたり。理屈ぬきで楽しめる1枚だ。

(追記) 2012.3/14付

 アルバムタイトルの「The Eleventh Hour」とは、「瀬戸際」、「ぎりぎり」、「最後の瞬間」みたいな意味だ。今回のブレイクのデビュー作は、2010年4月にすでに録音が終わっていた。だがその音源をアルバム化する制作費用がなく、資金調達互助サイト「IndieGoGo」でカンパを呼びかけ、やっとお金を集めてリリースされたといういわくつきだ。アルバムタイトルの「瀬戸際で」というのは、それを意味しているのかもしれない。(このへんの裏事情についてはブログ「灼熱怒風 シーズン2」さんの記事が詳しい)

 しかしもしそうだとすれば、CDのアルバムジャケットに時計の写真まで使い、「いやぁ、今回はギリギリだったぜ!」とピンチの状況をユーモアで笑い飛ばすのだからブレイクは太っ腹だ。(彼の腹は実際にでかい)
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

はじめまして、、

Grass_hopper さま、、

トラバ&コメントありがとうございました。
こちらからも、トラバいたしました。

わたしは、このアルバム1聴で気に入ってしまいました。
ドラマーがつくったアルバムですから、ドラムがアグレッシブに活躍していることはもちろん重要だと思いますが、メンバーみんなの演奏とてもよくて、バランスのとれたアルバムだと思いました。

個人的に、ハーモニカが気に入って,新譜でるタイミングだったので、予約してました。

今後もよろしくお願いいたします。

Suzuckさん、はじめまして。

TBとコメント、ありがとうございます。

私もこれ、一聴するなり即、発注しました。
参加メンバー全員が熱いですよね。
曲も平均して波がなく全ていいですし、
彼はとてもいいデビューをしたなと感じました。

こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。

こんばんは

Grass_hopperさん
こんばんは
一度生で聴いて観て、ジョナサンのファンになりました
昨年9月、本人から基金参加者だけでなく一般へもリリースすると聴いて
ずっーと待っておりました
ピアノレスでやるのかな?思っていたので、逆にピアノ二人がいい演奏で
盛り上げてますね
こちらからもTBさせてください

こちらからもTBさせていただきます

ブレイクはいろんなバンドで場数を踏んでいるだけあって、どんな音楽にも対応できる柔軟性を身につけてますね。
本作でも曲調に応じたメリハリのあるドラミングが素晴らしかったし、決して頭でっかちにはなっていない曲作り自体にも好感が持てました。
また他のメンバーも最高の仕事をしてますね。
特に復帰間もないターナーのプレイは、他のどのアルバムよりも良く感じました。
でもファーストアルバムでこれだけ良いのを作ってしまうと、2枚目以降はきっと大変じゃないかな。
まあその辺はメンバーを変えることによってどうにでもなるでしょうけどね。
いずれにしても早く次回作も聴いてみたいという気にさせてくれます。

ピアノがダブルでいいですね。

HamaVenturiniさん、こんばんは。

トラバとコメント、ありがとうございます。
ピアノに関しては、グラスパーはともかくヘイズは少し意外でしたが、
でもヘイズって個人的に思い入れのあるプレイヤーでして、
本作でもすごくいいプレイをしているのでうれしくなりました。
グラスパーの方はヘイズより大人しい印象ですが、でもメロウでいいですね。

七色のスタイル、多彩ですね。

naryさん、こんばんは。

ブレイクの多彩さには、
ジャリール・ショウ の「Optimism」(2008)を聴いた時点ですでに驚いていたのですが……、
でもそのときは「『Perspective』(2005)の当時より、成長したんだな」と考えていました。

ですが、ふと、
「あれ? そういえば2002年リリースのアレックス・シピアギン『Mirrors』でも叩いていたな」
と思い出し、「Mirrors」を取り出して聴き直してみたらなんのことはない。

初めて聴いた「Perspective」より3年も前の、2002年にリリースされた「Mirrors」の時点から、
彼はすでに多彩なドラミングをしていたんだと気づきました。己の節穴を哂うばかりです。

彼は作曲能力もかなりありますし、
名前の通り、リーダー作もブレイクすると思います。
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