スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ジャズ業界は「破綻スパイラル」に突入してないか?

売れるのは50年代の巨匠の名盤か、甘いピアノトリオだけ

 ジャズ業界を本格的にフィールドワークしてそろそろ3年になるが、だいたいこの業界の構造が見えてきた。どうやら救いようのない破綻スパイラルに入っているようだ。

 売れるのは50年代の巨匠の名盤か、甘いピアノトリオだけ。お金は絶えず、もう死んでいるミュージシャンのアルバム購入に割かれている。このボリュームゾーンでは「復刻」などと銘打ち、手を変え品を変え何十年間も同じアルバムを売り続けている。ある意味楽な商売だ。

 その結果、若くて才能はあるのに誰もCDを買ってくれず、食えない有望ミュージシャンがあふれ出す。彼らはいつもハラを空かし、あえいでいる。

 マイク・モレーノやジョナサン・ブレイクみたいにセッションとなれば必ず呼ばれるNYの売れっ子クラスでも、自分のやりたいことはなかなかできない。レーベルから売れセンの物作りを要求され、自分を通そうと思えばネットでアルバム制作費のカンパを募らなきゃならない。でなければやりたいことができない。

 で、若く才能のあるミュージシャンが業界に定着せず、ニューヨークに出てきても数年で故国へ帰ってしまう。慢性的に人が育たない。もう死んでいる巨匠が売れ続けるだけで、若く将来性のあるプレイヤー層が(ビジネス的には)完全に空洞化している。このぽっかり空いた穴は非常に深刻だ。

 今ある果実をもぎ続け、未来を見据えた種まきをしないとどうなるか? いつかは収穫する果実がなくなる。だが新芽もまったく育ってないのだ。いったいどうするのか? その業界はただ消滅するだけだろう。

生きてるミュージシャンは誰も食えない恐怖のサイクル

 極論すれば、50年たってもマイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスだけが売れ続け、生きているミュージシャンは誰も食えない。そんな破滅スパイラルに局面は入っている。

 とはいえゴッホや、往年の巨匠の画家あたりはみな死んでから売れた才人ばかりだ。芸術家はいつの時代も食えないもの。だがそれにしてもジャズの世界はひどすぎる。往年の名盤ばかりを持て囃し、新規需要を開拓しパイを広げてマーケットを育てる努力をずっと怠ってきた、日本のジャズ・ジャーナリズムの責任は途方もなく大きい。

 かと思えば他方、ひと握りの「上がった人」は往年の豪華メンバーで黄金のピアノトリオを結成し、年金稼ぎに余念がない。「復刻」の名盤を喜んで買う層はこういう黄金カードにからきし弱い。彼らは何の疑問もなく買ってくれる。

 で、こういうひと握りの幸運者はアルバムを出せば自動的に売れる成功スパイラルに入れる。ここにハマればだれだって抜け出せないし、別にそうする必要もない。いっちょう上がりだ。

この業界構造で音楽文化は育つのか?

 いや別に売れるのが悪いとかいう話じゃない。志の高い貧乏人はいつまでたっても貧乏で、ビジネスのうまい商売人が勝ち残る。往年の名盤と甘いピアノトリオを有り難がって買う側のメンタリティも、この救いようのない構造を強力に補完する役割を果たしてる。客観的に分析すれば、ただそれだけの話だ。

 だが果たしてこの構造の中で音楽文化は育つのか? さらにいえば、たとえ今はよくてもそう長続きしないだろう、という危惧もある。今は業界全体が潤わないながらもなんとかバランスを保っている。だがひとたび地滑り的な破綻が起これば、ジャズ業界がそっくりそのまま崩壊する可能性すらある。

 しかしだからといって社会主義国じゃあるまいし、「若いミュージシャンのCDを買いなさい!」なんて誰にも強制できないし、それはおかしな話だ。またジャズを楽しむために買ってるにすぎない1リスナーが、「業界かくあるべし」みたいなことを考えるのもナンセンスだってことは重々わかっている。

 だけど「好きなジャズがなくなるかもしれない」と考えると、矢も立てもたまらなくなるんだよねえ。まあ別にいいんだけどさ。

【関連記事】

『天才に賞味期限はあるか? -ブラッド・メルドーの軌跡』
スポンサーサイト

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Comment

No title

ジャズはここ1年ほど聴くようになりましたが、
90年代後半ぐらいの時より面白いなあ、と感じてます。

とは言っても、アマゾンの「ニューリリース・予約」とかは復刻盤が多いですし
大手ショップ店頭でも「1000円」とかで売ってるので、遺産を切り崩してますね。
レコード会社のジャズ部門はかなり予算もなさそうなので権利ある盤を売るみたいな。

マイルス、エヴァンス、コルトレーンは自己のスタイルで新しい音と
格闘してきた人達ですが、レコード会社はこの3人だけで世界中で5億枚ほど売ってそうですw
来年も500万枚ぐらい売れたりして。。

R&Bやロックと反対

こんにちは。考えてみたら私はR&Bやロックは70年代以前限定で、
メインは60年代なんですが、80年代以降のものは一切聴きません。
ジャズと正反対なんですね。

なんでこうなったんだろう、と考えてみると打ち込みがダメなんです。
ところがジャズは新しいものもナチュラルなので(一部打ち込みもありますが)、それでかなと。
で、「じゃあ、お前はR&Bやロックの新しい芽を育ててないじゃないか」と言われればそうなんで(笑)
結局、人は好きなものを聴くんだ、という情けない結論に到りそう…お後がよろしいようで(^^;
非公開コメント

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

まとめteみた.【ジャズ業界は「破綻スパイラル」に突入してないか?】

売れるのは50年代の巨匠の名盤か、甘いピアノトリオだけジャズ業界を本格的にフィールドワークしてそろそろ3年になるが、だいたいこの業界の構造が見えてきた。どうやら救いようルに...
プロフィール

松岡美樹

Author:松岡美樹
予定調和じゃない最近のJAZZが好物です。

最新記事
カテゴリ
ブログ内検索
全記事一覧・表示リンク

全ての記事を表示する

月別アーカイブ
最新コメント
最新トラックバック
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。