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Ben Van Gelder / Reprise

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Ben Van Gelder (as, bcl)
Peter Schlamb (vib)
Sam Harris (p)
Rick Rosato (b)
Craig Weinrib (ds)
Mark Turner (ts on M-5, 8)
Ben Street (b on M-5, 9)

Recorded: February 10-11 & July 11, 2013, at Sear Sound, NY
Engineer: Chris Allen (Pirouet Records PIT3074)

ヤマ場のなさが新しい「やおいジャズ」

 ジャズにミニマリズムをまぶしたような世界観がゆったり広がる。感極まったソリストが熱くエネルギッシュに咆哮するようなシーンは決してなく、ただひたすらクールなヤマ場のなさが新しい。オランダ出身の新感覚アルト奏者、ベン・ヴァン・ゲルダーが2013年にリリースした最新作だ。

 メンバーを見ると、ルディ・ロイストンの初リーダー作「303」(2014年、レビュー記事はこちら)で気を吐いていたサム・ハリス(p)の名がひときわ光る。ほかにマーク・ターナー(ts)、ベン・ストリート(b)も2曲でプレイしている。

 実はベン・ヴァン・ゲルダーのような流派のジャズを「やおいジャズ」と呼ぶ。(いや私が勝手にそう呼んでいるだけだ)。「やおい」というのは1970年代後期に生まれたマンガ同人誌用語であり、「ヤマなし・オチなし・イミなし」の意味だ。当時そういうマンガが爆発的に流行った。

 で、ジャズ界におけるゲルダーの位置づけは、まさに「やおいジャズ」と呼ぶにふさわしい。彼が作る音楽はものの見事にヤマもなければオチもなく、そして深遠なイミもない。いい意味で徹底した「平坦さ」の極致だ。ふんわりゆらゆら波間を漂うかのようなノリのなか、ゆったりそのグルーヴに身をまかせて聴くのが心地いい。

 定型パターンである楽曲の起承転結やソロが激しく盛り上がるヤマ場なんかをお約束通りに盛り込んで行くと、結局は音楽って見事にありがちなマンネリズムに陥る。

 それならいっそ、そういう楽曲の抑揚自体をきれいサッパリ捨ててしまえばどうなるか? ゲルダーが紡ぎ出す極めてユニークで異端なジャズは、そんな実験精神に満ちあふれている。まったく盛り上がりがなく、ただひたすらウネウネと脱力し惚けたような演奏がエンエン続く。

 ぶっちゃけ、クリス・ポッターやアリ・ホーニグみたいにわかりやすく爆発するタイプのジャズが好きな人なら絶対選ばないだろう。だけど好きな人にはたまらない。そんな個性の極みを、どうぞご堪能あれ。

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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

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