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Soren Dahl jeppesen / Pipe Dreams

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Soren Dahl jeppesen (g)
Oskar Gudjonsson (sax)
Simon Toldam (p)
Klaus Norgaard (b)
Jakob Hoyer (ds)

Recorded: January 3-5, 2013, Copenhagen
Engineer: Aske Bode (Dog Day Music DDM003)

墨絵のように淡くせつない美しさ

 静かな湖面に水滴がしたたり落ち、その波紋がゆっくり水面に広がって行く。そんな粛然とした自然の風景を音にすればこういうジャズになるのだろう。コペンハーゲンを拠点に活動するデンマークのギタリスト、ソーレン・ダール・イエッペセンが描く幽玄の世界。2013年にリリースされたサード・アルバムに当たる最新作だ。

 残響を生かし、空間の広がりを感じさせる音が満ちてくる。目を瞑って聴くと地球の鼓動を感じ、スピリチュアルな想念が湧き上がる――。初リーダー作 「Route One」 (2010)、セカンド盤 「Red Sky」 (2011) とも共通するテイストだ。煙のようにたなびく音の響きや、ふんわり大らかなリズムが心地いい。まるで墨絵の世界のように枯淡で美しい。

 すべてイエッペセンのオリジナルで合計11曲。ほとんどドラムレスのようなまったりした曲が続く。特にメロディアスで哀感が漂うオープニングのM-1と、サッド・コアを思わせるピアノが味わい深いM-3がダントツでいい。ほかには、本作では珍しくリズミックなM-2や、アコギのアルペジオをバックにゆるいサックスが泳ぐM-5とM-7、ちょっと民族音楽風の美しいピアノで始まるM-6、ふんわりリバーブのかかったギターソロを聴かせるM-8あたりが印象的だ。

 サックスはもろにクリス・チーク風。主役のイエッペセンも 「俺が俺が」 と熱くギターソロを弾きまくる、なんて場面は一切出てこない。個人技でなくバンド全体のアンサンブルを重視したコンポジションである。もちろんソロも一部登場するが、あくまでも 「従」 であり楽曲のパーツにすぎない。このへんはアメリカ的なジャズの概念とかなりちがう。全員が決して強奏せず、デリケートに柔らかく、弱々しく、消え入りそうに――。そんな儚い夢幻の世界が展開される。

 イエッペセンはデビュー作で同じデンマークの空間系ギタリスト、ヤコブ・ブロとも共演しているが、なるほど2人の音楽性は近い。霞のように立ち込める音の響きや、ドラムレスっぽいゆったりしたリズムが同じ世界観を共有している。

 ただしブロはメロディーが抽象的で、そのぶんリスナーを思索に耽らせるようなところがある。それにくらべイエッペセンはもっと具象的でメロディーラインがはっきりしている。その意味ではイエッペセンは、同じく彼と共演歴があるデンマークのサックス奏者、クリスチャン・ヴースト (レヴュー記事はこちら) にも近い。どちらも癒し系でメロディアス。物静かなダウナー系の音である。ただヴーストの方がはるかにポップで、適度な抽象性があるイエッペセンのような奥深さはない。

 ヤコブ・ブロ、クリスチャン・ヴーストと聞いてピンときたなら、本作を試してみる価値はある。特に 「ブロは抽象的でわかりにくいが、ヴーストは逆にポップすぎてちょっと……」 という人には、本盤はどストライクだろう。きっとあなたが心を預けて浸れる世界が待っているはずだ。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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