スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Jacob Sacks Quintet / No Man's Land

1

Jacob Sacks (p)
Andrew Bishop (cl, ts)
John Wojciechowski (ts)
Tim Flood (b)
Dan Weiss (ds)

Recorded: 2001, at Tedesco Studios, NJ
Engineer: Jon Rosenberg (Yeah Yeah Records YY0007)

ピアノの妖しいゆらぎに 「カチッ」 と頭のスイッチが入る

 オープニングの呆けたようなクラリネットが鳴った瞬間、「カチッ」 と頭のスイッチが入る。ひさしぶりに 「これがトンガったジャズだ」 というやつに出会えた。やっぱりサックス-ワイス組はやってくれる。ブルックリンを根城にする妖刀ピアニスト、ジェイコブ・サックスの最新作。現代音楽っぽいジャズにちょっぴりフリーをまぶしたような食感がピリピリくる。好きなヤツは好きだがダメな人は洟も引っかけない、わがままなジャズである。

 本作は単独名義としては 「Two Miles A Day」 (2007年) 以来、8年ぶりのリーダー作になる。メンバーは全員、ジェイコブのデビュー作 「Region」 (1999年) に参加していた面々だ。フロントが96年モンクコンペ3位入賞のジョン・ヴォイチェホフスキ(ts)と、アンドリュー・ビショップ(cl, ts)。リズムセクションはティム・フラッド(b)と、ダン・ワイス(ds)である。

 すべてジェイコブのオリジナルで合計8曲。ふたを開けると1曲目からアヴァンギャルドな地平が開ける。いきなりジェイコブが、「この人はタイム感がおかしいんじゃないか?」 的な妖しいピアノソロを見舞う。夢幻の世界に迷い込んだようなふわふわと足が地に着かない旋律の心地よさ。続くクラリネットのソロもふつうじゃない。まるで魂を抜かれた亡者が夜の街を彷徨うかのよう。この1曲目を聴いただけで、リスナーが彼の世界にシンクロできるかどうかがハッキリわかる。リトマス試験紙みたいな曲である。

 一方、M-5は、何拍子だかわからない不思議なノリのステキなナンバーだ。深々とした静かな幕開けから明るく盛り上がり、冒険的なピアノソロが聴き手の頭をシャッフルする。眠っていたリスナーのクリエイティヴィティが刺激される。二番手を務めるテナーのソロも最後に激しく炸裂し、大団円を迎える。

 続くM-6は室内楽のように静かでクラシックっぽい趣きだ。シンバル以外はほぼドラムレスで、これも聴く人を選びそう。テナーとピアノの粛然としたデュエットに途中からペースが入り、寄せては返す小波が次第に大きくなって行く。6分以上ある曲だが、張り詰めたテンションの高さに思わず聴き入りあっという間に終わってしまう。M-1、M-5と並び、本作のベストトラックのひとつだろう。

 このほかベースソロから始まる痺れるような美しいバラードのM-2、ルバートの不穏な導入部にゾクゾクさせられるM-3、次々に被ってくる複数のサックスが不気味に響くM-4あたりが印象に残った。最後を締めるM-8はアルバムカラーとは打って変わって強いビートのある曲で、まるで子供が悪戯するような演奏が続いて終わる。

 このアルバムは当然のようにすべての曲がジェイコブのオリジナルだが、作曲まで含めて自分を最大限表現しようとの強い意欲を感じさせる。彼がありふれたスタンダードをふつうに演奏するなんて、まったく悪い冗談だ。そんなジェイコブ・サックスという自分を曲げないアーチストの生き方に強く共感を覚える。

スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

非公開コメント

プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。