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Jesse Van Ruller / Phantom -The Music of Joe Henderson

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Jesse Van Ruller (g)
Clemens Van Der Feen (b)
Joost Van Schaik (ds)

Recorded: November 18, 2014, at Electric Monkey Studio, Amsterdam
Engineer: Kasper Frenkel (55 records FNCJ-5560)

【収録曲】

1. Jinrikisha (Page One)
2. A Shade of Jade (Mode for Joe)
3. Black Narcissus (Power to The People)
4. Punjab (In 'n Out)
5. Isotope (Inner Urge)
6. La Mesha (Page One)
7. Tetragon (Tetragon)
8. Serenity (In 'n Out)
9. Inner Urge (Inner Urge)

ギター・トリオで贈るジョー・ヘンダーソンへのトリビュート作品

 オランダ出身のギタリスト、ジェシ・ヴァン・ルーラーの今度の新作は、あの偉大なサックス奏者ジョー・ヘンダーソン (2001年没) に捧げるアルバムだ。なんでもジェシが温めていた企画だそうで、選り抜かれた楽曲は全9曲。いずれもジョーヘンの名盤である 「Page One」 (1963年) や 「In 'n Out」 (1964年)、「Inner Urge」 (同)、「Mode for Joe」 (1966年) あたりのおいしい時代からピックアップされている。

 ジェシが今回、ギター、ベース、ドラムスによるトリオ編成で臨むのは、2004年のライヴ盤 「Live at Murphy’s Law」 以来11年ぶりになる。もっとトリオでやっていそうだから意外な感じだが、ファンにとっては彼のプレイがたっぷり聴けるギター・トリオは望むところだろう。今回のメンバーにはクレメンス・ヴァン・デル・フィーン(b)、ヨースト・ヴァン・サイク(ds)というオランダの若手2人を従えている。

 個人的には、ジェシのベスト盤はクリスクロスからリリースされたオリジナル曲中心のオルガンジャズ 「Circles」 (2002年、レヴュー記事はこちら) や 「Views」 (2006年) あたりだと認識している。本作にはこれらの作品のような共演者の高い演奏力や、メンバーとのスリリングなやり取りはないものの、何か俗世の煩悩を突き抜けてしまったかのような1人のアーチストの達観した円熟味を感じさせる。

 また、なによりジョーヘン作品をジェシのギターで聴けるという替え難い魅力もある。ジェシ、ジョーヘン、どちらのファンにとってもいい贈り物だろう。ちなみに収録曲9曲のうち8曲はジョーヘンのオリジナルだが、1曲だけケニー・ドーハム作の 「La Mesha」 が含まれている。これはアルバム 「Page One」 に収められていた曲である。

 さて、本作をアルバム冒頭から順に聴いて行くと、まず耳に留まるのはM-1の 「Jinrikisha」 だ。イントロのゆったりしたコードワークから4ビートに突入して行くが、相変わらず正確無比な超絶ピッキングに驚かされる。とはいえ彼の場合は単にアクロバチックな技術を見せつけるだけでなく、そこに込められた想いまでが伝わってきて心がなごむ。決してテクニックだけをひけらかす 「サーカス」 に終わることなく、人生の機微に光を当てる小説か何かを読み聞かせられているような気分にさせてくれる。

 もちろん1曲目に限った話ではない。物憂く爪弾かれるギターに情感が詰まった気だるいバラードのM-3や、さりげないピッキングのひとつひとつにセンスが匂う美メロのM-6にも共通している。その繊細でやわらかな指使いと美しい旋律につい、うっとり眠ってしまいそうになる。毎晩こんなバラードで夢を見られたら最高だろう。

 とはいえジェシの本領はむろん、バラードだけに止まらない。たとえばM-2の速射砲のように繰り出される目にも止まらぬテクニカルなプレイや、ブルージーな音使いで熱く魂を訴えかけるノリのいいM-5、有名なメロディーに乗って畳みかけるような攻撃性を見せるM-8、M-9あたりを聴くと、ハイレベルな技巧とそれを裏打ちするハートが高い次元で融合していることが伝わってくる。

 さてこれを聴きながら、今夜はどんな夢を見ようか。とうぶん楽しめそうである。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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