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Marc Copland / Another Place

mc_a

Marc Copland (p)
John Abercrombie (g)
Drew Gress (b)
Billy Hart (ds)

Rec. July, 2007, at Pirouet Studios, Munich
Engineer: Jason Seizer (Pirouet PIT3031)

アバクロのリーダー作とまちがえそうなある種の迷盤

 ドラマーのビリー・ハートのプレイがひどくて痛い目に遭った Contact名義の「 Five on One 」 (2010年、レヴュー記事はこちら) の姉妹盤みたいな本作が、はるばるドイツからやっと届いた。

 いや別に「今度もどれだけひどいか見てやろう」などと考えて仕入れたわけじゃない。両盤ともほぼ同時に別ルートで発注していたため、届くのにタイムラグができただけだ。たまたま前者が早く着いたのである。

 前者はドラマーのビリー・ハートが不安定で走ったりもたったりを繰り返し、とても聴く気になれなかった。だが一方の本作も、前者の盤からテナーのデイヴ・リーブマンが抜けただけ。あとはまったく同じメンバーなので恐れていたが、結論からいえば前者よりはマシだった。

 いや正確にいうなら、Pirouet盤ならではの異常な録音レベルの低さのおかげで、幸いにもドラムが「よく聴こえない」のが理由のひとつ。もうひとつは参加メンバーが5人から4人に減り、1人1人がプレイする空間が広がったためだ。

 前者の盤はまさに「満員電車状態」だった。サックス、ギター、ピアノの3者がたがいにスペースを殺し合い、ただでさえ音が未整理なところにドラマーが不安定で聴きづらかった。

 だってサックスがソロを取ってる最中に、ギターが単弦弾きでフレーズをサックスソロに絡めながら差し挟み、その上にピアノがコードを弾いたりしているのだ。そんな混雑ぶりに加え、ドラマーが突っ込んだりもたったり、果ては「ドシャッ」と崩れたリズムで致命的なおかずを入れたりするもんだから「助けてくれ」といいたくなった。

 だが本作はソリストの人数がピアノとギターの2人に減ったぶん、ピアノがソロを取ったら一方のギターはバッキング(または全く弾かない)、あるいはギターがソロを取ったら今度はその逆、というふうに役割分担が明確になり、音がかなり整理された。実際、このアルバムではコープランドがソロを取ると、アバクロはコードすら入れずそもそもギターを弾かないようにしている。

 加えてサックスがいないぶんスペースができ、コープランドならではの余韻を生かしたプレイが聴けるようになったのも大きい。ただしあくまであっちの盤よりマシになったという話であり、ドラムの不安定さは相変わらずだが。

 さて聴きやすくなった理由をまとめよう。まず異常な音圧の低さでドラムの音が物理的に「聴こえにくい」のが逆に幸いしたことがひとつ。第二にソリストの人数が減り、役割分担がはっきりしたこと。第三にプレーヤーが減ったぶんスペースができ、リスナーに音の余韻を聴く空間的な余裕ができたのも大きい。第四は同じ理由で、コープランドならではの余韻と間(ま)を生かしたプレイスタイルを使いやすくなったことだ。

 コープランドがソロを取るとき、アバクロがギターを弾くのを全くやめれば、実質ピアノトリオなのだから当然である。

 その埋め合わせ(笑)かどうかは知らないが、コープランドのリーダー作だというのに妙にアバクロがソロを弾く機会がふんだんに用意されており、その意味では主役のバッキングを聴かされるコープランド・ファンとしては「不満だ」という、別の新たな問題が発生しているかもしれないが。(まあこれは好みの問題だから音楽的にはどうでもいい話だ)

 最後になったが、本作もあっちの「問題作」同様、参加メンバーが曲を持ち寄っている。コープランドが2曲、アバクロが3曲、ベースのドリュー・グレスが1曲、C.Porter 「Everything I Love」 の合計7曲だ。

 総評としては、ちょっとECMっぽいきれい系の音が好きならまあいいかも? アバクロのファンなら買うのは自由(笑)、コープランド・ファンだったら自主投票だろう。どう考えてもあのContact 「 Five on One 」より聴きやすいし、苦痛は少ない。

 え? お前自身の個人的な採点はどうかって? いや今後、ビリー・ハートの参加作は絶対買わないことだけは確実です、はい。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

No title

リンクありがとうございました。
わたしの方からも、リンクさせていただきました。
末永く、仲良くしてください。

と、、、
アバクロは好きなのですが、、
>Bi○○y Ha○t
個人的には、注文前にわかっているときは、、まず、手を出しません。。
E○Mからでますでしょう?
うむ。。。

Suzuckさん、こんばんは。

こちらこそ。

「あれ」は、昨日出たばかりですかね?(笑)

やはりCoplandはトリオ以下のセッティングがいいですね。

おはようございます。私はCoplandのアルバムはできるだけ買うようにしていますが,今はトリオ以下のセッティングしか買わないようにしています。例えばBreckerと共演しても,違和感はぬぐえませんし,ソロやトリオでやっているときの痺れるような感覚を与えてくれることがないからです。

本作もAbercrombieの作品みたいに聞こえてしまって,う~むって感じなんですよねぇ。ということで,古い記事ですが,URLを貼り付けさせて頂きます(TBは入りませんから...)。

http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2008/06/marc_coplandjoh_773b.html

また,貴ブログを当方ブログにリンクさせて頂きましたので,ご確認下さい。

やっぱりいいのはトリオ以下ですよねぇ

中年音楽狂さん、こんにちは。

おっしゃる通り、コープランドってやっぱりいいのはトリオ以下ですよねぇ。
リンクの件、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

こちらからもTBさせていただきます

コープランドはマーク・コーエンと名乗っていたJazz Cityの時代からけっこう聴いてますが、わたし的にはやっぱりドラム入りの作品の方が好きです。
とはいえビリー・ハートやヴィクター・ルイスのような古いタイプのドラマーは、相性的にもテクニック的にもイマイチだと思ってますけどね。
本作にもそれが顕著に表れてましたが、ハートが重い病気を患っていて、調子がいいときと悪いときがあるという情報を得てからは、そういうドラミングに対してもだいぶ点数が甘くなりました。
それにしても「Marc Copland/Stompin' With Savoy」ではデニス・チェンバースと共演していたことが、現在のコープランドの音楽性からすると信じられないです。

トラバ&コメント、ありがとうございます。

naryさん、こんばんは。

>わたし的にはやっぱりドラム入りの作品の方が好きです。

はい、それは私もそうですね。コープランドは、ピアノトリオが個人的にはいちばん好きです。
ただ、そうした個人的な主観を抜きにして言えば、
客観的には、コープランドはデュオやソロでも力を発揮している、と言えると思います。
(ただ繰り返しになりますが、個人的に、好き嫌いを主観でいえば、トリオの方が好きです)

>ハートが重い病気を患っていて、調子がいいときと悪いときがあるという情報を得てからは、
>そういうドラミングに対してもだいぶ点数が甘くなりました。

あらら、彼は病気だったのですか。それは知りませんでした……。

実はコンタクト名義のアルバムのレヴューの方は、もっとはるかに辛辣な書き方をしていました。
(「このドラマーはプロなのか?」とか、「AKBがドラムを叩いているのかと思った」とか)
ですが、「ちょっと本音を率直に書きすぎだな」と思い直し、何度も書き直しては、
文章が何段階にも変わって行きました。
実は、最終形がいちばん穏やかな表現だったりします(^^;
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Marc Copland/Another Place(I)

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