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Avishai Cohen / The Trumpet Player

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Avishai Cohen (tp)
John Sullivan (b)
Jeff Ballard (d)

Special Guest: Joel Frahm (ts) on M-4, 5, 7
Recorded: November 25, 2001, at PureMix, NY (FSNT161)

無人島へ持っていきたい鮮烈デビュー盤

 もし無人島へ行くとしたら関連で必ず上がりそうな1枚だ。イスラエル人トランペッターのアヴィシャイ・コーエンが、初リーダー作にしていきなりモノにした自身最高傑作である。

 痺れるような緊張感と高いテンション。ワイルドに暴れまくる3人の野獣たち。野に放たれたコードレスの自由な地平を1本のラッパが切り裂く。ド迫力のカッ飛びジャズだ。

 メンバーはジョン・サリヴァン(b)、ジェフ・バラード(d)とのトリオに、サックス奏者のジョエル・フラームが3曲でゲスト参加している。

 アヴィシャイのオリジナルが5曲にコルトレーンの「Dear Lord」、オーネット・コールマンの「Giggin」を加えた計7曲。オープニングでさっそくぶっ放してくれるM-1や胸が熱くなるバラードのM-3、粘っこいノリのM-6など、どの曲も生き馬の目を抜く自由奔放ぶりだ。

 またジョエル・フラームがゲスト参加したM-5では、本作の粗野な魅力を象徴したようなアヴィシャイとのモーレツな掛け合いが聴ける。2人は非常にバランスがよく、たがいに激しく罵り合いながら楽曲が二転三転していく。本盤きっての聴き物である。

 トリオの命運を握っているのはベーシストのサリヴァンだ。彼は自由奔放なトランペットと手数が多く遊びまくるドラムスとを仲立ちし、ユニットのバランスを取っている。彼のおかげでトリオは爆発はするが暴発はしない。さながら2匹のドーベルマンと1人の猛獣使いだ。よく弾むが、ノリまかせではないクレバーなベーシストである。

 本作を聴いていると、あるパラドックスに気づく。ある種のルールや作法に則って演じられる後年のアヴィシャイ作品「Introducing Triveni」(2010)、「Triveni II」(2012)、「Dark Nights」(2014)のTriveni三部作より、このデビュー作のほうがはるかに革新的なのだ。

 本来なら順番は逆のはずだ。まず何編かの習作でいったんジャズのイディオムを極め、次にそうした既存の規制を取っ払った末に生まれてくるのが本作の世界であるように思える。

 そう、おもしろいことにアヴィシャイの作品群は、鮭が遡上するかのように逆行している。まるで胎内回帰願望を音にしたかのように。その意味ではこのデビュー作とTriveni三部作をすべて聴いた上でなければ、アヴィシャイの懐の深さは正確にはジャッジできない。

 なお同三部作はすべて物足りず、どれもデビュー作には及ばない、という評をよく目にするが、個人的には必ずしもそうは思わない。

「理屈抜きで暴れるジャズがいい」なら前述の評価になるのはよくわかる。だが奥行きという意味では三部作も賞賛されてしかるべきだろう。というか4枚ともぜひ聴いてもらいたい現代ジャズの金字塔である。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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松岡美樹

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予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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