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Dan Weiss Trio / Timshel

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Jacob Sacks (p)
Thomas Morgan (b)
Dan Weiss (ds)

Rec. September, 2008, at Acoustic Sound, NY
Engineer: Michael Brorby (Sunnyside SSC1242)

静寂の向こうに風景が見えてくる実験的ピアノトリオ

 ひたひたと静寂が押し寄せてくるようなアルバムだ。ピアノトリオ編成だが、ありがちな甘ったるい音楽をやってるわけではない。トリオならではのスペースを生かし、ベースとドラムがよく遊ぶ先鋭的な実験空間を提示している。俊英ドラマー、ダン・ワイスの意欲作だ。

 相方はピアノのジェイコブ・サックスと、ベースのトーマス・モーガン。3人が代わる代わるピアノだけになったり、ベースだけになったりしながら音のない空間をたっぷり取る。音でスペースを埋めてしまわない。そのため、えもいわれぬ余韻が生まれる。尾を引いて響く音の向こうに風景が見えてくる。

 全12曲すべてオリジナル。主役のワイスが自分を丸出しにしたようなコンセプトだから当然だ。例えばM-3は人間の語り (セリフ) のリズムに合わせドラミングする奇作だが、非常に面白い効果を上げている。かたやこの曲と対になるM-6では、今度はピアノがセリフに合わせてコミカルな演奏を繰り広げる。

 一方、M-5はピアノの機械的なリフレインをバックに、ベースとドラムが音数を増やしながら跳梁する。ふつうなら退屈しそうな曲だが、あのテこのテで小技を繰り出すワイスのドラミングが創造的で、思わず聴き入ってしまう。

 全体を通して感じるのは、知的な黒いユーモアだ。また現代人の漠然とした不安を音にしたような要素もある。ジェイコブ・サックスのピアノはかすかにクラシックの匂いがし、現代音楽的な芳香を放つピアノトリオとしても堪能できる。買う前からレヴューその他でぼんやり内容を知っていたので 「キワモノでは?」 とおびえながら聴いたが、とんでもない。すごく楽しめた。

 そもそも 「実験作」 などと名づけられるシロモノは、たいてい退屈な音楽と相場は決まっている。だがこのアルバムはえらく面白い。聴く者のイマジネーションをかき立てるクリエイティヴィティがある。本作が 「実験」 というネーミングから想起されるようなマスターベーションに陥っていないのは、何を隠そう、その実験が成功しているからに他ならない。
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テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

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