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Mark Guiliana Jazz Quartet / Family First

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Mark Guiliana (ds)
Chris Morrissey (b)
Shai Maestro (p)
Jason Rigby (ts)

Recorded: January 2015, at The Bunker Studio, NY
Engineer: John Davis (Agate/Inpartmaint AGIP-3559)

ジャズとロックをミクスチャーしたナチュラルな肌触り

 効果音やボイス・電子音みたいな混ぜ物は一切なし。自然な生音オンリーがあふれ出すナチュラルな肌触り。ジャズとロックを掛け合わせたミクスチャー・ポストロックが心地いい。音楽ジャンルの垣根を越えた若手人気ドラマー、マーク・ジュリアナがリリースしたばかりの最新アルバムだ。

 マーク・ジュリアナと聞いて 「引く」 ジャズ・ファンは多いだろう。いや、その気持ちはよくわかります。なんせ彼ったらブラッド・メルドーとの 「Mehliana: Taming the Dragon」 (2014年) だの、ピコピコ音満載のリーダー作 「My Life Starts Now」 (同) みたいな粗大ゴミ、いやゴホゴホっ、ビート・ミュージックを大量生産してるからだ。

「だから若手は嫌なんだよ」、「ミクスチャー○○なんて糞食らえだ」。いや、お怒りはごもっとも。ですが、ちょっと待って下さい。今回のはまったくちがいます。そのセリフはこの自然なサウンドを聴いてからにしてください――。

 てなわけでおすすめの新作である。マーク・ジュリアナの一連の作品は上記の通り、私のいちばん苦手な 「ゲテモノ」 系なので要注意物件だ。だが本作は出てすぐ試聴し、えらく素直な音だったので一発で気に入った。おまけに大好物のクリス・モリッシー入りだったので即買いである。

わかる人だけにわかる垂涎のメンツを揃えた

 メンバーは、シャイ・マエストロ(p)にジェイソン・リグビー(ts)、クリス・モリッシー(b)と、わかる人だけにわかる垂涎のメンツだ。まずシャイ・マエストロはベーシストのアヴィシャイ・コーエンが発掘し惚れ込んで離さなかった若手ピアニストである。今回の主役ジュリアナも同じくコーエンと2003年から活動していたこともあり、ジュリアナとマエストロはコーエン作品 「Gently Disturbed」 (2008年) で共演している。

 興味深いことにマエストロのピアノ・プレイは、コーエン作品より心なしかのびのびしている。特にM-2のホンキートンクなとぼけたソロやM-10の黒っぽく跳ねるR&B的なプレイを聴くと、「ええっ。あなた、そんなプレイができたの?」 って感じ。やっぱ見上げるような存在のコーエン御大に監視されてりゃ、縮こまるよねぇ。わかるわかる。それよかジュリアナたちのほうが若い世代で感性も近く、やりやすいのだろう。

 さて、お次は屈折系サックス奏者、ジェイソン・リグビーである。彼は暗黒のクセ者ギタリスト、マイク・バジェッタと行動をともにしているマイナー系サックス奏者だ。リーダー作は 「The Sage」 (2008年)、「Translucent Space」 (2006年) がある。オーネット・コールマンとウェイン・ショーターから影響を受けており、ご多分にもれずリーダー作はトンガっております。聴くのにちょっと勇気がいるが、慣れるとかなり気持ちよくなれる。おすすめです。

 最後に我がクリス・モリッシーは、ジャズとロックをミクスチャーした傑作アルバム 「North Hero」 (2013年、レヴュー記事はこちら) と、「The Morning World」 (2009年、レヴュー記事はこちら) をリリースしている。才能豊かな気鋭の若手メロディメイカー&ベーシストだ。変拍子や4ビート、8ビートを散りばめて、ナチュラルな生音だけで聴かせるのびのびした音が気持ちいい。ちなみに前者の最新作 「North Hero」 にはマーク・ジュリアナも参加し、モリッシーとリズムセクションを組んでいる。

 てなわけで、こう並べると音楽的な共通点がまったくない4人である。しかしこのマッチングにより出てきた音は、なんとまあ無農薬野菜みたいに自然で伸びやかな音だった。というか、ほとんど前述したクリス・モリッシーのリーダー作そのまんまのサウンドなんで、詳しくは上記のレヴュー記事をお読みください。(おい)

モリッシー作品より都会的でおしゃれなテイストだ

 本盤には、ジュリアナのオリジナル8曲が収録されている。加えてボブ・マーリーの奥さんであるリタ・マーリーが作曲し、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのアルバム 「Rastaman Vibration」 (1976年) に収録されていた 「Johnny Was」、さらには日本盤のみのボーナストラックとしてRufus Wainwrightの 「Beautiful Child」をあわせ合計10曲が入っている。

 本作の名義 「Mark Guiliana Jazz Quartet」 は、彼のアコースティック系・新プロジェクトである。今後、このプロジェクトでの活動も平行して続けて行くのだろう。個人的には彼の従来の路線より、今回の新機軸のほうが断然興味がある。要チェックだ。

 ではなぜ彼は新プロジェクトを作ったのか? ちょっと説明しておこう。まずまちがいなくマーク・ジュリアナは、上にあげたモリッシーの最新作 「North Hero」 に参加して 「ほう、こんな世界もあるのか」 と感化された。で、自身のピコピコ路線をいたく反省し悔い改め、まるっきり正反対でナチュラルな本作を作ろうと思いついたのだ。だって目を瞑って本作を聴かされて、 「これ、モリッシーの新作だよ」 って言われてもまったく疑いませんもん私。

 とはいえ何から何まで同じなわけじゃない。モリッシー作品とのちがいは、まず本作のほうがより都会的でしゃれたテイストであること。またアレンジがモリッシー作よりややジャズ的でちょっと凝っている。その意味ではモリッシー作品のほうがワイルドで、 「ロックも混ざってますよ」 的なミクスチャー感が濃い。作曲能力は2人ともいい勝負だ。どちらもあふれるような才能がある。ただし耳に残るメロディー作りのセンスはぶっちゃけモリッシーのほうが上だ。

 もともとモリッシー買いの私としては、うまくマスコミに乗ってブレイクしたジュリアナばかりが持て囃され、モリッシーが相変わらずマイナーなままなのがなんとも割り切れない。本作を聴いてもし気に入った人は、ぜひモリッシー作品も買ってみてください。コンセプトは同じだし、ぜったい後悔はさせません。(って別の話になってるなぁ)

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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