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Rez Abbasi Acoustic Quartet / Intents And Purposes

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Rez Abbasi (steel string, fretless & baritone acoustic guitars)
Bill Ware (vib)
Stephan Crump (b)
Eric McPherson (ds)

Recorded: April 24-25, 2014, at Systems Two Recording Studios, NY
Engineer: Michael Marciano (Enja Records ENJ-9621 2)

【収録曲】

1. Black Market (Joe Zawinul)
2. Butterfly (Herbie Hancock)
3. Joyous Lake (Pat Martino)
4. Medieval Overture (Chick Corea)
5. Resolution (John McLaughlin)
6. Red Barron (Billy Cobham)
7. Low-Lee-Tah (Larry Coryell)
8. There Comes A Time (Tony Williams)

70年代ジャズ・ロックの名曲をアコースティック編成でカバー

 パキスタン出身の個性派ギタリスト、レズ・アバシの新作が登場した。今回はウェザーリポートやリターン・トゥ・フォーエヴァーなど、70年代の懐かしいジャズ・ロックの名曲を完全アコースティック編成で聴かせる趣向だ。

「あれ? ブラック・マーケットってこんなにいい曲だったかな?」

 いきなり1曲目でハッとさせられる。まるで艶やかな大輪の花がパッと咲き開いたかのように明るい。70年代の曲をリメイクしてる古めかしさなどまるでなく、まったく新しい 「何か」 を創造している喜びにあふれている。この曲のメロディーラインをアコースティック・ギターで弾くという発想が新鮮だし、それに絡むヴァイヴも透明感にあふれ非常に効果的だ。これはすごいアルバムになるぞ、という予感がする。

 次の曲もおなじみ、ハンコックの 「Butterfly」 だ。冒頭の聴き慣れたミステリアスなメロディーが聴こえた瞬間、思わずニヤリとさせられる。特に原曲を大幅にアレンジしている感じはないが、楽器の構成が違うせいか、これまた古さはみじんも感じさせない。テーマが終わり、ギターソロに入る瞬間なんてもう緊張感いっぱいでゾクゾクもんだ。

 続いてリズミックな冒頭がスリリングなM-3は、ひたすらギターのインプロヴィゼーションで聴かせる曲。ぐりぐりごりごり、あのテこのテのソロが続き、これはこれでまたおもしろい。すごいテクニックだなぁ、と感心させられる。

 ところが後半になるとその求心力が衰え、とたんに失速してしまう。

 M-4以降の後半は突然照明が落ちたかのように、すっかり 「どよよーん」 としてしまう。弾けるように明るかった1曲目の効果を完全に打ち消すかのように、70年代という時代性を反映した救いようのない 「暗さ」 が頭をもたげる。こねくり回したように鬱屈した古式ゆかしい世界に変わってしまう。 「ごくあたり前に当時の時代なりの演奏をしました」 的な、ひねりのないテイストに堕している。

 もし、このアルバム前半と後半の真逆のコントラストをアバシが 「狙ってやっている」 のだとすれば、それはそれで一聴の価値があるのかもしれない。 (後半のような70年代っぽい演奏を聴きたい人もいるのだろう)

 だが意図せずこういう選曲と曲順、演奏内容になったのなら、とても惜しい気がする。せっかく 「完全アコースティック編成でカバーする」 というひねりを入れているのに、肝心の演奏内容が 「70年代の曲を選び、70年代らしくジメジメと演奏しました」 というのではあまりにも真っ直ぐすぎて面白みがない。

 そうじゃなく、1曲目と2曲目の花が咲いたように明るいイメージをもっと引っ張っていれば……。アルバム後半にも、もっと陽性のキャッチーな曲 (と演奏内容) を選び、全編ハッピーなアルバムにでも仕上げていれば 「70年代を底抜けに明るく演奏する」 というひねりが効き、画期的ですごい傑作になったような気がする。なんというかコンセプト・ワークに失敗した感じだ。

 それだけ1曲目の 「ブラック・マーケット」 のデキがあまりにも飛び抜けてよく、 「1曲目を聴くためだけに買っても損はない」 といいたい衝動にかられはするのだが……。

 なお特筆すべきは音質のよさだ。エンジニアを務めた名匠マイケル・マルシアーノの底力を見せつけるかのようにすばらしい。透き通るような透明感と解像度があり、特にアコギとヴァイヴの質感が生々しい。まるで目の前で鳴っているかのようなリアリティがある。できるだけグレードの高いオーディオ機器で再生させるとかなり楽しめそうだ。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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