​Bruce Barth Trio / Live at Smalls

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Bruce Barth (P)
Vicente Archer (b)
Rudy Royston (ds)

Recorded: September 29-30, 2010 at Smalls Jazz Club, NY
Engineer: Jimmy Katz (SmallsLIVE SL0019)

なにげない、さりげないジャズのコク

 これだけ地味で、これだけ味のある渋い盤は初めて聴いた。なにげなく、さりげないのだがそこがいい。かすかにブルージーだがこってりした暑苦しさなどまるでなく、むしろサラサラとあっさり軽めに流れて行く。だから何度でも繰り返しずっと聴いていたくなる。不思議なアルバムだ。ニューヨークを拠点に活動するピアニスト、ブルース・バースのスモールズでのライヴである。

 バースは1958年カリフォルニア生まれ。8才でNYCに移住した。フレッド・ハーシュ、ノーマン・シモンズらに師事。1988年にスタンリー・タレンタインのグループに参加し、90年にはテレンス・ブランチャード・クインテットに加わった。エンヤからリリースした初のリーダー作『In Focus』(1993)、『Morning Call』(1995)はいずれもニューヨーク・タイムズが選ぶトップ・テン・リストにランキングされている。

 1曲を除きすべてオリジナルの合計9曲。実は本作はヴィセンテ・アーチャー(b)、ルディ・ロイストン(ds)という魅惑のリズム隊に惹かれて手に取った。だが初めてひと通り聴いた瞬間、正直「こりゃお蔵入りだな」と思った。強く印象に残る部分がまったくなかったからだ。ところがなぜか、ダメモトでふともう一度聴いてみる気になった。で、2回目に聴いたら、それまで顔が見えなかった盤にハッキリ目鼻立ちが通った。「いい」のである。

 なにしろ本作は、耳に残るフレーズがほとんど出てこない。だから1回聴いたくらいじゃ、よさがわからない。例えばアルバム冒頭、さりげない導入部で始まる静かなM-1は次第に熱を帯び、ピアノの打鍵が力強くなっていく。だが主役のバースは決してわかりやすい単純なフレージングに逃げない。クールで激しく熱くなることもない。ここが本盤をわかりにくくしている本尊なのだが、しかし同時に聴けば聴くほど味の出るスルメ化ポイントになっているともいえる。

 だから本盤のよさを言葉で表現するのはむずかしい。ゆったりしたノリで、まるで太平洋のド真ん中に浮き輪ひとつでのんびり浮かんでいるような気分になれる。そんな感じだ。激しさや煩ささがまったくないので、仕事で疲れている時に小音量で流しておくのにもいい。究極のリラクゼーションをあたえてくれる盤、それがこのアルバムだ。


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