Tom Harrell / Infinity
|Posted:2019/06/18 06:30|Category : トム・ハレル|
Tom Harrell (tp, Flh)
Mark Turner (ts)
Charles Altura (el-G, ac-G)
Ben Street (b)
Johnathan Blake (ds)
Adam Cruz (Per on M3)
Recorded: September 24 & 30, 2018, at Sear Sound, NY
Enginer: Chris Allen (HighNote Records HCD 7321)
T.ハレル、『Trip』(2014年)と並ぶ優秀作を世に問う
本盤は、ドン・キホーテを題材にした『Trip』(2014年、レビュー記事はこちら)と並ぶトム・ハレル(tp)の優秀作といえるだろう。ギタリスト、チャールズ・アルトゥラの起用がキモになっており、彼のコードワークがアルバム全編を覆い、得も言われぬ空間的な広がりをもたらしている。彼に曲者マーク・ターナー(ts)が絡み、こたえられない展開になっている。私みたいなターナー好きには、たまらない。
ちなみにアルトゥラの演奏はデイナ・スティーブンスの『I'll Take My Chances』(2013年、レビュー記事はこちら)で初めて聴いたが、ひとクセある個性的なプレイにたちまち一目惚れしてしまった。
さて肝心の内容だが、1曲目ではベースのリフレインが畳みかけ、それに乗りアルトゥラとターナーが切迫感のあるソロを取る。最後はドラムソロだ。
続くM2はのっけからマーク・ターナーが得意のうねうねソロを繰り出し、ハレルの爽やかなソロ・パートが続く。M3は余韻のある静かな立ち上がりから、途中4ビートになりノリのよさを聴かせる。
M4は冒頭からアルトゥラのスペイシーなギターソロが聴ける秀曲。M5はハレルの朝焼けを想わせる上昇感のあるソロがすばらしい。アルトゥラの美しいアコギのソロがそれに続き思わず昇天してしまう。M8はまたもハレルの朝焼け感が漂い、ゆったりした静かな展開が心地いい。そんな曲調に合わせたアルトゥラのギターソロも聴き物だ。
それにしてもトム・ハレルという人は、よくこれだけ次々に曲想が湧くのだから感心してしまう。NYコンテンポラリーなジャズにありがちな、単にダークな曲調とは明らかに一線を画した変拍子調も含めながらの個性的な作風が光る。これで70歳過ぎというのだから驚かされる。
エンジニアのクリス・アレンが手掛ける録音もよく、アルバムを通してどこか爽やかなハレル的な音調がうまく表現されている。
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